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徒然日記

街の小児科医のつれづれ日記です。

新型コロナは「空気・飛沫・接触」以外の“第四の感染経路”に注目すべし。

2022年08月06日 21時24分58秒 | 小児科診療
その第四の感染経路とは「マイクロ飛沫によるエアロゾル感染」です。
理解しにくいのは、聞き慣れない新しいワードが2つ並ぶから。

(マイクロ飛沫)空気中に漂う約5μm前後(未確定)の物質
(エアロゾル感染)病原体を含むマイクロ飛沫を吸うことによる感染

う〜ん、空気感染・飛沫感染とどこが違うの?
 → それは浮遊物質の大きさです。

飛沫感染 → “飛沫”(直径が5μm以上、マイクロ飛沫より大きい)
エアロゾル感染 → “マイクロ飛沫”(約5μm前後・・・未確定)
空気感染は → “飛沫核”(マイクロ飛沫より小さい)

つまり、病原体を含む粒子の大きさが、
飛沫感染>エアロゾル感染>空気感染
ということ。

飛沫はくしゃみの祭に飛び散る唾のイメージ。
ほかのエアロゾルと飛沫核は目には見えません。

いや、目に見えるエアロゾルもありました。
それは「タバコの煙」(後ほどまた登場)。

さて粒子が大きい程、浮遊する距離と時間が短くなり、地面や床の落ちます。

飛沫 → 1-2mの範囲に数秒で落下(ソーシャルディスタンディングの根拠)
マイクロ飛沫 → しばらく浮遊(30分?)
飛沫核 → ずっと浮遊

そして新型コロナの感染経路は、
・飛沫感染:7割
・エアロゾル感染:2割
・接触感染:1割
程度と推定されています。

では各々に対する感染対策はどう違うのでしょうか。

屋内では、
・飛沫感染 → マスク
・エアロゾル感染 → マスク+換気
・空気感染 → N95マスク+換気

が標準的でしょうか。

マスクを正しく装着すると飛沫感染(7割)を予防できますが、
エアロゾル感染(2割)に対抗できません。

十分な換気が必要です。
では換気はどの程度をイメージすればよいのでしょう。
よくシミュレーション動画で、

「部屋の窓を2カ所5-10cm開けておいて空気の流れる道を造る」
「ドアの近くに扇風機をおいて強制換気する」
「30分〜1時間に1回は窓を全開にする」

等、いろいろ言われてきましたが・・・

私は某講演で聴いたフレーズ、
「新型コロナウイルスを含むエアロゾルはタバコの煙をイメージしてください」
感染者が吐く息やくしゃみ・咳に含まれるエアロゾルは、タバコの煙を追い出すほどの換気をしないと部屋からなくなりません
に大いに頷きました。

タバコの煙はまだしも、ニオイってしばらく部屋に残りますよね。
ニオイがする限り粒子は浮遊している≒ウイルスは浮遊している、
ということになります。

部屋の窓を5-10cm開けたくらいでは、
タバコの煙やニオイはすぐになくなるとは思えません。
これはやっかいです。

やはり窓全開か、
それができなければ強制換気する以外方法はないでしょう。

タバコを吸う人は、洋服にもニオイが染み付いていますよね。
同じようにウイルスも付着しているはずなので、接触感染の原因になり得ます。

当院では“エアロゾル感染”が話題になった頃から“換気”に注力してきました。

診察室は窓の他に3カ所の出入り口を半開しており、
さらにウイルスを捕獲する空気清浄機と、
新たに設置した(音がうるさくて困るほど)強力な換気扇で、
強制換気をしています。
その結果、CO2濃度モニターは高いときでも600台(<1000が換気十分の指標)です。

そのおかげで、私を含めてスタッフの感染者はゼロ更新を続けています。


<参考>
飛沫対策とエアロゾル対策は本質的に違う〜COVID-19対策における適切な「換気」
(2022年08月02日:メディカルトリビューン)
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