平成エンタメ研究所

最近は政治ブログのようになって来ました。世を憂う日々。悪くなっていく社会にひと言。

誘惑のアフロディーテ

2009年05月09日 | 洋画
 『人生は奇想天外で何が起こるかわからない。だから素敵で面白い』

 これをテーマにした作品。
 レニー(ウディ・アレン)はスポーツ・ライター。
 妻アマンダ(ヘレナ・ボナム・カーター)はひとりの少年を養子にもらう。
 その子供の母親を捜していくと母親は娼婦のリンダ(ミラ・ソルヴィーノ)。
 レニーはリンダのために奮闘して……。

 ウディ・アレン自身が出演する作品では<人生を前向きに肯定する>というテーマが多いですね。
 ウディは常に『人生は厄介で困難だが、奮闘すること自体が素晴らしい』というメッセージを送っている。

 ここで大切なのは今回の主人公レニーを始め彼が演じる主人公達が皆、他人のために一生懸命だということ。
 リンダの場合は娼婦生活から抜け出すように言い、娼婦の元締めのギャングと直談判し、新しい恋人も世話してあげる。
 新しい恋人とのことはリンダの過去の素性がバレそうになって冷や冷や。
 そしてウディはこうしたレニーの奮闘は見ていて滑稽だが、奮闘すること自体が素晴らしいことだと言っている。
 奮闘しなければ何も生まれないからだ。
 少なくとも奮闘をすれば思い出は心に刻まれる。
 
 このことは次の物語の展開にも。
 リンダと新しい恋人の関係はリンダの素性がバレてダメになるのだが、折しもレニーの妻アマンダが浮気をして、傷ついた者どうしのレニーとリンダが一夜の関係を持ってしまうという展開。
 レニーとリンダが<傷ついた>という点で心が結ばれた瞬間だ。
 それは一夜のことであっても<心が結ばれた>という事実は変わらない。
 これもすべて<奮闘>の結果。

 ウディ・アレンの映画は<奮闘しましょう>ということをテーマにしている。

※追記
 ラストの神々の歌。
 ミュージカル・ナンバー『When You're Smiling』らしいが『微笑みかけましょう。そうすればまわりも微笑みかけてくれる』というメッセージもなかなか。
 人生で大切なこととは「神がいるか」「人生の意味は何だ」といった難しいことでなく、案外こういう単純なことなんですね。


コメント
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