平成エンタメ研究所

最近は政治ブログのようになって来ました。世を憂う日々。悪くなっていく社会にひと言。

「光る君へ」第42回「川辺の誓い」~背負っていた荷物を下ろしたふたり、残りの人生をどう生きていくのだろう?

2024年11月04日 | 大河ドラマ・時代劇
「わたしとの約束はお忘れ下さいませ」
「おまえとの約束を終わらせれば俺の命は終わる」
「ならば、わたしもいっしょに参ります。この世にわたしの役目はありませぬ」
「おまえは俺より先に死んではならぬ。死ぬな」
「ならば道長様も生きて下さいませ。道長様が生きておられればわたしも生きられます」

 これまでのまひろ(吉高由里子)と道長(柄本佑)の関係の集大成だ。
 まひろとの約束を守るためにがんばってきた道長。
 それは時には強引な手を打たねばならず、強権的と誹りを受ける、つらく孤独な戦いだった。
 三条天皇(木村達成)、妍子(倉沢杏奈)、出家した顕信(百瀬朔)──みんな勝手なことを
 している。
 明子(瀧内公美)には激怒され、彰子(見上愛)からは距離を置かれている。
 宮中では「左大臣の病を喜ぶ者」のリストが出まわる。
 いったい自分のやって来たことは何だったのか?
 少しも理解されていない。

 こんな孤独でつらい道長を見て、まひろは背負っている荷物を下ろしたらどうか、と提案する。
 だが道長は──
「おまえとの約束を終わらせれば俺の命は終わる」
 まひろとの約束にかける道長の思いはこんなに強かったんですね。
 これに対するまひろの返しがすごい。
「ならば、わたしもいっしょに参ります」
 つまり、あなたをひとりでは死なせない、と言っている。
 これに対する道長の返しもすごい。
「おまえは俺より先に死んではならぬ。死ぬな」
 そして、まひろは──
「ならば道長様も生きて下さいませ。道長様が生きておられればわたしも生きられます」

 なんだ、このすごいやりとりは!
 心から相手のことを想っている。
 まひろの言葉を受けて、道長は涙を流さずにはいられない。
 抑えていた感情が堰を切ってあらわれた。
 道長、つらかったんだよね……。
 孤独だったんだよね……。
 理解者を求めていたんだよね……。

 そして『源氏物語』。
「光る君はお隠れになった後、あの光り輝くお姿を受け継ぎなさることのできる方は
 たくさんのご子息の中にもいらっしゃらないのでした」
 光る君は誰なのか?
 やっと答えが出ましたね。
 光る君は道長だった。
 今回の川辺のやりとりで、ふたりは人生を終えた。
 道長は「まひろとの約束」という荷物を、まひろは「物語」という人生の荷物を下ろした。
 そしてまひろにとって、光る君はずっと道長だった。
 それはこれからも変わらない。
 子供の頃の川辺のふたりが年月を経て宇治の川辺で収束する。
 見事な描写だ。

 さて、これからふたりはどのような余生を送るのだろう?
 道長には敦成親王(濱田碧生)を天皇にするという仕事が、
 まひろには『源氏物語』の宇治十帖を書くという仕事が残っているが、
 彰子
 妍子
 賢子(南紗良)
 双寿丸(伊藤健太郎)
 若い力はどんどん出て来ている。


※追記
 今作では採用されないだろうが、『源氏物語』の宇治十帖は賢子が書いたという説があるらしい。

コメント (4)
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