平成エンタメ研究所

最近は政治ブログのようになって来ました。世を憂う日々。悪くなっていく社会にひと言。

「素朴な琴」 八木重吉~短いが、想像力をかきたてられる詩

2021年09月07日 | 
 空気が少し秋めいてきた。短い詩をひとつ。


 素朴な琴
          八木重吉

 この明るさのなかへ
 ひとつの素朴な琴をおけば
 秋の美しさに耐へかね
 琴はしづかに鳴りいだすだらう

 ………………………………………………

 ここで「なるほどね~」と読み終わってはいけない。
 10秒間、目を閉じて、
 秋の景色の中に琴が置かれている情景を思い浮かべてみよう。

 秋の紅葉した森の中に小さな琴が置かれている。
 琴は秋の美しさに魅せられ、演奏し始める。
 すると赤や黄の木の葉が揺れ、鳥や虫たちが鳴き始める。
 木々の間から抜けるような青空も見える。

 うん! とても絵画的だ。
 何となく豊かな気持ちになってきた!
 新たに「素朴な琴」って、どんな琴なんだろう? と考えてしまった。

 現代人はどうも忙しくていけない。
 次から次へと情報が入って来て、それを処理していく。
 言葉を噛みしめ、いろいろ想像してみることをしない。
 普段通っている道でも、ゆっくりと歩けばいろいろなものが見えて来るかもしれない。
 そんなことを僕に思い出させてくれた。

 美しい秋の景色の中で、素朴な琴はどんな音を奏でているのだろう?

コメント (2)
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