予防接種の世界では「日本の常識は世界の非常識」の数々がまかり通っています。
接種ルートと接種部位もそのひとつ。
世界では「不活化ワクチンは筋肉注射」が標準ですが、日本はなぜか皮下注射。
これは1970年代の大腿四頭筋拘縮症訴訟のトラウマで「子どもへの筋肉注射は危険」というあやまったイメージが染みついてしまったためです。
そのときに問題になったのはスルピリン(解熱鎮痛剤)やクロラムフェニコール(抗菌剤)の年間100回以上の頻回注射でした。ワクチンは関係なかったのに・・・とんだとばっちりです。
それ以降、筋肉注射より痛くて効果の低い皮下注射を受け続けている日本の子ども達は不幸と云わざるを得ません。
ワクチン接種部位も日本は上腕に限定されてきました。
現在、当院では乳児の同時接種を行っていますが、細くて小さい赤ちゃんの腕にスペースを探しながら苦労して皮下注射しています;
一方世界では大腿部が標準で、アメリカでは生後2・4・6ヶ月時に以下のような同時接種を受けるのがふつうです;
ちなみにイラスト中の略号で、IM=intramascular(筋肉注射)、SC=subcutaneous(皮下注射)です。「太ももへの皮下注射もOK」とも書いてありますね。
さて、遅ればせながら日本でも2012年春、皮下注射というルートはそのまま、接種部位が大腿部にも解禁されました。「予防接種ガイドライン」に下のイラストが掲載されたのです;
かわいいイラストなのですが、これだけではアバウトすぎてどの範囲が接種部位なのかわかりにくい・・・イラスト中の文章は乳児への筋肉注射から引用した接種部位の説明文です。
待ちに待った太もも接種解禁、早速当院でも導入を検討しました。
そこでまた迷いが発生。
「赤ちゃんを寝かせてやるべきか、抱っこしながらやるべきか?」
ガイドラインには何も書いてありません。
そこで予防接種関係のMLにこの疑問を投げかけてみたところ、たくさんのアドバイスをいただき「横向き抱っこ」が標準であることを知りました;
実は「痛くない予防接種の方法」という研究論文があって、寝かせるより抱っこの方が不安が少なく、一番泣かない方法は「母乳を飲ませながらの太もも接種」という驚きの手法が紹介されていました・・・当院ではちょっとそこまではできかねます(苦笑)。
これで準備万端、今週から開始にこぎ着けました。
当初、患者さんが受け入れてくれるか不安がありましたが、お話しするとちょっと驚きはするものの、「世界標準」「腕より痛くない」「院長お勧め」としっかり説明することにより予想より抵抗なく大腿部接種に同意していただきました。
そして実際に接種。
感想を一言で云うと「みんなが楽ちん」です。
お母さんが固定するので看護師の仕事が楽になり、接種部位が広いので医師の私の苦労が減り、そしてなによりも赤ちゃんの泣き方が軽くなった、つまり痛みが軽減されたようなのです。
上腕を使用して同時接種をした際は、火のついたように泣いて泣き止まない赤ちゃんが毎日何人もいましたが、大腿部接種では注射中はそれなりに泣くものの、終わって診察室を出る頃には泣き止む赤ちゃんがほとんど。
これはいい方法です。
もっと早く許可してくれればよかったのに、と感じた次第です。
プクプク・ムチムチの赤ちゃんは採血や点滴では苦労するので小児科医泣かせなのですが、太ももへの予防接種に関しては大歓迎です(笑)。
<追記>
その後大腿部接種をしていて気がついたことを記します;
・やせているお母さんは太ももで挟んで固定しようとしてもスカスカで赤ちゃんの足が抜けてしまう
→ 看護師が足首を下から手を回して固定。
・元気で脚力がある赤ちゃんはぴょんぴょん蹴るので、針を刺した後動いて痛そう
→ やはり1歳くらいまでがよいかと。
接種ルートと接種部位もそのひとつ。
世界では「不活化ワクチンは筋肉注射」が標準ですが、日本はなぜか皮下注射。
これは1970年代の大腿四頭筋拘縮症訴訟のトラウマで「子どもへの筋肉注射は危険」というあやまったイメージが染みついてしまったためです。
そのときに問題になったのはスルピリン(解熱鎮痛剤)やクロラムフェニコール(抗菌剤)の年間100回以上の頻回注射でした。ワクチンは関係なかったのに・・・とんだとばっちりです。
それ以降、筋肉注射より痛くて効果の低い皮下注射を受け続けている日本の子ども達は不幸と云わざるを得ません。
ワクチン接種部位も日本は上腕に限定されてきました。
現在、当院では乳児の同時接種を行っていますが、細くて小さい赤ちゃんの腕にスペースを探しながら苦労して皮下注射しています;
一方世界では大腿部が標準で、アメリカでは生後2・4・6ヶ月時に以下のような同時接種を受けるのがふつうです;
ちなみにイラスト中の略号で、IM=intramascular(筋肉注射)、SC=subcutaneous(皮下注射)です。「太ももへの皮下注射もOK」とも書いてありますね。
さて、遅ればせながら日本でも2012年春、皮下注射というルートはそのまま、接種部位が大腿部にも解禁されました。「予防接種ガイドライン」に下のイラストが掲載されたのです;
かわいいイラストなのですが、これだけではアバウトすぎてどの範囲が接種部位なのかわかりにくい・・・イラスト中の文章は乳児への筋肉注射から引用した接種部位の説明文です。
待ちに待った太もも接種解禁、早速当院でも導入を検討しました。
そこでまた迷いが発生。
「赤ちゃんを寝かせてやるべきか、抱っこしながらやるべきか?」
ガイドラインには何も書いてありません。
そこで予防接種関係のMLにこの疑問を投げかけてみたところ、たくさんのアドバイスをいただき「横向き抱っこ」が標準であることを知りました;
実は「痛くない予防接種の方法」という研究論文があって、寝かせるより抱っこの方が不安が少なく、一番泣かない方法は「母乳を飲ませながらの太もも接種」という驚きの手法が紹介されていました・・・当院ではちょっとそこまではできかねます(苦笑)。
これで準備万端、今週から開始にこぎ着けました。
当初、患者さんが受け入れてくれるか不安がありましたが、お話しするとちょっと驚きはするものの、「世界標準」「腕より痛くない」「院長お勧め」としっかり説明することにより予想より抵抗なく大腿部接種に同意していただきました。
そして実際に接種。
感想を一言で云うと「みんなが楽ちん」です。
お母さんが固定するので看護師の仕事が楽になり、接種部位が広いので医師の私の苦労が減り、そしてなによりも赤ちゃんの泣き方が軽くなった、つまり痛みが軽減されたようなのです。
上腕を使用して同時接種をした際は、火のついたように泣いて泣き止まない赤ちゃんが毎日何人もいましたが、大腿部接種では注射中はそれなりに泣くものの、終わって診察室を出る頃には泣き止む赤ちゃんがほとんど。
これはいい方法です。
もっと早く許可してくれればよかったのに、と感じた次第です。
プクプク・ムチムチの赤ちゃんは採血や点滴では苦労するので小児科医泣かせなのですが、太ももへの予防接種に関しては大歓迎です(笑)。
<追記>
その後大腿部接種をしていて気がついたことを記します;
・やせているお母さんは太ももで挟んで固定しようとしてもスカスカで赤ちゃんの足が抜けてしまう
→ 看護師が足首を下から手を回して固定。
・元気で脚力がある赤ちゃんはぴょんぴょん蹴るので、針を刺した後動いて痛そう
→ やはり1歳くらいまでがよいかと。
太ももだと、泣いたのが3例。1歳を越えたお子さん。前の注射の経験があるからから、診察室入ったところから緊張。注射器見て大緊張で、注射する前に泣きが入る。(笑)
確かに太もも。泣きません。結構、ブスっと行っている感じなんだけど、コドモの顔見ていると「?」ってな感じで終わってました。
先週末、予防接種を初めて受けてまいりました。
複数同時接種(ヒブ・B型・肺炎球菌・ロタリックス内服)をしたのですが、そのクリニックでは、上腕部に3本とも注射されました。
予想通り、火のついたように号泣して、その日の夜は痛みを思い出すのか、何をしても泣きやまない状態に陥りました。
次の予防接種では、さらに1本増えるので見ていてかわいそうになってしまうのですが、こちらのサイトを読んでいて、接種箇所について書かれていたので質問させてください。
質問1:
「上腕部より、大腿部の方が痛みも軽減されるとのことですが、1回目を上腕部で接種した場合、
2回目以降を大腿部にしても問題ないでしょうか?」
質問2:
「またそれが問題ないのであれば、一回目、上腕部に接種していただいたクリニックに、
大腿部への接種をお願いしていいものでしょうか?」