平成エンタメ研究所

最近は政治ブログのようになって来ました。世を憂う日々。悪くなっていく社会にひと言。

どうする家康 第34回「豊臣の花嫁」~心を縛りつけていた鎖を解いた家康。わしは天下を取ることを諦めてもよいか?

2023年09月04日 | 大河ドラマ・時代劇
 石川数正(松重豊)出奔の理由は次のことを伝えるためだった。
・自分が天下を取るという囚われを捨てよ。
・他の人がいくさのない世をつくるのならそれでもよいではないか。
・それがお方様・瀬名(有村架純)の思いではないか。

 瀬名が生きていたら、おそらく瀬名は家康(松本潤)にこんなことを語っていただろう。
「自分を縛っている鎖を解きなされ」
「世の中が平和になるのなら誰が天下を取ってもいいではないですか」
 数正は出奔という行動で、瀬名の思いを代弁したのだ。

 肩の力が抜けて家康はいろいろなものが見えて来た。
 ひとつは豊臣の花嫁・旭(山田真歩)の思い。
 旭はつらい気持ちを押し隠し、わざとおどけて両家の間を取り持とうとしていた。
 もうひとつは、家康がかつて持っていた思いやりをなくしていたこと。

 囚われから解き放たれて新しい発想も生まれて来た。
 秀吉(ムロツヨシ)の懐に入って、秀吉をうまく操りながら世を平和にするという方法だ。

 数正の出奔にはもうひとつの意図もあった。
・出奔により徳川家の内情はすべて秀吉の知る所となった。
・内情がバレたら、秀吉とのいくさには勝てない。
・家康が上洛するのは石川数正が裏切って内情をバラしたせいだ、と周囲は捉える。
・自分が悪者になることで家康のメンツは少しは保たれる。
 このことがわかって家臣たちは泣きながら叫ぶ。
「すべては数正のせいじゃ!」
「数正の阿呆たわけ!」
 ………………………………………………………………

 人はひとつのことに囚われると、そこに突っ走ってしまうんですね。

 家康の場合は「わしがいくさのない世をつくる」という囚われ。
 しかし客観的な第三者の目で見れば、
「別に家康がやらなくても誰かがいくさのない世をつくればいい」
「現在それをやれるのは秀吉だ」
「圧倒的な政治力・経済力・軍事力を持つ秀吉がそれを実現するのに一番近い場所にいる」
 という考えが浮かんで来る。

 瀬名はそんな第三者の目を持ち、柔軟に対応できる人物だった。
 そんな瀬名を毎日供養していた数正は瀬名の声が聞えていた。

 そして、今作のひとつのモチーフである『おなごの戦い』。
・亡き瀬名は数正を通して、おなごの戦いをした。
・旭は懸命に両家の間を取り持とうとした。
・於大(松嶋菜々子)は家康を諫めた。
「人を思いやれる所がそなたの取り柄だと思っていたのだがのう」
「おなごは駆け引きの道具ではない」
「蔑ろにされた者の心を踏みにじるのではない」
・於愛(広瀬アリス)は
「他の人がいくさなき世をつくるのなら、それでも良いのでは?」

 今回のラストは家康が「兎の木彫り」を上洛の荷物にしまう所で終わった。
 家康は思いやり、やさしさを再び取り戻したのだ。
 瀬名はいつも家康のそばにいて助言し、心の支えになってくれるのだ。

コメント (2)
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