平成エンタメ研究所

最近は政治ブログのようになって来ました。世を憂う日々。悪くなっていく社会にひと言。

鎌倉殿の13人 第45回「八幡宮の階段」~実朝、仲章、公暁──それぞれの死……

2022年11月28日 | 大河ドラマ・時代劇
 さまざまな死が描かれた。

 刃を前に実朝(柿澤勇人)は抵抗しなかった。
 実朝は公暁(寛一郎)の憎しみを受け入れた。
 斬られることによって、自分の罪を清算した。
 その罪は実朝の意思でおこなわれたことではないのだけれど……。
 実朝は生きることが嫌になってしまったのかもしれない。
・頓挫した宋船の夢。
・自らの性。
・鎌倉殿になった経緯。
 これらが実朝を絶望に追いやった。 
 あるいは自らの死を予感していたのかもしれない。
 歩き巫女(大竹しのぶ)の言葉が頭の中で響く。
「天命に逆らうな」

 ただ、唯一の心残りは千世(加藤小夏)。
 死を予感していた実朝は千世に歌を残していた。
『出ていなば
 主なき宿となりぬとも
 軒端の梅よ
 春を忘るな』

 源仲章(生田斗真)は死に際して、
「寒い! 寒いんだよー!」
 権力欲のかたまりで野心満々の仲章は、この世に未練を残す。
 その気持ちを表した言葉が「寒い! 寒いんだよー!」だった。
 天命を受け入れた哀しい実朝の死とは対照的だ。

 そして公暁。
 犯行の動機について、政子(小池栄子)にこう語る。
「知らしめたかったのかもしれません、私の名を。
 公暁──私には武士の名前はありませんでした」
 無抵抗な実朝を見て、公暁の実朝への憎しみは霧散してしまったのだろう。
 結果、残された動機は「武士の名前」がないことだった。
 公暁は「武士の名前」を取り戻すべく京で再起を図る。
 公暁はまだ生きることを諦めていなかった。
 しかし背後に三浦義村(山本耕史)の刃が……!

 実朝、仲章、公暁──それぞれに人生があり、さまざまな死があった。
 振り返れば『鎌倉殿の13人』は人の死の物語であった。
 上総介、義経、頼朝、比企能員、頼家、畠山重忠、和田義盛、時政、実朝──
 だから作品は義時の死で終わるのだろう。
 ……………………………………

 義時は完全に闇落ちした。
 運慶(相島一之)に「迷いがない顔」になったと言われる。
 三浦義村からは「脅えている」と言われる。
 義時は権力を維持するために迷いなく何でもする男になってしまった。
 一方で誰かが自分を殺すのではないかと脅えている。
 だから政子の威光にも頼った。
「頼朝様のご威光を示せるのはあなただけだ」
 一方、こんな自分になってしまった愚痴、怒りも吐露。
「あなたは何をしたのです!?」
 義時は、政子が汚いことに手を染めて来なかったことに怒りをぶつけた。

 義時は孤独である。
 絶対的な権力者になったのに不安でもある。
 運慶はどんな義時の仏像を彫るのだろう?

コメント (6)
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