昨夜TVを見ていたらRSウイルスのニュース(下記)が流れました。
医師の私が聞いていても恐くなるような内容で、不安を煽りすぎ・・・まったくもう。
ちなみに、当地域では大流行の気配は今のところ感じません。
RSウイルス感染症に関しては「正確な知識を得て正しく怖がりましょう」と言いたいです。
<ポイント>
・1回罹ってお終いではなく、一生のうち何回も感染する。
・回数を重ねるごとに軽く済むようになる。
・・・大人はふつうの風邪と変わらないが、初めて罹る1歳未満の乳児は悪化しやすく、約30%はゼーゼーし(細気管支炎)、呼吸がつらくなって入院する例が約3%。1歳以降の重症化は少ない(ゼロではありません)。
・特効薬はない。
■ RSウイルス感染症 大流行か(10月18日 NHK)
乳幼児に肺炎などを引き起こすRSウイルス感染症の患者が、都市部を中心に引き続き増え、国立感染症研究所は、これまでで最も大きな流行になるおそれがあるとして、特に赤ちゃんのいる家庭では手洗いなどの予防策を徹底するよう呼びかけています。
RSウイルス感染症は、毎年、冬場にかけて主に乳幼児で流行する発熱やせきなどの症状が出る病気で、初めて感染した場合は、肺炎や脳症を引き起こして重症化することがあります。国立感染症研究所によりますと、今月9日までの1週間に全国およそ3000の小児科の医療機関から報告された患者の数は、28の道府県で前の週を上回って1969人となり、去年の同じ時期の2倍近くになっています。平成15年に調査を始めてから、この時期としては最も多く、研究所は今後、さらに患者が増え、これまでで最も大きな流行になるおそれがあるとしています。
都道府県別にみると、大阪府が179人で最も多く、東京都が143人、愛知県が110人など、都市部を中心に全国的に広がりつつあります。
国立感染症研究所の安井良則主任研究官は「ことしは特に1歳以下の患者が多く、全体の70%以上を占めている。特に赤ちゃんのいる家庭では、親や兄弟が感染していることに気付かずにうつしてしまうケースが多いと考えられるので、手洗いのほか、せきやくしゃみの飛まつを浴びせないなどの予防策を徹底してほしい」と呼びかけています。
RSウイルス感染症は、主にくしゃみなどによる飛まつ感染や接触感染でうつり、発熱や鼻水、せきなど、かぜのような症状が出ます。年齢を問わず何度でも感染を繰り返し、大人は鼻かぜ程度の軽い症状で済みますが、乳幼児が初めて感染したときは、肺炎や脳症を引き起こして重症化する場合もあります。中でも、生後間もない赤ちゃんは、肺など呼吸器の発達が不十分なことから、無呼吸状態になって突然死につながるおそれがあり、特に注意が必要だとされています。生後6か月程度までは、はしかや風疹などの感染症に対しては、胎盤や母乳を通じて、母親から受け取った免疫の仕組みが働きますが、RSウイルスには無効で、生後すぐから感染するということです。このため、1歳未満の乳児の場合、RSウイルス感染症による10万人当たりの死亡率は、インフルエンザの2倍以上に上るとされています。
実はRSウイルスの検査は今まで外来ではできませんでした(入院患者さんのみに保険診療で許可)。一部の医療施設が病院負担で検査を行ってきたデータが上記記事になっていますので、実際の患者数はもっとたくさんいるはずです。
毎年、11~12月頃に保育園で咳・鼻の風邪が流行ります。その一部がRSウイルスで、あっという間に広まります。重症化するのはほんの一部であり、周囲の風邪症状のある乳幼児は全部同じなのですよ。感染力が強く、また症状が治まった後も数週間はウイルスを排泄(つまり他人に感染させる)するので、流行阻止は困難を極めます。完璧な感染対策をとろうとすれば、流行期に風邪症状が出た乳幼児は1ヶ月休んでもらわなくてはなりません。現実的ではないですね。
さて、「10月17日から外来でもRSウイルスの検査が乳児に限って許可」されるという情報が飛び込んできたので、当院でも取り扱う準備を始めたところです。もうしばらくお待ちください。
当院HPのRSウイルスの項目もご参照ください。
http://www.takei-c.com/diary/common_cold.html
医師の私が聞いていても恐くなるような内容で、不安を煽りすぎ・・・まったくもう。
ちなみに、当地域では大流行の気配は今のところ感じません。
RSウイルス感染症に関しては「正確な知識を得て正しく怖がりましょう」と言いたいです。
<ポイント>
・1回罹ってお終いではなく、一生のうち何回も感染する。
・回数を重ねるごとに軽く済むようになる。
・・・大人はふつうの風邪と変わらないが、初めて罹る1歳未満の乳児は悪化しやすく、約30%はゼーゼーし(細気管支炎)、呼吸がつらくなって入院する例が約3%。1歳以降の重症化は少ない(ゼロではありません)。
・特効薬はない。
■ RSウイルス感染症 大流行か(10月18日 NHK)
乳幼児に肺炎などを引き起こすRSウイルス感染症の患者が、都市部を中心に引き続き増え、国立感染症研究所は、これまでで最も大きな流行になるおそれがあるとして、特に赤ちゃんのいる家庭では手洗いなどの予防策を徹底するよう呼びかけています。
RSウイルス感染症は、毎年、冬場にかけて主に乳幼児で流行する発熱やせきなどの症状が出る病気で、初めて感染した場合は、肺炎や脳症を引き起こして重症化することがあります。国立感染症研究所によりますと、今月9日までの1週間に全国およそ3000の小児科の医療機関から報告された患者の数は、28の道府県で前の週を上回って1969人となり、去年の同じ時期の2倍近くになっています。平成15年に調査を始めてから、この時期としては最も多く、研究所は今後、さらに患者が増え、これまでで最も大きな流行になるおそれがあるとしています。
都道府県別にみると、大阪府が179人で最も多く、東京都が143人、愛知県が110人など、都市部を中心に全国的に広がりつつあります。
国立感染症研究所の安井良則主任研究官は「ことしは特に1歳以下の患者が多く、全体の70%以上を占めている。特に赤ちゃんのいる家庭では、親や兄弟が感染していることに気付かずにうつしてしまうケースが多いと考えられるので、手洗いのほか、せきやくしゃみの飛まつを浴びせないなどの予防策を徹底してほしい」と呼びかけています。
RSウイルス感染症は、主にくしゃみなどによる飛まつ感染や接触感染でうつり、発熱や鼻水、せきなど、かぜのような症状が出ます。年齢を問わず何度でも感染を繰り返し、大人は鼻かぜ程度の軽い症状で済みますが、乳幼児が初めて感染したときは、肺炎や脳症を引き起こして重症化する場合もあります。中でも、生後間もない赤ちゃんは、肺など呼吸器の発達が不十分なことから、無呼吸状態になって突然死につながるおそれがあり、特に注意が必要だとされています。生後6か月程度までは、はしかや風疹などの感染症に対しては、胎盤や母乳を通じて、母親から受け取った免疫の仕組みが働きますが、RSウイルスには無効で、生後すぐから感染するということです。このため、1歳未満の乳児の場合、RSウイルス感染症による10万人当たりの死亡率は、インフルエンザの2倍以上に上るとされています。
実はRSウイルスの検査は今まで外来ではできませんでした(入院患者さんのみに保険診療で許可)。一部の医療施設が病院負担で検査を行ってきたデータが上記記事になっていますので、実際の患者数はもっとたくさんいるはずです。
毎年、11~12月頃に保育園で咳・鼻の風邪が流行ります。その一部がRSウイルスで、あっという間に広まります。重症化するのはほんの一部であり、周囲の風邪症状のある乳幼児は全部同じなのですよ。感染力が強く、また症状が治まった後も数週間はウイルスを排泄(つまり他人に感染させる)するので、流行阻止は困難を極めます。完璧な感染対策をとろうとすれば、流行期に風邪症状が出た乳幼児は1ヶ月休んでもらわなくてはなりません。現実的ではないですね。
さて、「10月17日から外来でもRSウイルスの検査が乳児に限って許可」されるという情報が飛び込んできたので、当院でも取り扱う準備を始めたところです。もうしばらくお待ちください。
当院HPのRSウイルスの項目もご参照ください。
http://www.takei-c.com/diary/common_cold.html