かっこうのつれづれ

麗夢同盟橿原支部の日記。日々の雑事や思いを並べる極私的テキスト

今年も去年も一昨年もその前も更にその前も、3月は鬼門でした。

2010-03-31 22:45:01 | Weblog
 ついに3月も今日で終わり、明日からは4月で新年度、となります。人事異動で仕事場のヒトも若干の入れ替わりがあり、しばらくはお互い慣れるのに時間がかかりそうですが、山の中の職場環境は、仕事はともかく総体にのんびりした雰囲気に包まれておりますし、ゴールデンウィークを過ぎる頃には、大体なじんでくるのではないかと思っています。ただ、3月の寒暖の差の激しさにはかなり参りました。何でも過去に例がなかなか見つからないほど気温が異常に振れたそうで、農作物にも色々被害が出ているそうです。せめて4月からは落ち着いた天気になって、春うららかな季節を感じさせてくれるようになればいいのですが、明日明後日は雨であれた天気が予報されているようですし、なかなか簡単には収まりがつかないみたいです。まあ、花粉がほとんどなくなってきたのがありがたいくらいですね。

 それにしても、昨年の今頃は風邪を引いて難儀しておりましたし、一昨年も花粉症で大分痛めつけられていたようでした。その前の年もやはり風邪を引いて寝込んでいますし、今年も結構頭痛やら目眩やらのオンパレードで、どうもここ数年の春先はマトモな体調であったためしが無いようです。まあ今年に関しては、これまで新型インフルエンザが流行ってみたりした中で、こうして特に熱を出したり風邪を引いたりすることも無くここまでこの異常気象を乗り越えて来ているのですから、案外まだ体調や体力はマシな方かもしれません。あるいは、ひょっとして一昨年から始めたオリゴ糖摂取が少しは身体になじんできたのでしょうか?それならそれで嬉しいのですが、昔々、オリゴ糖が初めて世に喧伝されるようになった頃に摂取していた時の効果に比べると、今のオリゴ糖はあんまり効果が明らかに見えてきません。それだけ年を取って体の反応がにぶってしまったのか、あるいはかつては大豆オリゴ糖たったのに、今は安い磯マルオリゴ糖を摂取しているので、その差が体の反応の違いに出ているのか、気になるところではあります。
 
 
 
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東京都副知事、更に言を重ねて事態の沈静化を目論む?

2010-03-30 22:18:29 | Weblog
 今日はようやく晴れてくれましたが、空気はひんやりとして、日に当たってようやく温もりを覚える、というような天気でした。夕方からはまた冷え込みが強くなってきましたが、そろそろ寒冷とは縁遠い春そのものになって欲しいと思います。

 さて、昨日東京都副知事のブログを取り上げましたが、今日見たらまた追加のアップがありました。「エロ規制はあったが、ロリ規制がなかった」
150字足らずの極簡単な内容で、ようするにこれまで不健全図書として隔離されてきたところにロリータ物を入れるようにし、18歳未満の目に触れないようにする、というだけのことだ、とのたまっておいでです。昨日のブログで触れた「奥様は小学生」は一応一般向けなので、その手の一般向けとして流通しているものも今回あらためて不健全図書に認定し、一般の書棚から外して専用の成人コーナーに配置換えする、という理解でいいんでしょうか。ただ、「近親相姦や強姦などを肯定的に繰り返すものに限定して不健全図書に指定」というお言葉からすると、槍玉に上げた「奥様は小学生」は該当しないようにも思えます。それを考えますと、どうも副知事もまだ規制したいと思ってらっしゃる物が一体どのようなものなのか、風聞やイメージで語っていて、実態をよく理解されていないのではないか、というような危惧を覚えます。
 ただ、もし副知事の言うとおりなら、線引きがいまだ不分明な点はあるものの、私は、概ねその言い分が理解できます。淫靡なる物は隠微であるが故に意味を持つのであって、何でも売れりゃあいい、とばかりにあけっぴろげにしておいては折角の魅力が半減しますし、私自身、この手の趣味嗜好の物を例えば家人が観られるような場所に露出しておくことには非常な抵抗を覚えます。それに、個人的には、例えばスプラッタ物など目に入れたくはないので、それらの物が不健全図書に指定され、隔離されるならある意味歓迎でもあります。まあ、成人コーナーに出入すればそれまでではありますが(笑)。
 といいつつ、これは私が見たくないもの、という基準ですので、条例を作るからには、その隔離基準の厳正なる定義と、その拡大解釈・恣意的運用への抑止が働くようにきっちり組んでもらいたいと思います。
 問題は、これが都の見解ではなく、あくまで副知事の見解であること。どうも親分である知事は違う考えをお持ちのように見えますし、都議会の方々は言わずもがなですし、誤解を解いて事態の沈静化を図りたいのかもしれませんが、それならそれで、率先して仰る通りの形で条例が作られるよう、各位に影響力を行使してもらいたいものです。

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都知事だけでなく副知事も、見解はさほど変わらないようで。

2010-03-29 21:58:41 | Weblog
 今朝は寒いな、と思いながら出勤しましたら、途上いつも遠望出来る葛城山の上5分の1位が白くなっていました。南にある更に高い金剛山の方は、すっぽりグレーの雲に覆われて見えませんでしたが、多分あの雲の中では雪が降っているのでしょう。まあ朝のうちだけなら、たまにはそんなこともあろう、と思っていたのですが、昼間、一時でしたが駐車場の端が見えなくなるくらい猛然と雪が降ってきて、視界を白く染めたのには流石に驚きました。もう3月も終わり、4月になろうかという暦なのに、真冬同然の雪を見ることになろうとは。しかも天気予報によると明日朝は氷点下になるという話で、その後はなんとか晴れるものの、また雨が続き、一向に天候が回復する様子が見られません。サボテン植え替え、少し早まったかも。ずっと使っている簡易フレームでは、植替え直後の弱っている時にこの寒さを防ぐにはちょっと能力不足な気がします。手狭になってきたことでもありますし、今年はどうしても温室を新調しないとダメなようです。

 さて、とりあえずは継続審議になった東京都の某条例案、知事はともかく色々と鳴り物入りな副知事殿はどのような見解をお持ちか、機会があれば是非表明してもらいたい、と常々思っていたのですが、ご自身のブログで一通りの見解を述べておられました。題して、『言論表現の自由とは別モノ』http://www.inosenaoki.com/blog/2010/03/post-7660.html
もうひとつ、『ツイッター始めました。』http://www.inosenaoki.com/blog/2010/03/post-05ba.html#comments にも一言言及されている部分が。
 ううむ、もう少し、言論人としてマトモな意見を期待していたのですが、なんとも杓子定規な感想とご意見。これでは、条例制定が伸びたからと言ってもほとんどお先真っ暗なのではないでしょうか。
 取り上げられている「奥様は小学生」なるコミックスも、書評等で垣間見た体でではありますが、少なくとも副知事やその友人のフランス人青年が「ひどいねえ」というほどのモノではないように思います。それに、コミックスやアニメなどのこの種の豊穣な文化を持つ我が国と、この手に関しては大したことの無いフランス人とでは感じ方が違うのは当たり前で、我が国の国民の感性に基づいて判断すれば良いことであり、仏人の意見がさも正当であるかのように取り上げられるのはいかがかとも思います。
 あと、「ふつうの書店で、ビニールでもなく、誰でも買えるふつうの棚に置いている。18歳未満でも買うことができる。」といいますけど、普通の本屋さんで置いているんでしょうか? 秋葉原や日本橋のコミックス専門店等、それなりのお店でないと入手出来ないんじゃないか、と思うのですが、どうなんでしょうね。うちの近所でも簡単に見つけられるのか、一度見に行って置く必要があるかもしれません。

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お天気回復のために、昨日は危うく更新忘れるところでした。

2010-03-28 22:15:13 | Weblog
 昨日はようやく訪れた天候回復の休みの日、ということで、かねてより延び延びになっていたサボテンの植替えに朝から取り掛かり、それが済んだ後はこれも随分放置していた万年床な布団を久々に干し、布団の有ったところを重点に掃除をして、更に洗濯を手伝い、散髪に行って、帰宅後干した布団を取り込み、サボテンの様子を観て、ととにかくこの機会に、と色々動きまわって、ようやく人心地ついた午後遅く。さて、何かまだやり残していたことは無かったか、とぼんやり考えていたのですが、はた! と、毎土曜日の連載小説更新をしていないことに気がつきました。更に厄介なことに、今週は仕事も色々あってまだ1行も書いていません。ただ、先週の神奈川出張中にノートへ手書きで相当ページ数書き込んでおいたので、それを修正しつつタイプすれば、案外簡単にアップできるはず、と思い直し、そのノートを探したのですが、出てきません。続き、少しでも時間がある時に書き綴ろうと先週一週間は職場に持って行っていたのですが、散々探して分かったことは、おそらく金曜日に見た後、持って帰ってくるのを忘れたのだろう、ということだけでした。確かに一度は書いてみたモノですが、大まかな話の流れは記憶になるものの、細かい描写は全然記憶にはありません。よもやノートを取りに職場に出向くわけにも行きませんし、残り時間少なくなった土曜日の事を思えば、仮に取りに行ったとしても土曜日中の更新は絶望的です。つまり、ここはなんとしても僅かな記憶を頼りに、イチから書き込むより無い、と観念し、どうにかこうにか、テキストを仕上げたのでした。先週ノートに書き込んだものと比べると、多分大筋ではそんなに変わっていないものの、細かい描写や順番はかなり変わってしまったことでしょう。明日、職場でノートを見つけて確かめればはっきりしますが、変化したところがこの後の展開に響いてなければ良いとすこしばかり祈る気持ちでいます。
 この2章までが序盤という位置づけです。かなり進んできましたが、最終的には多分あと2回位で2章終えられるという見込みでいます。それが終わったらいよいよ中盤ですが、神奈川出張中もこの先の展開はまだ大雑把にしか考えることが出来なかったので、全体を俯瞰しつつ、2章終了までに次の肉付けを考えていきたいと思います。

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02.悪夢の後継者 その4

2010-03-27 21:56:53 | 麗夢小説『夢の匣』
 中庭の中央には大きな花壇があり、荒神谷皐月がその花壇を回りこんだ。その前方に、大きなガラスが上下にはまった観音開きの扉が今は全開に開かれており、その奥に、小さな扉がたくさんついた下駄箱が林立するのが麗夢にも見えた。どうやら校舎の玄関口らしい。
「待てーっ!」
 麗夢が花壇を巡りはじめた時には、既に皐月のツインテールがその玄関口から校舎に飛び込んでいた。皐月の足は案外に速い。高等部での追いかけっこでも、麗夢が全力で駈けているのに、一向に追いつく様子がないくらいである。彼女の姉たちが、運動神経という点ではごく平均的な女子高生の域を出なかっかったのに対し、皐月の足は間違いなく次元が違う。ひょっとしたら、一種の超能力だろうか? と麗夢は思った。荒神谷弥生達原日本人の巫女達は、古代史研究部別名ESP研究会を主宰する超能力者達でもあった。もし小気味良く先を走り続ける自称後継者が本当に彼女らの妹であるならば、何らかの異能の力を宿していたとしても、全く不思議ではない。
 とはいえ、今更警戒していてもどうしようもない。今も現実を侵食するこの異様な学校。そして見た目のあどけなさからは伺いしれない未知の能力。どれをとっても躊躇するには十分すぎる材料が揃っている。それに、まるで誘うように一定の距離を保って逃げるツインテールの様子を見ても、罠の存在は疑いないだろう。だが、と遅れて玄関口に飛び込みながら麗夢は思った。虎穴に入らずんば虎子を得ず。この状況を何とかするためには、罠だろうが何だろうが、飛び込むしか無いのだ。
 こんな時こそ円光さんがいてくれたら、とふと思う麗夢だったが、そう言えば、と胸のうちに、ある疑問が沸き起こった。
 円光さんは何をしているのだろう?
 円光は麗夢のように夢に入る力はないが、気の流れを読み、悪鬼邪霊の瘴気を感じとる能力は麗夢をもしのぐものがある。今、この現象の中に身を置いているならば気づいていないはずが無く、その焦点と目されるあの少女の持つ箱の存在を、絶対に外すことなく突き止めているはずだ。その足も、足場によっては下手な乗用車よりも速い。それ程の男が、何故か今だに何の気配も無い。ひょっとしてなにかあったのだろうか……。
 玄関口から、左右に立ち並ぶ下駄箱や、今は空っぽな傘立ての列の中を抜け、麗夢は廊下に躍り出た。円光や鬼童、榊のことも気になるが、今はそのことを確かめる術も時間もない。
 麗夢が左右を素早く見回すと、背後から、あの天真爛漫な声が届いた。
「何してるの? 早く来ないと、置いてっちゃうよ?」
 振り返ってみると、10mも行かないところの右側の壁から、少女のツインテールがひょっこりと顔を出していた。
「早く早く! こっちだよ!」
 少女が満面の笑みを引っ込めた途端、タンタンタン! と小気味よく階段を駆ける音が廊下に木霊した。上か! と麗夢も大急ぎで廊下を横切り、現れた階段を駆け上がる。手すり越しにすぐ手の届きそうな所で揺れるツインテールの一端が見え、たまにチラッと少女が目線を寄越してきては、すぐにかっと笑って消えるというのが繰り返される。誘われているのはもはや疑いない。
 古代史研究部の部室を出て以来姿の見えない残り3人の娘(うち一人は男の子?)の行方も気にかかる。囮役の少女が逃げるこの校舎の上のどこかで、待ち構えて罠を張っているのだろうか。だが、特に遠回りもせず全速力でここまで来た少女と麗夢を抜いて、先にたどり着いている、というのも考えにくいことではある。それでも、何があってもおかしくない、というつもりでいないと足元を掬われるに違いない。既に、弥生達の妹、というだけで、十分驚かされているのだから。
 2階を過ぎ、3階を通り越して、麗夢は、最上階の4階までたどり着いた。改めて左右を見やると、左の先にある教室の一つに、今にも飛び込む少女の姿が一瞬だけ見えた。追い詰めた、いや、追い詰められた? どちらにしても、鬼ごっこはこれで終わりだ!
「もう逃がさないわよ!」
 麗夢は飛び掛るように少女が消えた教室前まで躍り出ると、今はわずかに隙間を空けて閉じている扉に手をかけ、一気に引きあけようと力を込めた。
 ! 
 殺気ではない。だが、非常にそれに近いものが、力を入れかけた麗夢の右手を押しとどめた。
 期待、押し隠した喜び、笑いの前兆。
 そんな無邪気で鋭い気の動きを察知した麗夢は、自分の腕に、白い粉が一つまみ、付着していることに気づいた。恐る恐る引き戸にかけた手を引き、粉が落ちてきたとおぼしき上を見ると、上の桟のあたりに、扉に挟まれた黒板消しの姿が目に入った。本来は黒に近い紺色のイレーサー部分が、たっぷりのチョークの粉をまとって真っ白になっているのが見える。
 なんとまあベタで子供らしいいたずらなの。でも、そんな幼稚な手には、引っかからないわ!
 麗夢は改めて扉に手をかけると、一気に引きあけると同時に、思い切り後ろに飛んだ。支えを失った黒板消しが、チョークの粉をこぼしながら正確に落ちてくる。麗夢は勝利を確信して力強く床に着地した、その瞬間。
 「あっ?!」
 硬いリノリウムの床を踏んだはずの右足の上靴底が、何か小さい粒々を踏んだ感触を麗夢に伝えた瞬間、つるんっと滑った。ぐらりと上体がバランスを失い倒れこむ中、とっさに出た左足も、それは見事に床を捉え損ない、跳ね上げた右足の後を追った。麗夢の両手が虚しく宙を掻き、怖気をふるう落下の感触を一瞬残して、麗夢のお尻がこれでもかとばかりに床に叩きつけられた。
「っ!」
 余りの痛さに声も出ない。麗夢はうつむいて痛みをこらえ、床に着いた手の平のおかしな感触に、涙あふれる目を辛うじて開いた。その視線に、直径1センチほどの銀色のボールが、床一面に転がっているのが見える。パチンコ玉だ。敵は、麗夢が黒板消しの存在に気づき、後ろに飛び跳ねることまで計算して、罠を張っていたのだ。
「きゃーはははははっ! ま、まさかこんなに綺麗に引っかかるなんて! 麗夢ちゃん、なんていいキャラなの? あぁもうお腹痛いぃっ!」
 開け放たれた扉の向こうで、お腹を抱えてげらげら笑い暴れるツインテールの少女が見えた。麗夢は、自分がまんまと小学生の罠にはまったことに、猛烈な怒りを覚えて叫んだ。
「ど、どういう積もりよこんないたずらして! もう、もう絶対、絶対許さないんだから!」
「子供の可愛らしいいたずらにいちいち怒ってたら、しわが増えちゃうよ? 第一、あたしがしたんじゃないしぃ」
「あなたじゃなけりゃ、誰の仕業よ!」
「我々、原日本人親衛隊の仕事だ!」
 荒神谷皐月の背後から、わらわらと3人の少年が姿を現した。一人は少し恰幅のよい体格をしているが、残る二人は痩せて小柄な子供子供した体形である。3人とも、まるで南麻布女学園の制服を男子用にアレンジしたような制服を着ている。一目異なる点は、少年達がスカートではなく、半ズボンをはいていることだろう。細かく見れば、リボンの代わりにネクタイを絞めていたり、色々デザインの違いはあるが、まだ、南麻布は女学園だという『真の』記憶が残る麗夢には、非常に違和感を覚える姿だった。
「うむ、ご苦労! 親衛隊の諸君!」
 皐月が少しだけまじめな顔を作って、敬礼する少年達に答礼を返した。少年達がうれしそうにはにかんで見せる姿が初々しい。
「その子達は一体なに?!」
「だから親衛隊……」
「そうじゃなくて! こんな子達まで巻き込んで、あなた一体何を狙っているの?! 弥生さんたちと同じ、原日本人の復讐? 支配の復活? そんな夢物語、できるわけ……」
「違うわよ。今更そんなこと、必要ないもの」
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花粉情報、リアルタイムにデータが出るのはありがたいですが、自動観測にはやはり弱点もあるみたいです。

2010-03-26 22:33:22 | Weblog
 今日は夕方から急に気温が急降下したみたいに感じました。明日朝は真冬並みの寒さになる予報が出ていますが、この冷え具合からしたら、確かにかなり冷え込みそうです。
 もっとも、長かった雨もようやく上がりそうで、明日以降天気は回復するみたいです。長らく出来ないでいたサボテンの植替えも、明日昼ごろ、気温が上がって暖かくなってくればようやく実行出来そうです。

 さて、春は花粉が厄介な季節ではありますが、幸いにして関西圏はそれほど花粉の量も多くなかったみたいで、なんとか今年は薬なしで大体危険な季節を越せそうです。モチロン毎日のように環境省の花粉予報システムはなこさんの情報をチェックして、その日その日の危険度をはかりながら過ごしてきたのですが、最近、このシステムでちょっと気になることがあり、調べてみました。というのは、前々から疑いは持っていたのですが、このシステム、花粉以外のものを結構カウントしているのではないか、という疑問です。例えばこの間の黄砂がすごかった日のデータをみてみますと、それまでの数週間の中でも突出して花粉量が多くカウントされていることに気づきます。また、花粉の今後の動向を予測するために南の地方の花粉量も参考にしているのですが、たまたま見た今日の鹿児島のデータで、桜島の風下に当たる大隅半島のデータが、異常に突出してカウント数が多いのが目につきました。ひょっとして、と調べてみますと、そのカウントの数時間前に桜島が噴煙を上げていることが記録されています。そこで少し調べてみましたら、はなこさんで使われている観測装置は、粒径が花粉サイズと合致する28~35μmの球形粒子のみをレーザーを使ってカウントするもので、当初から同じサイズの粒子だと、花粉か別物か関係なしに数えてしまう欠点があることが知られていたとのことでした。黄砂でもダメ、という話で、その欠点を補うべく、花粉がある特定波長のレーザーで蛍光を発するのを利用して、花粉とそれ以外の粒子を見分けて数える装置も開発されているようですが、残念ながらまだ実用化されていないみたいです。調べていくうちに見つけた論文によると、少なくとも黄砂の時期以外は精度良く計測できるそうなので、リアルタイムで1時間おきに全国百箇所以上の測定地点のデータが得られる点を考慮すると、黄砂情報などは別途入手するように心がけておけば良さそうです。一方、ウェザーニューズも全国700箇所に独自の観測ロボットを設置して花粉情報を提供しています。一応花粉とダストを別に表示できるみたいですが、こちらの装置の測定原理はどうなのでしょう?

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大学の通信簿、残念ながら我が母校は・・・・・・(泣)

2010-03-25 22:25:15 | Weblog
 全国に86ある国立大学法人の評価を文部科学省が行い、このたびその結果を公表されました。平成16年以来毎年評価は行われてきておりますが、その結果を公開するのは今回が初めてだそうです。各大学の中期目標・計画に照らし合わせながら、これまでの評価を分析して、教育水準と研究水準が各30%、教育研究達成度と業務運営達成は各20%の配点で点数をつけたということで、報道では大学の通信簿、と表現されています。
 今回、トップは我が地元奈良県に立地する奈良先端科学技術大学院大学で、一緒に共同研究事業の末端に列したこともある身としては、結構嬉しい話です。ただ、我が母校は残念ながらワースト10に入ってしまったのがなんとも残念なところ。全体に教育大系はあんまり振るわなかったみたいですから、ひょっとしたら、教育学部を有している母校には辛い結果になったのかもしれません。この結果を元に、大学への交付金を増減させるとのことですが、少なくとも来年度は微々たるもので、奈良先端大で交付金63億円が400万円の加増、一番多い東大では、857億円の交付金が2500万円の加増と、総額の0.0数%というほとんど0と言っても差し支えない金額です。一番減った琉球大でも減額はわずか800万円。これで大学に何らかのインセンティブが働くのか非常に疑問なのですが、少子化が進み、学生の確保に四苦八苦する各大学に取っては、上位にはいるのは受験生に対してのアピールとしてはにそれなりに役立つかもしれませんし、科学研究費などの競争型資金をとっていく上で、、このランク付けは結構影響持ってきたりするのかもしれません。
 我が母校をはじめ、色々仕事の上で知り合った先生方がおられる学校には今後もエールを送りたいと思いますが、ひとりふたり優れた研究者がいてもランクアップは早々望めないでしょうし、研究だけじゃなくて教育機関としての能力も問われるとあっては、難しいトコロも多々あるでしょう。また、この種の評価が適切に行われていればそれなりに意味があるとは思うのですが、理系と文系のバランスなどを含め、本当に適切公平厳密に評価出来ているのか、そもそも評価そのものが初めて公開された、という現状では、まだ不透明な部分が多いような気もいたします。出来ればそのあたりもちゃんと公開して、評価自体の評価も厳密になされるようになってくれればいいな、と願います。

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舌で『見る』技術、できればヒトの視覚と同じ位見えるようになって欲しいです。

2010-03-24 22:42:46 | Weblog
 冷たい雨が降り続いているせいか、どうも悪寒がゾクゾクと背筋を震わせてくれるようで、なんとなく気持ち悪いです。これで熱でもあるなら話が早いのですが、単に底冷えする寒さで身体が震えているだけのようでもありますし、なんとも変な感じがします。まあこれでも、1ヶ月前の真冬の寒さに比べれば随分暖かいのでしょうが、桜が1週間も早く咲き始めるほどに暖かな気候に慣れていただけに、想像以上にこの冷え込みは身体に堪えているみたいです。それになにより腰が痛くて車の運転が少々厄介になってきていますし。早く暖かくなってくれないものでしょうか。

 さて、『BrainPort』という、ヒトの舌にぺろぺろキャンディー状の電極を置き、カメラで撮影した映像を変換してこの電極に送って、舌で感じる刺激を元に脳内で映像を再構築する、という技術が出来ていたそうですが、この程、その試作品ユーザー第1号の話がネットニュースに出ていました。2007年、イラクでロケット弾の炸裂で目をやられ、完全に失明した兵士が、今ではこの装置のおかげで字を読んだり形を識別したり出来るのだそうです。
 舌の味蕾細胞を網膜に見立て、光刺激を電気刺激に変えて、カメラで捉えた映像を舌で「見る」という発想。初めて聞いたときには、なるほど、と思いましたが、こうして現実に視力を失ったヒトに再び「視力」と言えるものを提供できるようになっていることには、素直に感動を覚えます。まだまだ解像度は低くて、視力検査で一番上になるような大きな字を識別したりするくらいしか出来ず、例えば新聞を読むとかテレビを観る、なんてのはまだまだ夢物語みたいですが、いずれこの種の実用化とその改良が進めば、神経系とよりダイレクトに接続出来るようなデバイスが生まれ、解像度も飛躍的に上がるかもしれません。それが義眼と同じくらいの大きさに収まり、視神経や脳の視覚を司る部分とつながるようになれば、本当に目の代わりが務まるようになることでしょう。そんな時代が早く訪れて欲しいものですし、目以外にも、様々な器官がそうしたコンパクトな人工デバイスで代替出来るようになってくれないものか、と切望いたします。パワードスーツも実用化されつつありますし、ようやく夢にまで見た21世紀らしい技術と世界が花開いてきているのだな、ということを実感いたしました。

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体調不良具合と夢に出る蜘蛛の巣の大きさに有意に相関関係が成立するなら面白いのですが。

2010-03-23 21:40:53 | Weblog
 昨日は無事22時頃には帰宅し、直ちに寝たのですが、こちらはやっぱり予想通り寒かったです。昨日の帰り道でも、これは寒の戻りか? と感じないわけではなかったのですが、やはり湘南も近い関東の一角と山々に取り囲まれた関西の盆地では寒さは格段に違うみたいです。
 その上、どうも年々遠出は心身の負担が大きくなってきているみたいで、いつになくつかれました。そのせいか、またいつもの不調時に見る夢を見たのが少々気になっています。
 その夢とは、クモの出る夢です。
 私が部屋で寝ていると、いつの間にか室内がクモの巣だらけになっており、大小様々なサイズのクモがあちこち網にぶら下がっています。ちょうど寝ている私を包み込むように網が張り巡らされており、いちいち手で払うのも面倒なので、掃除機で一気に片付けてしまおうと掃除機を探しましたが、見当たりません。そのうちに、網がいつの間にか不織布のような一枚の布状になって自分の周りを取り囲んできましたので、このあたりだろう、と目星をつけた部分を内側から裂くようにして破り、掃除機を求めました。

 まあ少し風邪気味で喉がいがらっぽかったりするのですが、今のところは大した事はありません。前にインフルエンザで倒れたときは、それは見事な女郎蜘蛛の巨大な網が夢に現れましたが、今回はそういうある意味綺麗な自然の造形ではなく、もっとホコリっぽいというか、ごちゃごちゃしていて一つ一つ小さな網でしたから、もし今回さほどひどく不調を引きずること無く済むようなら、夢に見る蜘蛛の巣のサイズと体調の関係で何らかの相関が推定できるかもしれません。まあ今後の事例の積み重ね次第ですが、もしこれで本当に夢から体調不良を予測できるようになれば、私にとっては大きな利益になります。そのためにも、夢の事例はこれからももっと集めておきませんと。

 
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ますます大阪が東京に近づいているような……。

2010-03-22 17:18:59 | Weblog
これまでとは一変して、今朝は随分ヒンヤリした動きの無い空気に包まれていました。今回の出張では、コートなどの冬装備を持っていくかどうか迷っていたのですが、持って来て正解だったようです。空気も澄み渡って、写真のように仕事先の窓からも、遠く富士山がくっきりと望めました。この分だと奈良は寒いでしょうね。風邪引かないようにしないと。
さて、昨日から水戸ではコミケの出張開催があったそうで、今朝ホテルで見たNHKのニュースでもその様子が報じられておりました。即売会風景やコスプレの様子、参加者へのインタビューなど、この内容だけ見てますと、なんとものどかで健全っぽい様子が窺えましたが、実態はどうだったのでしょう? まあ何はともあれ、報道内容は割と好意的中立な感じを受けました。こんな報道ばかりなら多少は偏見も緩和するかもしれませんが、それはそれで免疫の無い一般人が紛れ込んでショックを受けたりしても困る話ですから、無理を承知で願うとすれば、できればニュースなどには取り上げて欲しくないです。ところで東京都がそんなコミケに終止符を打つべく(?)、議会に上程し継続審議になった話、大阪府知事も乗り気な模様という報道がありましたが、今度は府知事が都知事と6月に対談するとの話がありました。内容は『大阪都』構想について可能性や問題点を協議することだそうです。何か、ますます大阪も東京追随が目立って来たみたいです。独立独歩で東京なにするものぞという気風こそ大阪の持ち味だろうと思いますが、国の支配からの独立が最大の目的な
ためか、そういうこだわりは知事にはないようです。猥雑で反骨で何事もギリギリスレスレな力の溢れる独特の町の姿は、もう幻想でしかないのかもしれません。
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2010-03-21 18:52:19

2010-03-21 18:52:19 | Weblog
昨日から今朝にかけて、ゴォオォっ!と鉄筋コンクリートのホテルも心なしか震えているかのようにさえ感じられた猛風に、2回、目が覚めました。昨日も凄い風でしたが、夜は更に輪をかけて吹き荒れたようです。今日も昼間は相変わらず風が強くて、外の木々が思い切り左右に揺さぶられていました。この時ならぬ春の嵐、明日には落ち着くそうなので、帰りはつつがなく行けると思いますが、関西では物凄い黄砂で我が奈良県では一時視程2キロ以下に落ちたのだとか。交通機関への影響も懸念されているだけに、予断は許せないでしょう。

さて、日本医師会が亡くなった子供に対してCTを実施するように提言したそうです。何でも遺体を調べる事で、虐待が無かったか、はっきりさせるのが目的だそうです。これまでは、死因などをはっきりさせるには解剖するしかなかったのですが、外傷があるなど不審な点がないと司法的に強制することはできませんし、それ以外は遺族の承諾なしに執行できませんから、やましいものがある人はもちろん、子供の死因を知りたいけれど、遺体を傷つけられるのはイヤ、という遺族感情からも、解剖の敷居は非常に高いものがあります。それに、解剖は結果がでるまで時間がかかり、専門家の数が限られ、費用も高いなど、色々大変です。それがCTなら、まず何といっても遺体を傷つける事なく調べる事が出来るので、遺族としても抵抗少なく検査に同意しやすいでしょう。また、ごく短時間に結果が出せ、検査費用も安くすむなどいいこと尽くめなことは、海堂尊の『死因不明社会』〔ブルーバックス〕はじめ幾つかの著作に詳しくかいてありますが、ようやくその主張が受け入れられはじめたのでしょうか。
もっともまだ学会からの提言であり、このシステムが即社会に生かされるわけではありません。所管官庁なり政府が動いて予算をつけないと、何も変わらないでしょう。子ども手当てよりもよほど幼い命を守る役に立ち、首相の理念にもピッタリだと思うのですが。

写真は会場のビルからの光景です。こちらの黄砂はまだそれ程でもないようです。
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ここからの大事な所は、少し環境を変えてじっくり考えたいと思います。

2010-03-20 15:59:41 | Weblog
連載小説、今日の更新は少し少なめです。一応キリのいいところなのでここで止めたのですが、次の展開で検討中の幾つかの候補があって、現時点でまだどうしたものか決めかねているのです。ここまではある意味一本道だったのですが、いよいよ序盤を終えて中盤が見えてきつつあるところで、ここでの選択が終盤までの展開を決定する重要な結所になります。一冊書き下ろすのと違って、連載ではアップしてしまえばもう舵を切り直すことはできませんので、慎重に判断したいです。幸い今日から3日間時間はっぷりありますので、何とかなるかな? と思っています。それもいつもの休みと違って、神奈川県で開催されるとある学会に参加するお仕事ですので、いつもの休みのようにのんべんだらりと時間を浪費するような怠惰な過ごし方にはならないでしょう。暇が欲しいくせに時間があるとろくな考えも浮かばない私としては、適度な頭の刺激と緊張とが得られてかつ時間もそこそこにあるこういう環境はまさに理想的と言えるでしょう。きっと、いつもよりは多少マシな知恵が浮かぶものと期待されます。
ただ、今回荷物の都合でPCを持って来ていないので、思いついたことを即テキストデータにすることができません。他の荷物は大したことないので、持って来るだけなら何とかならないこともなかったのですが、持って帰らないといけない学会の冊子がコミケカタログを凌ぐ重量物になりますので、帰路を考えると断念せざるを得ませんでした。軽いネットブックでもあれば、あるいは念願のMacbookでも買っていれば無理やりにでも持って来ていたでしょうが、今手元にある携帯では、とても小説を打つ気にはなりません。文書制作には手書きの方がはるかにやりやすいので、今回ばかりは初心に返ってペンで続きを書き、帰ってから改めてテキスト起こしして清書する積もりです。
何かいい知恵が浮かんだら良いのですけどね。
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02.悪夢の後継者 その3

2010-03-20 12:00:00 | 麗夢小説『夢の匣』
 古代史研究部=以下略が収まる校舎の扉を開けると、麗夢はグラウンドの方に駈けて行く皐月の背中を追った。放課後のグラウンドには、あちこちに体操服やユニフォーム姿で部活に勤しむ生徒の姿で埋まっている。皐月は、細く二本にまとめた髪を元気よく揺らしながら、彼らの間を縫うように走って行く。麗夢は、逃がさないぞ! と気合も新たに駆け出した。膝丈のスカートが翻り、伊達メガネがずり落ちるのも構わずに、一直線にグラウンドを走り抜ける。他の3人の姿はないが、今は目指すは荒神谷弥生の妹と名乗ったツインテールただ一人!
「待ちなさーい!」
 知り合いでもいれば、その子たちを止めて! とお願いすることもできたかもしれない。だが、潜入捜査で極短期間しか在籍していないこの学校では、あのアッパレ4人組以外に知己となり得た生徒はいなかった。麗夢は、以外に足の早い皐月に舌を巻きつつ、自分も思い切りスピードを上げた。
 皐月が、野球部が練習するマウンド付近を駆け抜けた。あっけに取られたユニホーム姿の生徒たちに、ごめんなさい! と叫びながら、麗夢もその後を追っかける。皐月が体操服姿でランニングしていた生徒たちの列をかき乱すと、麗夢は彼らにぶつかりそうになりながら、なおも負けじと後を追う。サッカー部のテリトリーでは、突然横合いから飛んできたサッカーボールを危うく避けながら、びっくりする生徒達を縫って二人の追いかけっこが延々続く。トラック競技に勤しむ陸上部の生徒たちが、何事? とばかりに二人の疾走を見送り、向こうのテニスコートでも、何人か手を休めて、金網越しにこちらを見ている生徒がいるようだ。
 麗夢は彼らの姿を見て、やっぱり、と思わずにはいられなかった。女子生徒に混じって、確かに男の子の姿が、それもかなり大勢の恰幅の良い生徒たちがいる。さっき横切った野球部なんて、マネージャーを除けば多分全員が男子生徒だ。
 麗夢は、ついさっき行った荒神谷皐月とのやりとりを思い起こした。たしかに自分の中には、ここは女学校だった、と言う記憶がある。その一方で、何故かここは男女共学の学校だった、と言う記憶も『同時』に存在するのだ。それが何故なのか、今の麗夢にはまだ判らない。その秘密は、目の前のツインテールが握っていることだけは、間違いないはずだ。
「こっちこっち!」
 息を弾ませながら、満面の笑みを浮かべて皐月が振り向いて手を回す。この! と麗夢もまた息を切らせつつ、陽気に飛び跳ねるツインテールを追い続けた。どうやら皐月の目的は、グラウンドの先にある通用門らしい。外に出られると厄介なことになる、と麗夢は必死に走り続けた。
 やがて皐月が、通用門から出て行くのが見えた。舌打ちをこらえつつ麗夢も通用門をくぐり抜けた。だが、小道を挟んだ正面に、もう一つ通用門が有り、その向こうに、皐月が走っていくのがかいま見えた。麗夢は、ふと視線を門脇の表札に振って、そこに記された文字を読んだ。
「南麻布学園『初等部』?」
 確かに有った。
 振り返ると、今自分が通り抜けた通用門の脇には、「南麻布学園高等部」の表札が掲げられている。
 しかし、こんな門や表札、果たしてここに有っただろうか?
 麗夢は、潜入捜査に入った直後、まずは基礎情報を集めようと、学園内をくまなく歩き、およそどこに何があるか、念入りにチェックして回った。最後の最後になって知ることになった地下迷宮のようなものならいざ知らず、学園内とその周辺で、麗夢の記憶に無いものなどありえない。だが、今の麗夢には、それが有ったと言う記憶と、いや確かに無かった、と言う記憶が交錯し、一瞬目眩を覚えるほどに混乱していた。
 自分の記憶が何かによって強制的にいじられている。
 どちらかが現実で、どちらかが虚構なのは間違いなく、今の自分は、ここが南麻布「女」学園であり、初等部などというものは無い、と言う方が現実だと認識している。つまり、この目の前に広がる新たなキャンパスは、虚構そのものに違いない。しかし、執拗で強力な何かの力が、この現実を無視し、今目に入って来るものこそ現実として受け入れるように、猛烈な圧力をかけてきているのが自覚される。今は混乱しつつもその圧力に耐え、自分の意識を保っている麗夢だったが、果たしてその虚構そのものの中に足を踏み入れた時、自分の記憶と意識が保たれるかどうか、正直言って自信が無かった。だが、先を走っていく荒神谷弥生の妹を名乗る少女を捕まえない限り、その混乱に終止符を打つことは叶いそうにない。
 麗夢は意を決して、「南麻布学園初等部」の門を潜った。途端に、ぐらり、と視界が揺れ、これまでに無く強烈な、吐き気をもよおす目眩が襲ってきた。麗夢は一旦立ち止まって目をつむると、冷静に自分の持つ力を信じ、格段に強まった心的圧力に対抗した。
 まだ大丈夫。意識はしっかりしている。
 麗夢は、目眩が消え、落ち着いた視線で辺りを見回した。だが、未知のキャンパスに足を踏み入れた事には変化は無く、南麻布学園初等部は、幻でもまやかしでもなく、実体として確かに麗夢を迎えていた。
「まるで夢のようだわ……」
 その確かな現実感に麗夢は思わず独りごちながら、改めて追跡を再開した。少し時間をロスしてしまったが、皐月が消えた校舎をぐるりと回ると、中庭を走っていく少女のツインテールがはっきり捉えられた。
「待ちなさい!」
 麗夢はもう一度叫ぶと、少女めがけて走っていった。
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クロマグロ、当面は入ってくるのでしょうが、資源の増減はもう少し明確に計量できないものでしょうか。

2010-03-19 22:06:48 | Weblog
 ワシントン条約締約国会議におけるクロマグロ禁輸案が否決されたというニュース、正直意外でした。輸入量の8割を我が国が占める海産資源であり、EUが反対を固めている中、我が国が孤立して到底勝ち目はなかろう、と思っていたので、想定外の大差での否決には、一体何が起こったのか、と信じられない思いがしました。個人的には、寿司屋さんでも刺身でも、あまりマグロは食べないので、可決されたとしても、実のところあまり気にはならなかったのですが、家人は大好きと来ていますし、皆で行く回転寿司であの赤みが回ってこないと華やかさにも欠けますし、まずは祝着だったと思います。ネットニュースを見てますと、日本の頑張りはともかく、中国の反対工作が大きかった、というような話もあるようです。富裕層を中心に中国でもマグロが人気の食材となっているそうですし、フカヒレ材料のサメも今回禁輸措置を検討されていたとかで、マグロがアウトになったら他のものにも波及しかねない、という懸念が中国を駆り立てたのだとか。なんともまことしやかなお話ですが、世界中の食を鯨飲してしまいかねない大人口国家のこと、禁輸回避と単純に喜んでいたら、気づいたときには根こそぎかっさらわれて我が国にはほとんど入ってこなかった、なんて未来もナキニシモアラズです。
 それにしても、実際のところ、マグロは減っているのでしょうか? クジラの話でも感じるのですが、どうも信頼のおける統計数字があるようなないような、今ひとつはっきりしない歯がゆさが有ります。本当に減っているのだとしたら何らかの保護や管理が必要だとも思うのですが、軽くググッてみても明快なデータは転がっているようには見えませんし、何でも漁獲高の多い我が国の漁獲データを元に推計されている、なんて話も有ったりしました。こんなふうに、増減不明なのに減っているから捕るな、というのはちょっといただけない話です。でも、大丈夫と思っていたら気がついたときにはいなくなっていた、とか、回復不能なほど減ってしまった、なんてことになったらそれはそれで大変ですから、なんとか工夫して厳密にマグロを数えて欲しいものです。

 
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誤解というなら作品規制は止めて、販売方法などにこそ目を光らせるべきなんじゃないでしょうか?

2010-03-18 22:25:04 | Weblog
 巷を騒がす東京都の『青少年健全育成条例改正案』、漫画家の方々が反対声明を出したり、幾つか見た評論でも大抵批判内容だったりと日々悪評ばかり高まっているような感が有りますが、議会ではどうやら可決されるらしいという話も聞こえてきて、果たしてどうなることか、と気を揉んでいます。そんな中、産経新聞のネット版で、『「表現の弾圧ではない」 東京都が青少年健全育成条例改正案を説明
なるインタビュー記事が掲載されておりました。インタビュー相手は東京都青少年・治安対策本部青少年課という、この条例案の担当部署です。聞いた相手が部署であって個人ではないのですが、それなりに責任もって話をしたのでしょうから、多分課長なのでしょうか。
 内容は、その表題のとおり、巷にあふれる表現の自由を弾圧する天下の悪法だ、という評判に対し、それは誤解だ、と訴えているものです。
 冒頭に、規制の範囲を問われて、『非実在青少年の性描写をするのは駄目、それを成人が見るのは駄目といっているわけではない。』ということなのですが、これだけ読むと、今までの大騒ぎは何だったの? という気になります。しかしながら、その一方で、『通常のストーリーで必要な表現として描かれた性行為ではなく、強姦や近親者との性行為を肯定的に描くなど青少年の感性がゆがむような表現が規制対象となる。』とも言っており、血縁の無い和姦ならOKだけどそれ以外は駄目、と規制をかけてくる、という話です。古今東西、神話や伝説にも東京都が規制をかけたがっているような話はごまんとありますが、我らが祖先達の青少年時代は、感性がゆがんでいたのでしょうか? また、小説の場合は、漫画やアニメのように容易に視覚的認識が無く、知識の無い子供の影響は受けにくいからフリーパス、という話も、『青少年』の想像力の逞しさを過小評価していますし、「知識が無い」から影響が受けにくいなどと随分な物言いをなさっておいでです。このヒトは、自分が中高生だったころのキモチをすっかり忘れ果てているのかもしれません。
 一応、コミケに対して規制強化に乗り出すことは無い、と明言している点は多少は評価できるのかもしれませんが、条例案自体が解釈のしようで匙加減が可能という、実に恣意的運用に適した形になっているようなので、単に今、担当者がそう言ったからと言って言質を取ったとはいえないような気がします。
 私個人としては、ああいう隠微な世界が余りに表社会にあけっぴろげになりすぎているという気がしますので、それを再び闇の世界に回帰させ、一定レベルの知識と経験無しにはたどり着けないようにするというのは基本的に賛成です。その方が子供達の好奇心をより煽り立てることができますし、その好奇心によって醸成された感性こそが、次世代にブレイクスルーをもたらす原動力になりうると思うのです。でも、匙加減を誤れば全てがおじゃんになりかねないようなこんな条例には賛成できかねます。そもそも今までのその手の法律でしっかり取り締まれば目的は達成できるはずなのに、どうしてこんな上屋上を重ねる無駄をやりたがるのか、それが一番不思議です。

コメント (4)
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