角田光代
『紙の月』★★★
以前たまたまドラマでみて原作が角田光代で気になっていた。
内容を知っていたにしても、読んでいていたたまれなくなった。
たとえ小説だとしても。
3日で読んだけど途中途中ストップをかけては読み進めた。
わたしにはない感覚
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「私思うんだけど、何かするのだったら徹底的にするか、もしくはなんにもしないか、そのどちらかしかないわ。ちょっと手を出して、すぐそれをひっこめるっていうのが、いちばん人として正しくないことだと思う」
「美容院っていえばさ、その人の感じを見て雑誌を渡してくれるんだよね。少し前なら若い人向けの雑誌だったのに、最近、ゴシップばっかり載ってる週刊誌とかさ、インテリア雑誌とか料理雑誌を渡されちゃうんだよね、私」
不思議な気持ちになる。こんなに多くの女が買い物をしている。彼女たちはいったいどのくらい月給をもらっているのだろう?その買い物代金をどのように工面しているのだろう?
「こういう世界って、本当に現実にあるんだなあ」
「現実じゃないのかもね」
「それでもいいや」
「ここから出して」
「お願い」
「頼むから」
ここ、ってどこ。
「少し会えなくなるんだけど、あのね、私のこと全部忘れてほしいの。私と会ったことも、私と過ごしたことも」
過程は過去へ過去へと遡りながら無数に散らばっていくが、けれど、どの仮定を進んでも、自分が今この場にこうしているような気がしてならない。
何もかも放り出して逃げ出し、今また、さらに遠くへ逃げようとしている、逃げおおせることができると信じている私もまた、私自身なのだと。
いこう、この先へ。
「私をここから連れだしてください」
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ちょうどキャンセルが出てご近所の歯医者さんへ。
特に痛みはなく定期健診
「2年ぶりですね」って言われ驚き。
いつも毎年冬に行っている感覚だったのに。
それだけ時間が早く過ぎ去っているってこと?
成人してからの歯医者さんが好きですすんで行ってるけど。
やっぱり地元の歯医者さんが好きだった。
夏の午前中の冷えたちょっと薄暗い診察室の独特な香り
横になると見える何の遮りもないくっきりした青空
先生一人、受付兼助手一人でいつも静かだった。
なつかしいなぁ
「人生は複雑なの。今は」
またみちゃった(笑)