家族が帰って来る時の音というのがあります。
遠くからバイクのエンジン音がだんだん丘を上って大きくなって。
駐車場の前で音が変わり、ガタンとゆっくり入ってくる。
雨の日は駐車場でレインコートについた水滴を振り払う音だったり。
そんな音に「お帰り」って思う。
私には子供がいないので子供が帰ってくる時の音を知りません。
ランドセルについている何かが音をたてるのかな。
人それぞれ。みんな同じじゃない。
それぞれに大切な人の音というのがあります。
大切なひとの帰ってくる音が聞こえたら
「お帰り」って。
短いけど魂の宿る素敵な言葉がこの世にはいっぱい。
父ちゃんの稼いだお金で高級ランチをしているおばちゃん。
ランチをしながら父ちゃんの文句言ってないで
冷たい風にさらされて帰ったきた父ちゃんのお顔に接近して、
冷たい鼻に暖房のきいた部屋でヌクヌクしたおばちゃんの鼻をすりすり
エスキモーのキスでもしてあげたら?
父ちゃん、一瞬凍るかもしれないけど・・・
おばちゃんの温かい魂に身も心も溶けていくものです。
その昔、女は太陽だったっていうじゃないですか。
人はお世辞でも言われると嬉しいものです。
お世辞ばかり言う人は苦手ですが、
そこに言葉やその人なりの表現があるなら
それを使うことは必然だと思うのです。
音は共鳴し合いはじめて美しい音色を奏でる。
大切なひとの音に魂を共鳴させてみて。
この世にそんな音が増えるといいなって思います。
夕焼けが沈む頃
冷たい空気を抱えて帰ってくる大切な人の為に
柚子ジャムに温かいお湯を注いであげる。
こんな小さなひと瓶でも人の人生を充分幸せにできる力ってあるんです。