小児科医にとって、毎年11月は「咳の止まらない風邪が流行る季節」です。
1週間~2週間経ってもなかなか咳が治まらず、何回も通院する患者さんが目立ちます。
その一因は「RSウイルス」。
■ 「RSウイルス」過去最悪 乳幼児や高齢者に重症化も
(2015/11/10:テレビ朝日)
乳幼児や高齢者で重症化することもある「RSウイルス」の流行が拡大しています。1週間の感染者数が同時期で過去最悪となりました。
国立感染症研究所によりますと、今月1日までの1週間で新たにRSウイルスの感染が確認された患者は全国で4740人でした。調査が開始された2003年以降、同時期では最悪です。初期症状はせきや鼻水など風邪と同じですが、乳幼児や高齢者は重症化するケースがあり、最悪の場合、死亡することもあります。冬にかけて、さらに流行が広がるとみられ、厚生労働省は「生後3カ月以内の乳児の感染は特に注意が必要。おもちゃや手すりも消毒する方が好ましい」と注意を呼び掛けています。
このRSウイルス感染による咳の困るところは、特効薬がないことです。
ウイルスなので抗生物質は効きません。
生まれて初めて冬を迎える赤ちゃんが感染すると、30%はゼーゼーする気管支炎となり、3%は呼吸困難に陥り入院が必要になります。まあ、70%はふつうの風邪で終わりますが。
ゼーゼーすると「気管支喘息では?」と心配になりますね。
鑑別のポイントは、気管支拡張剤(ベネトリンやメプチンなど)を吸入した際の反応です。
喘息発作は気管支平滑筋の収縮(けいれんというイメージ)で気道が細くなるのでベネトリンの吸入が有効ですが、RSウイルス気管支炎では粘膜のむくみや気道分泌物(=痰)がメインの病態なのでベネトリンを吸入してもゼーゼーが改善しません。
保育園など集団生活の場で「RSウイルスが出た!」と情報が流れると、咳のひどい子どもが「検査してください」と来院しますが、診断しても特効薬はありません。
そんな際は、園で咳・鼻症状がある子どもはみんなRSウイルス感染と考えて対策を立てた方がよいと思います。
どうすればよいかというと・・・乳幼児にマスクをさせるのは困難ですし、手洗いも限界があるし・・・難しいですね。
重症化徴候(息づかいが荒い、顔色不良、哺乳不良、睡眠障害)を見逃さないように注意して観察し、怪しかったら医療機関へ、ということになります。
治療は対象療法(症状を和らげて治まるのを待つ)に尽きます。
乳児では鼻水を取ってあげると楽になります。
薬に関しては、当院では一般的な西洋医学の鎮咳去痰剤の他に、希望する方には漢方薬を処方しています。
漢方薬では、咳の性質により使う薬が異なります;
・鼻汁/痰が多くゼロゼロし、自分の分泌物でおぼれてしまいそう
・ゼーゼーして呼吸が荒く咳き込む
・空咳が止まらず顔を真っ赤にして咳き込む
の3パターンで私は使い分けています。
1週間~2週間経ってもなかなか咳が治まらず、何回も通院する患者さんが目立ちます。
その一因は「RSウイルス」。
■ 「RSウイルス」過去最悪 乳幼児や高齢者に重症化も
(2015/11/10:テレビ朝日)
乳幼児や高齢者で重症化することもある「RSウイルス」の流行が拡大しています。1週間の感染者数が同時期で過去最悪となりました。
国立感染症研究所によりますと、今月1日までの1週間で新たにRSウイルスの感染が確認された患者は全国で4740人でした。調査が開始された2003年以降、同時期では最悪です。初期症状はせきや鼻水など風邪と同じですが、乳幼児や高齢者は重症化するケースがあり、最悪の場合、死亡することもあります。冬にかけて、さらに流行が広がるとみられ、厚生労働省は「生後3カ月以内の乳児の感染は特に注意が必要。おもちゃや手すりも消毒する方が好ましい」と注意を呼び掛けています。
このRSウイルス感染による咳の困るところは、特効薬がないことです。
ウイルスなので抗生物質は効きません。
生まれて初めて冬を迎える赤ちゃんが感染すると、30%はゼーゼーする気管支炎となり、3%は呼吸困難に陥り入院が必要になります。まあ、70%はふつうの風邪で終わりますが。
ゼーゼーすると「気管支喘息では?」と心配になりますね。
鑑別のポイントは、気管支拡張剤(ベネトリンやメプチンなど)を吸入した際の反応です。
喘息発作は気管支平滑筋の収縮(けいれんというイメージ)で気道が細くなるのでベネトリンの吸入が有効ですが、RSウイルス気管支炎では粘膜のむくみや気道分泌物(=痰)がメインの病態なのでベネトリンを吸入してもゼーゼーが改善しません。
保育園など集団生活の場で「RSウイルスが出た!」と情報が流れると、咳のひどい子どもが「検査してください」と来院しますが、診断しても特効薬はありません。
そんな際は、園で咳・鼻症状がある子どもはみんなRSウイルス感染と考えて対策を立てた方がよいと思います。
どうすればよいかというと・・・乳幼児にマスクをさせるのは困難ですし、手洗いも限界があるし・・・難しいですね。
重症化徴候(息づかいが荒い、顔色不良、哺乳不良、睡眠障害)を見逃さないように注意して観察し、怪しかったら医療機関へ、ということになります。
治療は対象療法(症状を和らげて治まるのを待つ)に尽きます。
乳児では鼻水を取ってあげると楽になります。
薬に関しては、当院では一般的な西洋医学の鎮咳去痰剤の他に、希望する方には漢方薬を処方しています。
漢方薬では、咳の性質により使う薬が異なります;
・鼻汁/痰が多くゼロゼロし、自分の分泌物でおぼれてしまいそう
・ゼーゼーして呼吸が荒く咳き込む
・空咳が止まらず顔を真っ赤にして咳き込む
の3パターンで私は使い分けています。