・飯島とビッグイシュー基金が行った「若者ホームレス50人聞き取り調査」でも、「主な寝場所」として野宿のみを挙げた人は24%に留まり、66%はネットカフェや24時間営業店舗などと野宿を併用していると答えている。
・ネットカフェ、マンガ喫茶、ファーストフード店、サウナ、個室ビデオ店、健康ランドなど、路上以外にも、目に見えない、”ホームレス”あるいは”ホームレス予備軍”は存在し、ホームレスの形態は多様化している。
・「ある日、新宿の甲州街道沿いの道でバッタリ倒れてしまって……そのまま救急車で運ばれたんです」
病院に一週間入院し、精密検査を受けたが異常はなかった。極度の過労によるストレスと栄養不足による行き倒れと診断されたという。病院のケースワーカーが生活保護の申請手続きを勧めたが、「生活保護を受けていることを一人暮らしの母親に知られたくない」と頑なに拒否し、無理やり退院した。
・ホームレスというと、”働かないで寝ているだけ”と思われがちだが、むしろ仕事をしている人の方が多い。厚生労働省が2007年に実施した「ホームレスの実態に関する全国調査」では、7割以上の人が何らかの仕事をしていると回答。都会には、ネットカフェ代や食事代程度を稼げる仕事が意外に多く存在する。
その一つがビッグイシューだ。イギリス・ロンドンで1991年に創刊された雑誌で、日本では2003年にビッグイシュー日本が創立され、販売がスタートした。
ビッグイシューの販売者として登録すると、最初の雑誌10冊が無料で提供され、それを売ったお金を元手に仕入れをし、販売していく。雑誌の定価は300円。一冊140円で仕入れるため、一冊売ると160円が販売者の利益となる仕組みだ。ネットカフェなどの宿泊代や食事代だけでなく、ビッグイシューで得たお金をもとにアパートに入って自立を目指す。
注)現在は450円(販売者の利益は230円)
・「路上アンケートに答えると図書券がもらえるので、それを金券ショップで現金化するんです。アンケートだと一回やって500円の図書券1枚。いい店だと1枚400円で換金してもらえる、献血もやっぱり図書カード狙いですね」
・夏目さんのように、路上にいると、”親切なNPO関係者”や”自律支援センター職員”に声をかけられることが頻繁にあるという。
「この年齢(36歳)だと生活保護ははねられるとおもってたんですけど、その団体通したらすんなり下りました。そのNPOは横浜市内に何か所も自社ビルみたいなの持ってて、そこにホームレスを集めているのです。自分が入った古いビルも100人くらい住んでいて、ワンルーム1部屋に3人で押し込められた。しきりとかは一切ありません。風呂トイレは共同で、風呂は銭湯みたいな共同浴場で入る。自分の場合、135,000円支給されたんですが、ここから寮費として97,000円持って行かれました」
・「あの時も5日間何も食べてなくて……もう何もかもがイヤになっちゃってた。ふと「留置所行ったらメシ食えるな」って考えが浮かんだんです。包丁持って交番に「自分はこの包丁持ってコンビニ強盗するつもりで中に入りました」って自首したんですよ。それで懲役1年、執行猶予3年の有罪になった。執行猶予は計画通りでした。罰金50万円払えばすぐ出られたんですけど、そんなお金ありませんから、結局2か月拘留されました。こんなので前科ついちゃうの悔しいけど、あったかい場所で寝られて、メシが三食食えるならもうどこでもいいやって考えになっちゃってたんですね」
・深い孤独のなか、抑うつ状態を募らせていく人が非常に多い。
・小松さんは、炊き出し等には一切行く気はなく、生活保護等の支援を受ける気もまったくない。
”自己責任”に拘り、他人の介入を拒否し、関係を断ってしまったのとは裏腹に、孤独や不安に押しつぶされ、今にも砕け散ってしまいそうな心がある。そんな自分の性格には、小学校時代、クラスメイトから殴る蹴るなどの激しいイジメにあったことが影響しているのではと小松さんは分析する。
・ホームレス状態が長引くにつれ、孤立感を募らせ、うつ状態から自殺にまで追い込まれる人もいる。
・聖美ホームで30年以上、子どもたちを育て、その成長を見てきた副園長山本英人さんは次のように話す。
「困難な状況に追い込まれる卒園生は大勢います。広川君みたいに失業して次の仕事が決まらないとか、借金取りに追われているとか、未婚の母になって行く当てがないとか……。経済的、社会的基盤が脆弱な彼らが生き抜くことは大変です。しかし一度施設を出た彼らに対して、施設のお金を使うことは赦されません。職員が自腹で卒園生の借金を返したなんて話はざらにありました。私もそういう経験を何度かしています」
・経済的に不安定な家庭に育ったと答えた人が全体の56%に及んでいる。
経済的理由から、進学や就職を断念したという人もいる。
家計が苦しく、就職に必要な免許(自動車)を取得できなかったため、内定を辞退した人もいる。
・福島県出身の安西豊さん(37歳)。パチンコで借金を作り、複数の消費者金融から借りた総額は550万円に及んだ。・・・
長いこと同棲してた婚約者がいたんですが、借金のせいで破談になりました。・・・
人生を大きく狂わせてしまうギャンブルの問題。そこには誰でも簡単に借金ができる消費者金融の問題もある。ギャンブル依存と借金の果てにホームレスになった若者は実に多い。
・期間工として3年を過ごし、次回の契約更新を待っていると、「次は派遣会社経由で登録して働いてほしい」と会社側から打診される。・・・
2003年、派遣法が改正され、それまで禁止されていた製造業への労働者派遣が認められるようになると、現場では派遣労働者が急速に増え始めた。期間工やアルバイトとして直接雇用契約されていた労働者は、雇用主にとって都合のよい派遣労働者への転換を求められ、従わなければ契約更新をしないという事態が生じたのだ。
・若者ホームレスの半数以上が転職を5回以上経験していることからも、転職回数が非常に多いということができる。「転職」といっても、正社員の仕事を積み重ね、キャリアアップしていくのとは異なり、製造業派遣や短期バイト等、不安定就労を繰り返していくケースが大半である。職種も仕事内容もバラバラであることが多く、その結果、仕事のスキルを身につけることができない。
・やはり若者ホームレスの多くが経験している仕事に新聞販売員がある(「聞き取り調査」の12%、6人)。しかし、新聞販売店での仕事は厳しく、継続して働くことは容易でない。
・「新聞販売店といっても個人商店のようなもので、待遇や労働条件は大きく異なります。”正社員”であっても失業保険や社会保険に一切加盟していない店もある。・・・」
そんな劣悪な労働条件でも新聞販売店は、仕事も住居も当座の生活費を持たない人にとって、すぐに住み込みで働くことができる数少ない場所になっていることもまた事実である。
・若者ホームレスのなかにさまざまな職業を経験している人がいるが、意外に多かったのが自衛隊経験者だ。
・「自衛隊は任期制なんです。上に上がって任期なしの自衛官になるには、試験を受けなきゃいけないんですけど、何度受けても受からない。筆記は通っても面接でダメなんです」
・若者ホームレスの多くが経験している日雇い派遣の場合、連絡は携帯メール中心に行われるため、携帯電話を所持していなければ、仕事を得ることができない。
・一度は正社員として社会に出た彼らだったが、その後、「別の可能性を探りたい」などの理由で退職。しかし、安定した仕事を得られず、転職を重ねるうちに、正社員⇒契約社員⇒派遣社員と待遇や労働条件は悪化していった。
その背景には、構造的不況、雇用の非正規化、派遣労働の広まりなどがある。
・生活保護を申請するため役所に行ったが、「若くて働ける人は申請できない」と断られてしまうことが、ほとんどだという。「住所がないと申請できない」「職がないと受理されない」など誤った情報を伝えられるなど、行政による水際作戦によって申請すらできなかったといケースが実に多い。
・生活保護はホームレスであっても受給することができると書いたが、これはあくまで法律上での話である。現実には就労可能なホームレスの場合、生活保護の需給は認められず、「自立支援センター」へ入所し、社会復帰を目指す道を勧められることが一般的だ。
・「緊急一時保護センター」はホームレスの人たちがいざという時駆け込めるシェルター的役割を果たしている。しかし、実際は入所希望者が多く、”緊急一時”の意味を果たしていないのが現状だ。
・彼らの多くは、学歴が低い、貧困家庭に育った、頼るべき家族を持たない……などホームレスになる以前から非常に困難な立場に身を置いてきた。また路上にいることによって、うつ状態を募らせ、社会復帰することが容易でない人もいる。
感想;
貧困の連鎖があるということです。
確かに貧困から頑張って這い上がる人もいますが、それは大変難しく、多くの人が貧困に苦しんでいるのです。
日本の奨学金制度は低金利融資で賞与タイプは少ないです。
卒業すると数百万円の借金を背負って社会人スタートです。
でもその奨学金さえ得られずに大学に行けずに、また非正規で困窮している若者も多いということです。
山上徹也容疑者も、母親の旧統一教会に1億円を献金で家庭が崩壊し、大学に行けませんでした。
社会の支援も受けられなかったのか、受けられる支援がなかったのか。
海上自衛隊を任期で退官しています。
自衛隊も試験があり、受からないとずーっと自衛隊におれないことも知りました。
山上徹也容疑者が政治/社会の支援があり、大学に進学できていたら、犯罪に手を染めることはなく、幸せな家庭を築いた可能性があったでしょう。
貧困は社会を混乱に導く可能性が大きいです。
シングルマザーの1/6は貧困層だそうです。
https://gooddo.jp/magazine/poverty/single_mother/
シングルマザーの年収は243万円です。
養育費を支払わない男性の責任もあります。
まるで種付けだけして子育てしない動物の世界のようです。
でも、動物の世界はそれが当たり前ですが人間は違うのです。
夫婦で子育てするのです。
日本はOECD国内でも貧困国になっています。
OECD加盟国のなかで、貧困率が8番目に高い日本 日本の不都合な真実 ~ 7人に1人が貧困層
https://www.es-inc.jp/graphs/2017/grh_id009158.html
年収の平均、中央値、最頻値の視点から見ます。
https://www.navinavi-hoken.com/articles/household-income
日本全体の平均世帯年収は552.3万円
厚生労働省が公開する「2019年 国民生活基礎調査の概況」によると、2018年時点における日本全体の平均世帯年収は552.3万円であることがわかっています。
一方、日本全体の平均世帯年収における中央値は437万円となっています。
最頻値は300~400万円です。
貧困の連鎖を断ち切るには政治の強い支援が必要です。
またその政治を選択するのは国民の声と一票です。
若者支援/困窮者支援にお金を回して欲しいです。
アベノマスク400億円は9割が使われずに捨てられました。
この400億円が若者支援と貧困支援に回れば、日本の将来の種蒔きになっていたでしょう。
国葬に37億円とか。
どうして、税金を日本の将来の種蒔きに使わないのでしょう。
転職繰り返してホームレスに近づく人。
ゲームやパチンコなどにのめり込んで借金を増やす人。
個人責任と言う人もいます。
確かにそれもまったくないとは言えませんが、頑張っても貧困から這い上がれない人が多いようです。
そんな社会が今の日本の現状なのでしょう。
人は弱いです。
失敗することもあります。
這い上がれる日本社会。
政治や社会がそれを支援する日本であって欲しいです。
生活保護受給13万円/月×12=156万円/年
年収350万円の場合の住民税は14.7万円、所得税は6.96万円、社会保険料は49.8万円で手取りは279万円となります。
71万円税金と社会保険料を支払います。
生活保護との差は156万円+71万円=227万円
生活保護の人が働けるようになると、227万円も節約できるのです。
その分をさらに困窮者に回せます。
収入が低いために、結婚できない層が増えています。
結婚できても子どもを産み育てるできない層が増えています。
子ども庁は何をしているのでしょう?
やっていることは子ども庁を子ども家庭庁と、まるで統一教会の名称変更と同じように”家庭”を付け加えたくらいです。
20年で韓国は年収が約3倍になっているそうです。
日本は5%減です。
今や韓国の方が日本より年収が多いです。
一人ひとりが考えなければならないのでしょう。
ビッグイシューの販売を御茶ノ水の橋で時々見かけました。
今度、見かけたら購入したいと思いました。