かっこうの長編8冊目は2004年の夏コミに出したもので、CDドラマ「南麻布魔法倶楽部」の続編、原日本人の悪夢はまだ終わっていなかった、という話で考えました。更に、今回は特に我が地元で麗夢ちゃんに活躍してもらおうと趣向を凝らすことにしました。おかげで今回のお話の舞台はすべてバイクで走り回れるところでしたし、それ以外にも、いくつかお話には使えませんでしたが、いくつか取材した先も、作品の雰囲気の味付けには十分役立ってくれたと思います。
次の作品「ドリームジェノミクス」の舞台も関東にはなっていますが、基本的に自分の日ごろ見慣れた風景を茨城県に移しただけですし、その次は完全に関西が舞台ということで、まあようするにあんまり遠くは大変だ、ということが大きかったのですが、作品のための現地取材をしない場合でも、よく行く所や過去の記憶に基づくものと、全く見たこともないところとでは、単にネット検索するにしてもその理解度が変わります。やっぱりよく知るところほど肌に合う、というか、自然に情景が思い浮かんで、そういう点では描きやすくなるんじゃないか、と思うのです。
さて、今回の重要な「主役」である「百足」ですが、長い身体、もぞもぞと奇怪に動くたくさんの足、そして強烈な毒牙、私はこの虫が大嫌いなのですが、調べてみるとこれをわざわざペットにしているヒトがいるのだとか。それも、日本産のだけじゃなく、熱帯亜熱帯のもっと巨大なやつを飼ってたりするそうです。あのメカニカルな姿がかえって好事家の食指をそそるのでしょうか? 好みは人それぞれとはいいますが、その趣味を理解するのは今でも難しいと感じます。
ところで、このお話のそもそもの発端は、オフィシャルサイトの掲示板でネタ振りした「自分達の地元に麗夢ちゃんを呼ぶための話の種を出してみよう」という内容をベースに膨らませたものなのです。あの時は、役行者によって葛城山に封じられた悪霊が開放され、奈良の大仏に乗り移って怪獣さながらに街を破壊しながら南へ進撃、麗夢達が大和三山に配置した三種の神器で倒す、という話でした。おおよそはその通りの展開で話を作ってあるわけですが、さらに一工夫とばかりに、考古学会の手を拒む天皇陵の話とか、都としては不思議な形をしている藤原京の話を盛り込んでみたわけです。ちょうど大和三山は藤原京の中心部を囲む形ですし、うまい具合にパズルがはまった、と描きながら感じました。
一つ今でも誤算、というか、ちょっと気になるのが、円光が十津川村玉置山で十種の神宝を入手するくだりです。十種の神宝というのは、物部氏の祖先神とされる饒速日命(にぎはやひのみこと)が伝えたとされるもので、奈良県天理市にある石上神宮(いそのかみじんぐう)という、物部氏ゆかりの神社に伝えられている宝物です。石上神宮の御祭神は布留御魂神(ふるのみたま)とおっしゃるのですが、この神様自体が十種神宝そのものである、という伝承もあります。ほかにも、我が国最古クラスの神社として、石上神宮には他の神社にはない、独特の祓詞や祭事があって、それらをうまく組み合わせて話を作るつもりで、神宮に取材も行きましたし、話も書き始めておりました。ただ、円光がこの神社に来る理由をうまくつけることができなかったこと、熊野の奥の院とされる玉置神社にも、十種の神宝伝承があることなどを勘案し、修験道の熊野のほうが円光を配置しやすい、ということで、話をここに定めました。
今回改めて読み返して、その判断は間違ってなかった、とは思うのですが、石上神宮やその隣の市桜井市に鎮座まします日本最古の神社三輪明神などを絡めてお話ができなかったのが、やっぱり惜しいと思うのです。
まあそんなわけで、一本調子なほどお話としてはほとんどひねりがありませんが、その分麗夢ちゃんや夢御前様に智盛まで動員しての活劇仕立てになっていますので、巨大怪獣対麗夢ちゃんの戦いを楽しんでいただけたら、と思います。
次の作品「ドリームジェノミクス」の舞台も関東にはなっていますが、基本的に自分の日ごろ見慣れた風景を茨城県に移しただけですし、その次は完全に関西が舞台ということで、まあようするにあんまり遠くは大変だ、ということが大きかったのですが、作品のための現地取材をしない場合でも、よく行く所や過去の記憶に基づくものと、全く見たこともないところとでは、単にネット検索するにしてもその理解度が変わります。やっぱりよく知るところほど肌に合う、というか、自然に情景が思い浮かんで、そういう点では描きやすくなるんじゃないか、と思うのです。
さて、今回の重要な「主役」である「百足」ですが、長い身体、もぞもぞと奇怪に動くたくさんの足、そして強烈な毒牙、私はこの虫が大嫌いなのですが、調べてみるとこれをわざわざペットにしているヒトがいるのだとか。それも、日本産のだけじゃなく、熱帯亜熱帯のもっと巨大なやつを飼ってたりするそうです。あのメカニカルな姿がかえって好事家の食指をそそるのでしょうか? 好みは人それぞれとはいいますが、その趣味を理解するのは今でも難しいと感じます。
ところで、このお話のそもそもの発端は、オフィシャルサイトの掲示板でネタ振りした「自分達の地元に麗夢ちゃんを呼ぶための話の種を出してみよう」という内容をベースに膨らませたものなのです。あの時は、役行者によって葛城山に封じられた悪霊が開放され、奈良の大仏に乗り移って怪獣さながらに街を破壊しながら南へ進撃、麗夢達が大和三山に配置した三種の神器で倒す、という話でした。おおよそはその通りの展開で話を作ってあるわけですが、さらに一工夫とばかりに、考古学会の手を拒む天皇陵の話とか、都としては不思議な形をしている藤原京の話を盛り込んでみたわけです。ちょうど大和三山は藤原京の中心部を囲む形ですし、うまい具合にパズルがはまった、と描きながら感じました。
一つ今でも誤算、というか、ちょっと気になるのが、円光が十津川村玉置山で十種の神宝を入手するくだりです。十種の神宝というのは、物部氏の祖先神とされる饒速日命(にぎはやひのみこと)が伝えたとされるもので、奈良県天理市にある石上神宮(いそのかみじんぐう)という、物部氏ゆかりの神社に伝えられている宝物です。石上神宮の御祭神は布留御魂神(ふるのみたま)とおっしゃるのですが、この神様自体が十種神宝そのものである、という伝承もあります。ほかにも、我が国最古クラスの神社として、石上神宮には他の神社にはない、独特の祓詞や祭事があって、それらをうまく組み合わせて話を作るつもりで、神宮に取材も行きましたし、話も書き始めておりました。ただ、円光がこの神社に来る理由をうまくつけることができなかったこと、熊野の奥の院とされる玉置神社にも、十種の神宝伝承があることなどを勘案し、修験道の熊野のほうが円光を配置しやすい、ということで、話をここに定めました。
今回改めて読み返して、その判断は間違ってなかった、とは思うのですが、石上神宮やその隣の市桜井市に鎮座まします日本最古の神社三輪明神などを絡めてお話ができなかったのが、やっぱり惜しいと思うのです。
まあそんなわけで、一本調子なほどお話としてはほとんどひねりがありませんが、その分麗夢ちゃんや夢御前様に智盛まで動員しての活劇仕立てになっていますので、巨大怪獣対麗夢ちゃんの戦いを楽しんでいただけたら、と思います。