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日本は“ねばり腰”外交か?

先の尖閣諸島での漁船衝突事件のビデオが流出した。ユーチューブでの映像提供は、既に削除されているが、恐らく方々に転送されていたせいか、様々なサイトで見ることができる。だから、私も ネットで映像を見ることができた。本当は、全く編集されていない全ての映像を見るべきだが、“流失した映像”は漁船側が巡視船に衝突して来る場面が主になっている。
これらの映像だけからだと、漁船が意図的に体当たりしてきているように見える。テレビに登場する“識者”は、“これだけからだけでは、その前後の経緯が分からないのでどちらが どうと断言はできない。”などと発言しているのが多いが、彼等は日本の領海内での出来事であることを忘れているのではないのか。

そもそも、日本の領海内で巡視船(警備艇)が停船命令を出した場合、出された側は直ちに停船する義務があり、これに応じない船にはあらゆる手段で制圧することができる、と私は理解している。例えば、かつて北朝鮮からと推定される不審船に対し、停船命令を出し、それに従わなかったため、射撃制圧した事件があったが、該船は銃弾によりもろくも沈み去った、という事件があった。この件は 撃沈地点は確か領海外でのことだったようだが、国際的に問題にならなかった。この件を、あのテレビに登場する“識者”は どのように解釈するのだろうか。
今回の “中国漁船”とおぼしき船も、映像で見る限り中国国旗を掲げているようには私には見えなかった。いわば、どこの国籍の船か分からない不審船と考えてよかったのではないか。ならば、北朝鮮からと推定される不審船に対したと同様の処置を下したとしても、国際的な非常識ではなかったのではないか。

立場を変えて、北方領土を見ると 中国と日本、ロシアと日本の立場は 全くきれいに入れ替わる。
この北方領土付近の海域で日本の漁船があのような行為に至った場合、ロシアの警備艇は文句なく射撃して来ているはずだ。いや、そのような事態に至る前で、威嚇射撃して制圧拿捕しているはずだ。こうして北海道の漁民は多数拿捕連行されてきた。日本側は これに対して“外交ルート”を通しての抗議を繰り返すだけであった、と言うのが相場であった。
今回の尖閣事件では、“漏洩ビデオ”では、日本の巡視船側は、該漁船に対し警告を発し、見守るばかりのような姿勢であったが、その中で、該漁船はゆうゆうと操業中の魚網を引き上げていたように見える。これを 冷静な大人の対応と言うべきなのだろうか。巡視船は その後 どのように不埒な漁船を銃器を使用せず制圧し、逮捕したのだろうか。
しかも、中国側は関係のない日本人を罠に掛けて人質に取るという野蛮で卑劣な行為に出た。この“人質”の生命に関わる悪影響を考慮して、不法漁船の船長を処分保留のまま解放せざるを得なかったというのが、日本側の立場であった。
このように、日本の“外交”は いつも踏んだりけったりされっぱなしなのだ。これを 称して“ねばり腰”外交と強弁するべきなのだろうか。

この漁船の行動には、怪しい部分が見てとれるように思う。船籍等を示す国旗の掲揚もなく、引き上げる魚網の中には魚がほとんど入っていない。乗組員も妙に落ち着いている風で、ビデオ撮影している者も見えたような気がする。船長はクワエタバコで操舵室に入り、船をぶつけて来た。これは、普通の漁民とは思えない。日本は 中国の一部の政府機関にはめられたのだろうか。
いや、普通の中国漁民が これまでの海保の生ぬるい警備対応を見てきて、巡視船をここまで小バカにするようになった結果なのだろうか。一部の週刊誌報道にあったように、取締官が臨検に当たって漁船側に乗り移った際、逆に簀巻きにされて海に放り込まれる事件があった、というのも本当の話かも知れない。

日本人には 妙に相手の立場を配慮して、言うべきことを言わずに“事を荒立てない”でやり過ごす風がある。これを“大人の対応”と称して、時が過ぎて事態が変化することを期待する風がある。こういう 相手への配慮は 中国人やロシア人には通じていないのではないのか。
何だか、こういう日本人の性癖からだろうか、竹島もそうだし、日本の領土・領海はじわじわと蚕食されてきている印象だ。中国との問題が本当に解消していない時期に、ロシア首相が国後島を訪問するという暴挙に出た。中国の通信社・新華社はこれを速報で伝えた。まるで“グルになって”面白がっているような印象だ。

本当の“大人の対応”とは、その場の局面では過激な行為はしないが、大局的には相手の弱点を見極めて、冷静に行動する、と言うものではないのか。いわば 対面する相手の弱点を押さえるカードを持ち、ここぞという局面で、これをちらつかせ、場合によっては切る。それでこそ“ねばり腰”外交が成立するというものではないのか。
そのカードを持つにはどうするべきなのか。まずは、相手の国の実情、場合によっては交渉相手の政治的立場、特に政的の状況を詳細に把握することではないか。つまり、的確な情報収集なのだ。考えてみると日本政府には 思考停止の外務省以外に、様々なルートの情報を収集する手段や組織がない。何も、スパイ組織が必要だ、というのではない。寺島実郎氏が指摘したような、総合的で大規模な通信社も無い。それから、情報分析・研究や政策立案のシンク・タンクも無い。だから 外交戦略も構築できていない。TPPなどでも、ドロナワ対応で混乱するだけなのだ。こんな事では、自主外交や“ねばり腰”外交が成立するはずがない。
“国家戦略局”を軽視するような首相を頂く政府では、インテリジェントな情報を得るべきだという気分すら醸成されないのではないか。そもそも、日本人には、情報を重視する意識は希薄ではないのか。探査衛星の打ち上げにすら及び腰だった。情報管理意識も希薄なので、ここに来て政府機関からの情報漏洩も 目立ってきたのではないか。恐らく、情報を秘匿する防諜の仕組も政府機関ではいい加減なのだろう。

それにしても、日本は この手に負えない中国にどのように対処して行くべきなのだろうか。
中国は、一見 民主的な社会のように見えるが、実は北朝鮮やミャンマーと同類の独裁国家なのだ。民主的な公正な選挙は歴史上一度も実施したことはない。そして、北朝鮮やミャンマーをバックアップしているとんでもない国家なのだと言うことを肝に銘じるべきである。中国が繁栄する限りにおいて、これらの世界史的に見て異様で奇形の国家群は崩壊することはない。日本の拉致被害者の問題も、実は今の中国政府が安泰である限り解決しないと考えるべきなのだ。
だが、ここに来て中国経済は 今や手の付けられないほどの投機マネーの跳梁跋扈で、崩壊寸前なのは事実だ。人の住んで居ない投機の町があちこちに建設されているというし、最近はニンニクまでが かつてのオランダでのチューリップの球根のように高騰している、という。あの居丈高の共産党独裁の警察国家は いつまでもこのままとは思えない。
本当は こういう状況も 使いようによっては、“カード”になるはずではないか。そういう狡猾な知恵が外交には必要なのだ。お人好しの単なる思考停止では、世界の外交舞台には立てるはずは ないのではないのか。
だが、しかし この崩壊は北朝鮮やミャンマーも含んだものとなるだろうから、日本を含む国際社会に大変な衝撃や、反作用を生むのだろう。そういう準備は日本側にあるのだろうか。

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