「ライフ・レッスン」 エリザベス・キューブラ・ロス & デーヴィッド・ケスラー共著
生きるための考え方を、ライフレッスンとして二人がこれまでの人生で学んだことをまとめた本になっています。その中からエリザベス・・キューブラ・ロス女史のエピソードを一つ紹介します。
ニューヨークで500人の聴衆の前で講演をし、その後、著書にサインを求める人たちの長い行列ができた。次々にサインしていたが、時間が無くなり空港に駆けつけなければならなくなった。あと数人にサインできなかった。
空港に走り込むと、飛行機の出発が15分遅れるということがわかった。おかげでようやくトイレに行く時間ができた。ずっと我慢していたのだ。便座に座っていると、ドアの外から声が聞こえた。
「ロス先生、よろしいですか?」 何が「よろしい」のか、と思った。その時、ドアと床の間から、私の著書と署名用のペンが差し出された。私は「こまるわ」と言いながら、本を取り上げた。トイレの中で書くしかないと思った。それにしても、こんなことをする人の顔が見てみたかった。
ドアの外には、ひとりの尼層が立っていた。私は「あなたのことは一生忘れませんからね」と言った。いい意味で言ったわけではなかった。「トイレぐらいひとりにさせてよ!」と抗議したかったのだ。
尼僧は答えた。「とても感謝しています。これは神の摂理ですわ」怪訝な顔をしている私を見て、尼僧は「ご説明します」と言った。
尼僧の話がその場のいいつくろいではなく、誠心誠意ほんとうであることは、私にもわかった。「こんなふうに自分の都合だけで人をコントロールしようとするなんて、とんでもない女だわ!」と思っていた自分を恥じるしかなかった。尼僧の純粋さのなかに恐るべき力がひめられていることがわかったのである。
尼僧の話はこうだった。「仲間の尼僧のひとりがオルバニーにいて、いま瀕死の状態にあるのです。先生の愛読者で、講演の日を指折り数えて待っていた人でした。どうしても講演を聞きに行きたいと言っていたのですが、とても無理な状態になってしまいました。そこで、なんとかしてあげたくて、かわりに私が講演に参加して先生のお話をテープに録音し、ご本にサインを貰ってあげようと思ったのです。一時間以上も列に並びましたその人がどんなに喜ぶかわかっていたのです。先生がサインできなかった、残りの何人かがいたでしょう?あのなかに私もいました。
エリザベス・キューブラ・ロス女史は三つ子で生まれました。
一度、姉の体調が悪かったので、姉のデートのピンチヒッターで行ったら、姉の彼は姉だと思ったままだったそうです。その時、人とは何だろうと思ったそうです。
本「死ぬ瞬間」が有名です。人は避けられない死の病気になると気持ちが5段階を得ると紹介しました。それは、末期の多くの患者さんにインタビューして得たものでした。
死の五段階説
1)否認; 何かの間違いでは?
2)怒り; 何も悪いことをしていないのに何故私がこんな病気に?
3)取引; この病気を治してくれたら、**をしますと神様と取引をする
4)抑うつ; どうすることもできないとわかりうつ状態に落ち込む
5)受容; 自分の状態を受け入れて周りに目が向き、遺される人々へ愛を