平成エンタメ研究所

最近は政治ブログのようになって来ました。世を憂う日々。悪くなっていく社会にひと言。

誰も守ってくれない

2009年05月13日 | 邦画
 「人の痛みを理解して背負って生きろ。それは大変でつらいことだけど」
 刑事・勝浦(佐藤浩市)のこのせりふがすべて。
 沙織(志田未来)にいったせりふだが、同時にマスコミやネットの書き込みに対するメッセージでもある。
 加害者の妹。世間の糾弾。そして母親の自殺。
 こんな沙織の痛みを考えれば誹謗中傷は出来ないはず。物事を上っ面で見るな。
 そんなメッセージ。

★ただ作劇的には疑問。
 兄や母親との関係がほとんど描かれていないから、沙織の痛みが十分に伝わらない。
 むしろマスコミやネットの書き込みの過剰さのインパクトが強すぎてそちらの方に目が行ってしまう。
 この作品で記憶されるエピソードって沙織が信じていたボーイフレンドに裏切られる所だろう。
 それは勝浦のエピソードもそう。
 妻や娘との関係は電話で語られるばかりから(この映画公開に先立ち、テレビドラマのスペシャルはあったが)、プレゼントのエピソードが活きてこない。
 
★さてそこでもう一度考える。
 この作品で描きたかったことって何だろう?
 マスコミやネットの怖さ?
 だとしたらむしろそっちに特化した方がいいと思うのだが、勝浦が向き合っているのはマスコミやネットの大魔神でなく沙織の気持ち。
 しかし前述した様に沙織の家族が十分に描かれていないから中途半端で今ひとつ。
 これでは佐藤さんや志田さん、豪華な役者さんたちがもったいないですよ。

 この作品は第32回モントリオール世界映画祭最優秀脚本賞を受賞した作品らしいが、それほどの脚本か?
 て書くと脚本家さんや製作者の制作の痛みをわかっていない?
 でもこちらも映画館でお金を払って見ているのだから、駄作を見せられた痛みをわかってほしい。


コメント
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