かっこうのつれづれ

麗夢同盟橿原支部の日記。日々の雑事や思いを並べる極私的テキスト

映画『ヤッターマン』に観る、アニメ原作の実写映像化における今後の進化への期待。

2009-04-24 21:53:59 | アニメ特撮
 昨日はレッドクリフ2だけで気力が尽きたので、今日は『ヤッターマン』の感想を記しておきましょう。
 なんでもこの映画、現時点で興行収益30億円、製作元は50億円を目標にしているそうですが、人気アニメの実写化としては未曾有の大成功を収めており、以前から気になってはおりました。ただ、やっぱり実写化というのは以前から色々?な作品ばかり観て来たせいか(たとえばルパン三世とか野球狂の詩とかレッドシャドウとかキャシャーンとか鉄人28号とかデビルマンとか・・・)、気になりつつもその出来はやはり危惧されるものがあって、これまで観に行くのをためらっていたのです。それでも、万一後悔するならばやはり観ないでするより観てする方がよかろう、と思い、時間も都合よく出来たこともあって、昨日思い切って観ることにしたのです。
 その結果ですが、まあ、十分に面白い、というに値する出来でした。冒頭、ドロンボー一味の活躍(?)で瓦礫の山となった渋谷ハッチ公前(!)で、アクビ娘の巨大POPや犬の代わりにすえられたミツバチハッチの石像といったギミックが、なるほど、タツノコの映画なんだな、と改めて感じたところですでに映像に魅入られ、そのまま一気にラストまで楽しむことが出来ましたから。フカキョンドロンジョ様率いるドロンボー一味も、ヤッターマンの方も特に違和感無かったですし、ヤッターワンやドロンボーメカのチープな3DCGに、随所に挟まれるオヤジギャグや下ネタも、作品世界にはまっているように感じました。それに筋立てとしても、2時間足らずの中に4つに分裂したドクロストーン探索を無理なく詰め込んで、十分メリハリの利いた流れになっていたと思います。ラストの次回予告も楽しかったですし、総じてアニメのテイストを可能な限り壊さないようにすることに力が注がれたように感じました。

 そんなわけで、思いのほか楽しめたのですが、そのわけを考えてみますと、結局アニメの実写化で成功するには、原作であるアニメの雰囲気をどれだけ壊さず、2Dの内容を3Dで可能な限り作りこみ、忠実に再現するか、にかかっているのではないでしょうか。確かに、これまでどうしようも無い出来に終始しているといっても過言ではない人気アニメの実写化は、総じて監督のせいなのか、あるいはスポンサーのせいなのか分かりませんが、ほとんど冒涜といわざるを得ないレベルまで元の作品とは似ても似つかない設定や内容に改ざんされ、デフォルメされたものばかりでしたから、これだけがんばってアニメの雰囲気をかもし出そうと努力しただけでも、これまでの作品と一線を画するに十分だったといえるでしょう。
 でも、もしそうだとすると、果たしてこれをわざわざ実写でする必要があったのだろうか? という、根本的な疑問が沸いてきます。
 出来がよかったと思うだけに、アニメでは表現できない実写の現実感とか迫力みたいなものがもっと画面から撃ち出されるような内容だったなら、そんな疑問も感じずにすんだのかもしれません。そもそもそんなことが可能かどうかも分かりませんし、そんな事に挑戦するには、実写の表現技法として、まだまだ工夫すべき撮影方法や演出があるのかもしれませんが、たとえば「マッハGO!GO!GO!」の実写版である「スピードレーサー」なんかは、そんな進化を予感させる作品だったのではないのでしょうか。そう思うと「スピードレーサー」観損ねたのは大変残念ではあるのですが、私としては、そんな実写映像の更なる進化を今後に期待し、単なるアニメの3D化にとどまらない、実写としての面白さに満ちたアニメ原作作品の誕生を待ち望みたいです。今回この『ヤッターマン』の出来を見るに、けしてそれは不可能ではない、という思いを、強くいたしました。


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