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📚読書備忘録📚
(自己評価★★★★★)+泣ける物語
たまに山ブログ
         

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2022-03-02 | 小川洋子

 



小川洋子
『完璧な病室』★★★


初期も初期な作品を収めた短編集

(『完璧な病室』単行本1989年9月、『冷めない紅茶』単行本1990年8月を再編集)

--------(抜粋)


弟はいつでも、この完璧な土曜日の記憶の中にいる―—病に冒された弟との日々を描く表題作、
海燕新人文学賞受賞のデビュー作「揚羽蝶が壊れる時」に、
第二短篇集「冷めない紅茶」を加えた、かぎりなく透明で瑞々しい最初期の四短篇



--------

 

・完璧な病室 ★★★★

  主人公と弟との邂逅

  いきなりその母親が銀行強盗に巻き込まれ射殺されるという、
  静かな物語の中に突出してくるかのように、違和感
  現実とはそういうこと?

  ラスト・・思わず声が出てしまった!・・(^▽^;)ドキッ

 

・揚羽蝶が壊れる時 海燕新人文学賞受賞作

 

---


彼は絶対に自分から食べることを提案しない。以前、空腹を快感にかえて更にそれをエネルギーにするんだ、と言っていた。



「彼女とわたしたちと、どっちが本当の現実なの?」
他人の舌はいつでもバターのようにしなやかだ。
「それは誰にも決められない。」
彼の声が鼻孔にバターの香りを運ぶ。


彼は繰り返し繰り返し、わたしを輪切りにする。


---

 正常と異常、真実と幻想

 発語と沈黙


---


わたしは裏返しになっている。内側がなくなっている。わたし自身とあの内側と、どちらが本当の現実なんだろう。
―—どっちの“僕‘’を信じようと、僕の自由なんだ。

―—彼のことばを繰り返してみる。あなたはどこまで成長するつもりなの?

 


わたしはいつでも彼に反対しない。


---

 

・冷めない紅茶 

  睡魔・・



・ダイヴィング・プール 

  孤児院が舞台(・完璧な病室も先生の実家が孤児院だった・・繋がってる?)

  内に秘めた残酷性 それをどう上手くコントロールし付き合ってゆくか。

  先日読んだ角田光代もそうだけど、プールの描写は揺らめく水面が浮かんで静謐な気持ちにさせられる。
  今回は飛び込みをするから室内プールで、天窓からの光に包まれた飛び込み台と塩素の匂いが漂う様
 
  水泳選手の引き締まった裸体
  確かに抱きしめてもらいたいと思わなくもない。

 

---

 

「気づいてたんだ、前から。君がしてたこと」

 

---

 

 

 

 

 

 

 

 

小川洋子と言えば『博士の愛した数式』です。
映画から入ったけど、何度観ても染みるのよね。
寺尾さんも深津絵里も、そしてルートもよい味出してる。

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小川洋子『博士の愛した数式』★★★★心に残るよい映画だったから小説で読んでみたかった。成田でGETグアム往路で読んだ。冬から南国南国から冬へ...

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2020-03-18 | 小川洋子

 

小川洋子
『猫を抱いて象と泳ぐ』★★★

 

過去題名に惹かれ冒頭だけ読みそのままになっていた本
この題名だけでセンスが分かると言うもの。
ちょっとした御伽噺

 

チェス
そこから浮かぶのは『鏡の国のアリス』
あと相棒の右京さん(笑)

 

主人公は伝説のチェスプレーヤー、リトル・アリョーヒン
そのひそやかな奇跡を描き尽くした、せつない長篇小説

読み進めている内にこのお話はどう着地するのか、
ハラハラと言うか何というか、一つの希望を願わずにはいられなかった。

どうかチェスの神様!

 

---

 

 

 

祖父が描いてくれたばかりのチェス盤を少年はもう一度目でなぞった。慎重に真っ直ぐ定規の上を滑っていった、筆の動きを思い出した。電球を消したあともそれはなかなか目蓋から消えなかった。升目は暗闇に包まれ、チェス盤の海はますますその深みを増し、少年は一人、途方もなく広大な深海の底に取り残された。
「チェス盤の中にいれば、飛行機なんて乗るよりずっとずっと遠いところまで旅ができるよ」
目をつぶったまま、少年はそうミイラに語りかけた。

 

 

 


「いいや。運は無関係だ。運がよかったと思える試合でも、それは天から偶然降ってきたのではなく、本人が自分の力で導き出したものだ。チェス盤には、駒に触れる人間の人格すべてが現れ出る」
宣誓文を読み上げるようなかしこまった口調で、マスターは言った。
「哲学も情緒も教養も品性も自我も欲望も記憶も未来も、とにかくすべてだ。隠し立てはできない。チェスは、人間とは何かを暗示する鏡なんだ」

 

 

 

 

「ええ、チェス盤の海は果てしがありませんからね。心行くまで身を任せればいいんです」
チェスの海に、身を任せなさいとかつて教えてくれたのはあなたなんですよ、という言葉をまた彼は唇の奥だけにそっと忍ばせた。

 

 


---

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




同時進行読書でも、その順番は特に決めずランダム

と、今回は4冊を順番通りに読んでみた。

まず渋いぜ渡辺先生の『男と女』
次に続々長丁場『アンナ・カレーニナ㊦』
そしてこちら『猫を抱いて象と泳ぐ』
最後に江國香織『金米糖の降るところ』
男女の関係を解く濃密さにうなり、
毎度のロシアの激情に触れ、
研ぎ澄まされた独特のチェスの世界に誘われ、
そして現実に戻りグレーな恋愛話にホッとする。

 

 

 

コロナコロナコロナ
うちみたいな中小だとまだテスト段階な在宅
大手は当たり前に在宅、そして外出自粛令が出ているのにね。


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2014-11-08 | 小川洋子


小川洋子
クラフトエヴィング商會
『注文の多い注文書』★★★★

誰もが『注文の多い料理店』を思い浮かべる題名だけど、、、
以前にも書いたけどこの本を手に取ってページをめくった時
ココロがふるえた。
周りの音が消えその紙の感触 本の重みだけ。
いきなり強い風が吹いてきて髪が乱され目を開けるとどこかに飛ばされている感じ(ななみみたいに)

文字と装丁がこんなに上品な本に出逢う幸せ。

同時に読書を知らない人(しない人も含)に対して
憐みと言うかこの気持ちを分からないなんて(大げさに聞こえる?)
それを知ることもないなんて(余計なお世話だけど)

私の周りにはたくさんいるそんな愛すべき人達(笑)

たまに会話したくなるの本の話
「最近 何読んでる?」

とにもかくにもそんな素敵な出逢いがありました。

しかし★5つはあげられない(矛盾)




























写真は先週の長野
『深夜特急』の続きを読む2








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2012-02-15 | 小川洋子


小川洋子
『博士の愛した数式』★★★★

心に残るよい映画だったから小説で読んでみたかった。
成田でGET グアム往路で読んだ。
冬から南国 南国から冬へ。


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