平成エンタメ研究所

最近は政治ブログのようになって来ました。世を憂う日々。悪くなっていく社会にひと言。

相棒10 「名探偵再登場」~名探偵に乾杯!!

2012年01月12日 | 推理・サスペンスドラマ
 探偵というのは素敵な商売ですね。
 美女と大金持ちとギムレット。
 自分の美学に生きる男。
 マーロウ矢木(高橋克実)の場合は、お金がなくてムギレットですけどね。
 しかし、自分がそうだと思えば、カラオケスナックは小洒落たバーになり、ムギレットはギムレットになる。

 探偵の美学はこんなせりふにも。
 「隠しておくべき真実を心に秘めておけるのが探偵」
 探偵の行動論理は<依頼人の利益・幸せ>にある。
 依頼人が不幸せになる真実なら明らかにしないし、不利益になる真実であれば口にしない。
 これは刑事の論理とは違っている。
 刑事はどんな真実であっても明らかにする。法に照らし合わせて判断する。
 なので右京(水谷豊)は言う。
 「刑事は探偵と違って、私情で動くわけにはいきませんから」
 ということで、刑事という仕事にはロマンがありませんね。
 特に右京さんは、ある意味非情。
 
 一方、探偵の中には、メトロポリタン・リサーチの樋本晃一(鈴木省吾)のような人物もいる。
 樋本は明らかにした真実を自分の利益のために使う男。
 これはマーロウ矢木の探偵の美学とは反する。
 マーロウの言葉を借りれば、「探偵の風上に置けない男」。
 まったくロマンがない。

 マーロウの美学はこんな所にも。
 自分がスタンガンで気絶させられ監禁されたにもかかわらず、それを告発しない。
 告発することは、依頼人の利益に反するからだ。
 また、バーテンダー稲尾(矢柴俊博)に対しても結婚相手の佳美(陽月華)にダマされていたことを語らない。
 語れば傷つくし、稲尾には甘美な愛の幻想の中で生きてほしいと思ったからだ。
 このあたり行動として、実にカッコイイ!

 自分の美学に生きる男・マーロウ矢木。
 ラストで右京と神戸(及川光博)がギムレットを飲みに行くのは、そんな探偵に対するオマージュ(敬意)か。
 心優しき名探偵に乾杯!!


※追記
 冒頭の特命係でのマーロウ矢木と神戸のやりとり。
 赤くひっくり返っている神戸尊の名札を見て、マーロウは「かんべそん」と読む。
 すると神戸は「たけるです」と訂正する。
 これはおそらくアドリブだろう。
 高橋克実さんのアドリブのフリに対して、及川さんが見事に応えた。
 こういう推理をしてみるのもドラマを見る楽しみですね。



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2 コメント

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心優しい探偵 (コウジ)
2012-01-13 09:08:37
megumiさん

心優しい探偵・マーロウ矢木を描くことで、右京というキャラを浮き彫りにした話だったと思います。
もし右京さんが刑事でなくて探偵だったら、真相や犯人に対してどんな対応をするんでしょうね。
やはり人情派にはならないんでしょうね。

PS
見たつもりになっていただいて、よかったです!
その分、他のドラマを見て、いろいろ教えて下さい。
返信する
見損ないました~(泣) (megumi)
2012-01-12 12:00:46
コウジさん 

またしても 見るのをすっかり忘れていました

こちらにお邪魔して 
昨夜は「相棒」だったんだ~と思い出しました
コウジさんのレビューを読んで 
見たつもりになります

ゆすりたかりの探偵の真逆を行く素敵な探偵のお話だったんですね

確かに 
右京さんは 人が傷付くなんて関係なく
真実の究明至上主義ですもんね
無粋ちゃ無粋ですが 
警察の仕事はそうでなければ成り立ちません
返信する

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