三島由紀夫
『盗賊』
三島由紀夫三作目は薄い文庫本『盗賊』
文庫本は裏面でネタバレしてしまう・・
子爵家、男爵家、令嬢 出た出た
三島さんの得意分野と言うか、日常の一場面
一般ピープルには伺い知れないそんな世界を垣間見れます👀チラッ
--------(抜粋)
子爵家の一人息子藤村明秀は母の旧友の娘に恋をするが、したたかな相手に翻弄されるだけで終る。やがて、傷心のあまり死を決意した彼の前に、男爵家の令嬢山内清子が現われる。彼女もまた恋に破れ、自殺を考えていた。二人は互いの胸の中の幻影を育てあうという〈共謀〉を始める……。死の想いによって引き寄せられた一組の男女を中心にくり広げられる精緻微妙な愛のアラベスク
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―—1930年代に於ける 華冑(かちゅう)界の一挿話
初恋
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明秀は心の中にかくも艶やかに育ちつつある幻影をまともに見ながら、清子に語り伝えようとする言葉を失くした。清子は彼の拙ない粗描を彼女のなかの輝かしい佐伯氏と比べてみた。美子嬢はよほど醜いひとだと思われた。しかるに彼女が佐伯氏の影像を明秀に伝えようと試みると、明秀と同じ歯がゆさを味わねばならなかった。
二人はこのような愚かな探り合いからすぐ抜け出すことができた。言葉に頼ったのがまちがいのもとであった。彼等はお互いの超自然な力を閉却したのだ。彼等は黙示の裡にそれぞれの影像を相手の心へ伝える訓練をした。そして次第に二体の幻影は二人の共有物となりつつあった。
清子と明秀とが一つの部屋にいる時、清子は佐伯氏と、明秀は美子嬢と、向かい合っているような幻覚を屡々おこした。時にはまた、明秀は佐伯氏と、清子は美子嬢と、語り合っているような気がした。佐伯氏のつれなさも、美子嬢の気まぐれも、どこかへ忘れ去られて来たかのようだった。彼等は美しい獣のように振舞った。
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「牧場ハイキングまで 意外と難解」
「まさか最後に佐伯に出逢うとは!」
「結婚して心中ですよね?父と母のせめぎ合いの方がインパクトありました」
「山内男爵」
「一番まともな方ですね」
三島由紀夫生誕100年祭が行われていました。
こちら気づいたのが遅かったのでチャンスを逃してしまった。。
時代を読み解く。
写真は読書会メンバが送ってくれた一枚