平成エンタメ研究所

最近は政治ブログのようになって来ました。世を憂う日々。悪くなっていく社会にひと言。

「インボイス導入で困る人は需要がない。廃業しろ」という発言が炎上中!~強者の論理に辟易する……

2023年09月27日 | 事件・出来事
 とある経営コンサルタントのXでの「インボイス」についての発言がプチ炎上している。
 いはく、

 イラストレーターとか、夢を追うのも自由だが、
 そもそもインボイス導入で困る人って作品に需要がない。つまり才能がない。
 介護・外食など人手不足な業界は幾らでもある。
 イラストは趣味でやれ。プロ辞めろ。


 これが「強者の論理」なんだろうな。
 まあ、この人、過去ZOZOの執行役員を務めていたらしいが、
 今は辞めてYouTubeで稼いだり、Xで仕事の依頼をしているような人物。
 決して「強者」だとは思わないが……。

 そもそも、この人はふたつの点で間違っている。

 まず一流と言われて活躍している人も下積みから始まる。
 役者、芸人、ミュージシャン、文筆家、アニメーターなど、皆そうだ。
 小さな仕事をいくつもこなしているうちに機会に恵まれ、何とか食べていけるようになる。
 そんな食べていける人の中でも年収1000万を超える人はごくわずかだ。
 それなのにこの人は「趣味でやれ」「プロ辞めろ」と言う。
 こうした下積みの人達がインボイスで廃業したら、業界が先細りして、
 芸術やカルチャーが衰退するわ!

 つーか、あんたに経済効率で「才能」を語られたくないわ!
 ゴッホだってベートーヴェンだって貧乏だったぞ。
 石ノ森章太郎、藤子不二雄らときわ莊の漫画家たちも貧乏だったぞ。
 あるいはメジャーじゃないけど、いいものを作っているクリエイターはたくさんいる。

 インボイス導入で影響が出るのはエンタメ関係だけではない。
 農業、漁業、運送、建設業、街の小さな商店もそうだ。
 売り上げ1000万以下の会社なんて山のようにある。
 これらが廃業・倒産してなくなったらどうなるのかな?
 日本の社会基盤が弱くなる気がするけど。

 ふたつめの問題。
 インボイス導入で物価が上昇する。
 メーカーが免税業者の消費税を引き受けた場合、メーカーはその分を商品価格に上乗せする。
 結果、物価があがる。
 たとえば大工の親方が
「インボイス登録? そんなものしねえよ。それを要求するなら他で仕事をする」
 と突っぱねたら、建設会社は大工の親方の消費税分を引き受けざるを得ない。
 その引き受けた分を建設会社は価格に転嫁する。
 結果、物価が上がる。

 そもそも税金というのは「富を再分配」するためにある。
 富める者の富を分配して社会に還元するのが税の役割だ。
 だから収入に応じて税率が違う「累進課税制度」が採られている。

 ところが消費税は儲かっていても儲かっていなくても、すべての人から一律に取る。
 富める者の消費税10万円と貧しき者の消費税10万円は意味が違う。
 これが消費税の逆進性であり、ヤバい所だ。

 昔の富裕層は「富の再分配」に理解があったと思う。
 だが、今は違うようだ。
「どうして俺たちの稼いだ金をダメやつに分けなくちゃいけないんだ」という考えが散見する。
 それだけこの国に余裕がなくなったということだろう。

コメント (8)
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