歩く・見る・食べる・そして少し考える・・・

近所を歩く、遠くの町を歩く、見たこと食べたこと、感じたことを思いつくままに・・・。おじさんのひとりごと

“東京家族” ④ 山田洋次監督は今の中国が嫌い?

2013年01月28日 | 映画の話し
先週の続きです。

1953年、敗戦から経済成長への「東京物語」

2012年、震災、原発、経済不況、先行き不安の2012年の「東京家族」

「東京物語」も「東京家族」も、“フツウの人”の“フツウの生活”が描かれている・・・・・・のです。

でも、しかし、“フツウの人”は、“フツウに居る”ようで、“フツウは居ない”と思うのです。こんな考え方は“フツウ”では無いの?

世間を見回しても、私の周りを見回しても、一人、一人、みんな変わっています。ヒトそれぞで、いろいろなのです。

パンフレットの巻頭に、『おかしくて、かなしい。これは、あなたの物語です』と、あります。


でも、わたしとしては、“あなたの物語”と云われても“うん。そうか、そうか”と頷くことは出来ませんでした。

「男はつらいよ」も、そうですが、何処にでもありそうな話し、何処にでも居そうな登場人物、と、思うのですが、ホントは、何処にも有りそうも、居そうも、無い物語なのです。

居そうも無い人の、無さそうなお話を、居そう、有りそう、に見せるので、観客はお金を払って見に来るのです。

フツウの人の、フツウの人生には、“起承転結”は、なかなかムズカシイのだと・・・・・・、何が、何だか、どうなっているのか、分からないことばかりで、訳もなく始まり、訳もなく終わると・・・・・・。

フツウの映画には、物語があり、起承転結があり、訳が分からないストーリーで、訳が分からない終わり方はしません。

ちょっと、これは、う~~ん。何か、話しが、フツウでなくなり、“どつぼに嵌り”かけてきそうな予感・・・・・・、で、ここで、中途半端に話しは転じることに。

それで、東京に着いて、子供達の暮らしぶりを見て回る両親。親の思いと、子の思いと、思い込みのすれ違い、行き違いなのです。

1953年、夜行列車での“一大決心上京”と、2012年、新幹線での“ちょっとそこまで上京”と、上京に抱く“思いの度合い”には、かなり差があると思います。

でも、日常生活は日々これ忙しいので、老いた両親を、それなりに持てなす時間的な余裕はありません。そこで、東京物語は「熱海の温泉」で、東京家族は「横浜のホテル」で、両親を持てなすのでした。

でも、1953年、老いた両親に温泉旅行は、それなりに納得なのですが、2012年とは云え、老いた両親を、高級ホテルの、かなり高い部屋に泊まらせることは、素直に納得できません。

子供と親の、願望のすれ違い、行き違い表現としても、そうなのか? 横浜でホテルか? やっぱり、ここは、昔も今も、温泉に浸かってノンビリだと思うのです。

いゃ、でも、しかし、両親は瀬戸内の、小島の、ノンビリの真っ直中で暮らしているのです。それに、2012年で、母親は68歳だし、たぶん、父親は70ちょっとで、まだ、まだ、若い?ので、やっぱり、大都会の賑わいと喧噪も、それなりの東京で楽しいかも・・・。

そう思うのですが、でも、「横浜のホテル」なのです。1953年の「東京物語」に、かなり縛られている?

それにしても、老いた?両親は年齢設定よりも、かなり、かなり、老いた動作で、とても違和感がありました。これも「東京物語」の“呪縛”?

それで、両親は、「東京物語」では“社員慰安旅行”の団体に安眠を妨害され、「東京家族」では“中国人旅行客”に安眠を妨害されるのです。

東京物語の「社員慰安旅行」は、それなりに1953年の日本の今を刻んでいます。2012年の「中国人旅行客」も、それなりに2012年の今を刻んでいます。

でも、この夜中にホテルの廊下で、大きな声で、甲高く、早口で、話すと云うよりも、喚き散らす、中国人観光客の姿を描いたことは、数十年後、いろいろな解釈を生むシーンになる気がします。

当ブログの2011年の6月20日の“原節子を何となく” その⑨ 「“晩春”壺のツボ」のような、論争が巻き起こったりして・・・・・・。←宣伝をしているのです。覗いて下さい。

「東京家族」も数十年の歳月を経て、2012年当時、日中間で“尖閣問題”が過熱し、軍事衝突(この先起きたならば)に至った中日関係を予見した監督の先見性であった。とか。

この先、武力による衝突もなく、それなりに収拾したならば、進歩的で中国には友好的?だと思われていた、山田洋次監督の否定的な対中国感の現れで、その背景には、戦後中国からの引き揚げ体験が影響している。とか。

2012年の、世間の、庶民の、対中国感情をありのままに写し込んだエピソードである。とか。

とか、とか、いろいろ論争が起きそうなシーンだと思いました。そんな論争は起こらないか?

それにしても、です。映画を観ている客の、皆が皆、間違い無く、夜中に騒ぐ中国人旅行者に否定的な感情を抱くシーンです。やっぱり、監督は「中国人」が嫌い? 今の「中国」が嫌い?

で、私ですが、「現政権の対外政策」は嫌いです。でも・・・、それって・・・、国内政策の反映だし、共産党独裁体制の矛盾の結果だし、まあ、いろいろと・・・、ムズカシイ。ここは中国人民の判断を待つしか・・・・・・。


う~~ん。今日のところは、これで、お終い。

それで、兎に角、「東京家族」は、観て損のないイイ映画です、泣いて笑って、見終わって、それなりに明るい希望の持てる作品です。


それでは、また。



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