・オープンダイアローグ(Open Dialogues)、未来語りのダイアローグ(Anticipation Dialogues)と呼ばれる2つの新たなセラピーを紹介するものである。
・ODの形式は、精神科病院という場所では明らかに革新的であった。
・オープン・ミーティングを行うこと
・抗精神病薬よりも抗不安薬を優先的に選択すること
・最終手段である場合を除いては入院させないこと
標準的な治療とは正反対であった。ODの最も驚くべき成果は、セイックラのグループがその革新的試みを導入したケロプダス病院とフィンランド北部の地域精神科診療所で治療を受けた人々を5年間にわたって調査した統計的研究に見られる。フィンランド北部で、精神病を初めて発病した人々の人口集団のうち、5年後には、その80%以上が就労や就学中、あるいは求職中であった。他の調査区域との比較では、他の調査区域の62%の患者が生活保護を受けていた。調査対象となったグループでは、5年経過時に抗精神病薬を服用しているのはたった17%であったが、他地域においては75%であった。
・今起こっている問題が消え去ってしまったらどうなるかを尋ねる「ミラクル・クエスチョン」やマイケル・ホワイトのように「深層にある本質的価値」を重視する方法は、恐れられ嫌がられる見方を避けて、望ましく好ましい見方に視点を変える手法である。「未来語りのダイアローグ」もまたそのひとつであり、それらをさらに発展拡大させたものである。
・対話で大事なことは、家族がコンサルタントと話しているときは、他の人たちはそれに耳を傾け、逆に他の人たちが話しているときは、家族はそれに耳を傾けるおいうことである。コンサルタントは、アーンキルのプログラムによって訓練を受けた2人組から成る。セッションのはじまりで、彼らはまず家族に対して、「今から1年経って、お子さんの様子がうまくいっていると想像してみてください」と質問する。そして、どういったことが一番うれしいか尋ねる。それから次のように問う。「こんなにうまくいきょうになったのは、あなたがどんなことをしたからですか? 誰がどのようにあなたを助けてくれたのでしょうか?」そして、最後に重要な質問を行う。それは、「1年前には何を心配していたのでしょうか、何があなたの不安をやわらげたのでしょうか」というものである。
次に、専門家にもこれと同じ一連の質問がなされ、今度は家族がそれに耳を傾ける。悩みごとと役に立ったやり方についての専門家の見方が書きとめられ、それから話し合いが行われる。そこでは、生まれつつある未来の計画と、そこで誰が何を行うのかということが話し合われる。このようにしてコンサルタントは、人びとが話すことを明確化し、まとめるのである。彼らが話し合いをねじ曲げて何らかの特定の結論に導くことはない。
・7つの主要則
1)即時に応じること
2)ソーシャル・ネットワークを引き入れること
3)個別で具体的なさまざまなニーズに柔軟に対応すること
4)責任をもって対応すること
5)心理的な連続性を保証すること
6)不確かさに耐えること
7)(対話)が行われていること
・治療ミーティングには3つの機能がある
1)問題についての情報を集めること
2)話し合いの中でわかった見立てに基づいて治療計画を立て、必要なすべてのことを決めること
3)心理療法的対話を行うこと
・未来語りのダイアローグは、以下のような状況で特に有効である。
1)問題に多様な立場の人々が関わっている時
2)それぞれの立場の人が何をしているかがわからず、一体誰がかかわっているのかがあいまいな時
3)問題を抱えている当人が相手のすることに不満である時
4)不安が強く、その解決に諸機関の手助けがいる時
5)それなのに協働でことにあたれないでいる時
・視点を未来に移す質問
「1年が過ぎて、あなたの家族はとてもうまくいっています。あなたが特にうれしいと思うのはどんなことですか?」
「うまくいったのはどうしてでしょうね? あなたは何をして、誰がどのようにサポートしてくれたのでしょうか?」
「『1年前』に悩んでいたことと、その悩みを軽減させたものを想起してください」
・対話
1)参加者が平等に扱われていると感じるかどうか
2)テーマに自由に深入りできるかどうか
3)具体的に行動に移せる確かなプランが話し合わせるかどうか
・簡単な指針とまとめ
1)安全感をはぐくみ、不安をやわらげること
2)話し合いをはじめたらそれぞれの人たちが語ることに純粋な興味を示すこと
3)会話を(対話)にすること
4)話されたことに対して、きちんと応答すること
5)あなた自身のために話し、「私」を主語に話すこと
・対話は人から生まれる-単なる戦略手段ではない
「相互性と応答性を守る」
対話性を達成しようとするならば専門家たちが<対話>を行おうという断固たる意志を持つ以外に方法はない。
専門家たちが<対話>のうちに自身の主観的なパースペクティブを見言い出した時にのみ、彼らは応答性を獲得できるだろう。
感想;
統合失調症は治らない。
日常生活が困る。
薬漬けになる。
などの間違った思い込みがあります。
しかし、オープンダイアローグの取り組みで輝かしい成果を達成しています。
これは”べてるの家”の事例研究と通じるところがあると思います。
自分の症状を受け入れる。
それに対処する方法を工夫する。
工夫する時には仲間の力を借りる。
症状を特性として、それをうまく活用しながら、生きていく。
それができるヒントがある本でした。
https://blog.goo.ne.jp/egaonoresipi/e/2823eeb525c1b4b6641075225b686be3
「オープンダイアローグとは何か」齋藤環著 ”統合失調症の治療;対話することが治療になり、愛に!”
・ODの形式は、精神科病院という場所では明らかに革新的であった。
・オープン・ミーティングを行うこと
・抗精神病薬よりも抗不安薬を優先的に選択すること
・最終手段である場合を除いては入院させないこと
標準的な治療とは正反対であった。ODの最も驚くべき成果は、セイックラのグループがその革新的試みを導入したケロプダス病院とフィンランド北部の地域精神科診療所で治療を受けた人々を5年間にわたって調査した統計的研究に見られる。フィンランド北部で、精神病を初めて発病した人々の人口集団のうち、5年後には、その80%以上が就労や就学中、あるいは求職中であった。他の調査区域との比較では、他の調査区域の62%の患者が生活保護を受けていた。調査対象となったグループでは、5年経過時に抗精神病薬を服用しているのはたった17%であったが、他地域においては75%であった。
・今起こっている問題が消え去ってしまったらどうなるかを尋ねる「ミラクル・クエスチョン」やマイケル・ホワイトのように「深層にある本質的価値」を重視する方法は、恐れられ嫌がられる見方を避けて、望ましく好ましい見方に視点を変える手法である。「未来語りのダイアローグ」もまたそのひとつであり、それらをさらに発展拡大させたものである。
・対話で大事なことは、家族がコンサルタントと話しているときは、他の人たちはそれに耳を傾け、逆に他の人たちが話しているときは、家族はそれに耳を傾けるおいうことである。コンサルタントは、アーンキルのプログラムによって訓練を受けた2人組から成る。セッションのはじまりで、彼らはまず家族に対して、「今から1年経って、お子さんの様子がうまくいっていると想像してみてください」と質問する。そして、どういったことが一番うれしいか尋ねる。それから次のように問う。「こんなにうまくいきょうになったのは、あなたがどんなことをしたからですか? 誰がどのようにあなたを助けてくれたのでしょうか?」そして、最後に重要な質問を行う。それは、「1年前には何を心配していたのでしょうか、何があなたの不安をやわらげたのでしょうか」というものである。
次に、専門家にもこれと同じ一連の質問がなされ、今度は家族がそれに耳を傾ける。悩みごとと役に立ったやり方についての専門家の見方が書きとめられ、それから話し合いが行われる。そこでは、生まれつつある未来の計画と、そこで誰が何を行うのかということが話し合われる。このようにしてコンサルタントは、人びとが話すことを明確化し、まとめるのである。彼らが話し合いをねじ曲げて何らかの特定の結論に導くことはない。
・7つの主要則
1)即時に応じること
2)ソーシャル・ネットワークを引き入れること
3)個別で具体的なさまざまなニーズに柔軟に対応すること
4)責任をもって対応すること
5)心理的な連続性を保証すること
6)不確かさに耐えること
7)(対話)が行われていること
・治療ミーティングには3つの機能がある
1)問題についての情報を集めること
2)話し合いの中でわかった見立てに基づいて治療計画を立て、必要なすべてのことを決めること
3)心理療法的対話を行うこと
・未来語りのダイアローグは、以下のような状況で特に有効である。
1)問題に多様な立場の人々が関わっている時
2)それぞれの立場の人が何をしているかがわからず、一体誰がかかわっているのかがあいまいな時
3)問題を抱えている当人が相手のすることに不満である時
4)不安が強く、その解決に諸機関の手助けがいる時
5)それなのに協働でことにあたれないでいる時
・視点を未来に移す質問
「1年が過ぎて、あなたの家族はとてもうまくいっています。あなたが特にうれしいと思うのはどんなことですか?」
「うまくいったのはどうしてでしょうね? あなたは何をして、誰がどのようにサポートしてくれたのでしょうか?」
「『1年前』に悩んでいたことと、その悩みを軽減させたものを想起してください」
・対話
1)参加者が平等に扱われていると感じるかどうか
2)テーマに自由に深入りできるかどうか
3)具体的に行動に移せる確かなプランが話し合わせるかどうか
・簡単な指針とまとめ
1)安全感をはぐくみ、不安をやわらげること
2)話し合いをはじめたらそれぞれの人たちが語ることに純粋な興味を示すこと
3)会話を(対話)にすること
4)話されたことに対して、きちんと応答すること
5)あなた自身のために話し、「私」を主語に話すこと
・対話は人から生まれる-単なる戦略手段ではない
「相互性と応答性を守る」
対話性を達成しようとするならば専門家たちが<対話>を行おうという断固たる意志を持つ以外に方法はない。
専門家たちが<対話>のうちに自身の主観的なパースペクティブを見言い出した時にのみ、彼らは応答性を獲得できるだろう。
感想;
統合失調症は治らない。
日常生活が困る。
薬漬けになる。
などの間違った思い込みがあります。
しかし、オープンダイアローグの取り組みで輝かしい成果を達成しています。
これは”べてるの家”の事例研究と通じるところがあると思います。
自分の症状を受け入れる。
それに対処する方法を工夫する。
工夫する時には仲間の力を借りる。
症状を特性として、それをうまく活用しながら、生きていく。
それができるヒントがある本でした。
https://blog.goo.ne.jp/egaonoresipi/e/2823eeb525c1b4b6641075225b686be3
「オープンダイアローグとは何か」齋藤環著 ”統合失調症の治療;対話することが治療になり、愛に!”