学問空間

「『増鏡』を読む会」、第10回は3月1日(土)、テーマは「二条天皇とは何者か」です。

「庇を貸したら母屋をぶんどられるような」

2017-12-21 | 小川剛生『兼好法師─徒然草に記されなかった真実』

投稿者:鈴木小太郎 投稿日:2017年12月21日(木)12時40分22秒

>筆綾丸さん
いえいえ。
「終章の論法は、庇を貸したら母屋をぶんどられるような、我田引水の、本末転倒の、針小棒大の、ペラボーななしくずし戦術であって、この伝でいけば、『源氏物語』は藤原定家の〈著作〉だ、云えぬこともないですね」は全くの正論で、私も完全に同意します。

筆綾丸さんご紹介の五味文彦氏の『兼好法師』書評(12月16日付日経読書欄)、私も読んでみましたが、『「徒然草」の歴史学』(朝日選書、1997)の著者である五味氏としては、20年前にもう少し深くやっていれば自分の業績になったかも、と内心忸怩たる思いではないだろうかとチラっと思いました。
五味氏の『「徒然草」の歴史学』が出た頃、私は兼好法師の社会圏に少しでも関係する国文学者の論文はあらかた読み尽くしていて、誰か歴史学者がきちんとやってくれないだろうかと切望していたので、この本が出たとたん貪るように読んだのですが、残念ながら当時の私でもすぐに気づくような単純な誤りもいくつかあって、「隠居仕事してんじゃねーぞ!」みたいな生意気な感想を持ったりもしました。
わはは。
あれから二十年、という綾小路きみまろ的感慨を抱きつつ、久しぶりに『「徒然草」の歴史学』をパラパラとめくって小川氏の『兼好法師』と読み比べてみたところ、五味氏が結果的には判断を誤った部分もご自身の思考過程が丁寧に示されていたりして、けっこう面白いですね。

※筆綾丸さんの下記投稿へのレスです。

雑感 2017/12/20(水) 16:03:01
小太郎さん
昔の自分の文章を読むのは恥ずかしいものですね。相変わらずチマチマしたことばかりで、さほど重要なことは言ってないな、と。

遠藤乾『欧州複合危機─苦悶するEU、揺れる世界』は、読もうとしてやめたのですが、もういちど挑戦してみます。
苅部直『「維新革命」への道─「文明」を求めた十九世紀日本』は、論壇においては誉めなければならんという暗黙の強制でもあるのかな、と勘繰りたくもなりますね。

今年は例年になく読書量が減りましたが、歴史関連では、亀田氏の『観応の擾乱』と小川氏の『兼好法師』が記憶に残りました。
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