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平成エンタメ研究所

最近は政治ブログのようになって来ました。世を憂う日々。悪くなっていく社会にひと言。

青天を衝け 第4回「栄一、怒る」~いかに道理を尽しても仕方のないこと。それが泣く子と地頭だ。

2021年03月08日 | 大河ドラマ・時代劇
 五百両の御用金を命じられて納得がいかない栄一(吉沢亮)。
「その道理はどこから生まれるのか?」
 父・市郎右衛門(小林薫)はその問いに答えて、
「いかに道理を尽しても仕方のないこと。それが泣く子と地頭だ」

 第2話でも書いたが、これが武士階級の既得権なんですね。
 必要とあれば、「御用金」と称していくらでも税金を取り立てることが出来る。
 いくらでも「労役」として労働を強制できる。

 栄一はこれに憤りを感じる青年なのだ。
「御用金」や「労役」がなくなれば、自分たちはもっと豊かになれる。
 働いたら働いただけの収入を得たい。
 そのためには既得権を打破しなければならない。
 この思いが明治維新を生む原動力になる。

 もっとも徳川幕府を倒して生まれた明治政府が栄一の理想どおりなのかは疑問なのだが。
 薩長の藩閥政治は、薩長という新たな既得権者を生み出したに過ぎない。

 慶喜(草彅剛)パートでは「農人形」が描かれた。
 農民が作った米粒ひとつひとつに感謝する気持ちを忘れないように食膳に置かれている「農人形」。
 慶喜は、農民たちへの感謝の心を忘れていない武士のようだ。
 慶喜は栄一の所の岡部の代官とは180度違う、農民の苦労を知っている主君。
 ここに栄一と慶喜がクロスする部分があるのだろう。
 ………………

 栄一は海外にも目を向けている。
「どうして日の本は国を鎖しているのか?」
 栄一がこんな疑問をもった根底には、外国と貿易したいという思いがあるのだろう。
 これの障害になっているのは、鎖国政策を採っている徳川幕府。
 これもまた明治維新の原動力になる。

 もっとも「海外との交易で国を豊かにして強くする」という発想は、まだ先の話。
 徳川斉昭(竹中直人)などの攘夷論者は「御露西亜など叩き切れ」と意気軒昂。
 ………………

 ふたつのシーンが面白かった。

 宴会で、栄一は藍の業者に「大関」「関脇」などの番付をつける。
 末席に座らされた古株の藍業者はプライドを傷つけられて、当然怒り出すかと思ったが──
「おい、どこのシメカス(肥料)を使ったか教えろ!
 来年はいい藍を作って、わしが番付の大関になってみせる! 面白えじゃねえか!」
 おおっ、何とさわやかな人だ!
「面白えじゃねえか!」と発想できる人はたくましい。

 慶喜は平岡円四郎(堤真一)に『諍臣(そうしん)』になってほしいと言った。
 諍臣(=自分を諫める家臣)を求めるとは、慶喜、なかなかの名君だ。
 上に立つ者は、自分への批判に積極的に耳を傾けることこそ、重要。
 ところが、どこかのスガなんとかって総理大臣は、自分に反対する官僚を排除する男らしい。
 器が小さい、小さい。

コメント (3)
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