半谷範一の「オレは大したことない奴」日記

B級自動車ライターのカオスな日常

古式銃のレストアに挑戦? 私の射撃用古式銃 その3

2010-02-24 20:30:00 | 前装銃射撃、古式銃
先日、村田銃のスコープ・ベースに関する話で 「ヒート・ブルー」 に関して書いたところ、そのやり方に関してご質問を頂きました。言葉で説明しても分かりにくいと思いますので、ちょっと実験してみましょう。

今回の素材はこれ。私が所有している古式銃の馬上筒です。幕末に火縄銃をパーカッション式にモディファイした銃なので、骨董的にはほとんど価値がないため、逆にこういう実験には最適でしょう。それにこの銃なら、ブルー仕上げにしても考証的に不自然じゃありませんからね。




これがハンマー部分の拡大画像。深い朽ち込みこそありませんが、ご覧のようにサビサビです。裏側を見たら若干ブルーが残っていたので、やはりオリジナルの仕上げはブルーだったようです。取り敢えずこの部分の仕上げ直しをしてみることにしましょう。




ハンマーを外したら、耐水ペーパーでひたすら磨きます。どの程度の番手で始めるかは錆の状態にもよりますが、番手を2倍に上げながら磨いてゆく方法で、最終的には2000番程度で仕上げます。



本当はその後で細目のコンパウンドを使用して鏡面になるまで磨かなければなりません。でも今回は実験なのでパス。


その後はバーナーで加熱するだけ。今日はトーチではなく家庭用のガスコンロを使ってしまいました。加熱すると表面にマグネタイト (いわゆる黒錆) の皮膜ができますので、好みの色になったところでオイルに漬けて終了。でも普通に色を着けるだけなら、そのまま常温で冷やしても大丈夫です。作業をするときには火傷をしないように十分ご注意ください。



これで完成。この画像ではかなり黒っぽく見えますね。



銃に取り付けるとこんな感じ。ちゃんと鏡面に磨いてから仕上げると、非常に透明感のある美しいブルーになります。




最後にもう一度、処理前の画像と比べてみることにしましょう。





この方法はロウ付けや象嵌のある部分、既に熱処理が施されていたり、硬度の変化が心配な部分には使えません。また古式銃の場合、文化財の保存という観点から考えても、元々の仕上げがブルーでなかった箇所には使用するべきではありません。

地板 (ロックプレート) の様な大きめの平面を研磨するときは耐水ペーパーでは凸凹になってしまうので、オイルストーンを使いましょう。


今回、一箇所だけ手を入れたら妙な感じになってしまいましたね。せっかくなんで、ハンマーはもう一度きちんと仕上げ直して、他の傷んでいる部分も少し補修することにします。銃身も表面がボロボロなんで、焼き付け漆仕上げにでも挑戦してみようかな?


※注意
古式銃は文化財であり、その修理、修復の範囲に関しては、1989年に文化庁(文化財保護委員会)との間で取り決められた厳格なガイドラインがございます。古式銃のレストア等を行う場合には、決してその範囲を逸脱しないように、くれぐれもご注意下さい。
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