義時(小栗旬)、闇落ちである。
「やれることはやりました。
方々、拒んだのは向こうでござる。これで大義名分が立った。
比企を滅ぼす!」
権力闘争である。
少しでも甘さを見せれば、こちらがやられる。
この判断の決断の背景には生前の頼朝(大泉洋)の姿があった。
「敵に容赦せず常に先を仕掛けていた。これが頼朝様のやり方」
「一幡様を殺せ。頼朝様ならそうされていただろう」
こうやって頼朝を言い訳にするあたり、義時には迷いがあるのだろう。
頼朝様ならこうやったに違いない。だから自分もこうするしかない。
こう自分に言い聞かせていた。
迷いがあるから泰時(坂口健太郎)に「そこまでして北条の世をつくりたいのですか!?」と
問われて、「当たり前だ!」とキレた。
迷っているから、時政(坂東彌十郎)にも覚悟を尋ねた。
時政は自分の三つの大事にしているもの「伊豆の地」「りく」「息子と娘たち」を守るのが天命だ
と語り、覚悟を示した。
もはや進むしかない義時。
そして比企を滅ぼした時は自分に言い聞かせるように
「これでよかったかどうかはわかりません。しかし、これしか道はありませんでした……」
迷える義時である。
冒頭で「闇落である」と書いたが、義時は完全に「鬼」になっていない。
今後も迷い、もがき苦しみながら修羅の道を歩いていくのだろう。
……………………………
迷い、葛藤しない人物もいる。
時政は吹っ切れていて、比企能員(佐藤二朗)殺害の蔡には
「板東武者は何でもする。名前が傷つくことなど何でもない!」
三浦義村(山本耕史)も
「三浦と北条は刎頸の交わり。三浦を見くびってもらっては困るな」
比奈(堀田真由)は比企の娘でありながら、非情な夫・義時を弁護して、
「人は変わるもの。それでいいではありませんか」
ただ、そう言ったものの、比企滅亡の際は複雑な思いだった様子。
………………………………
ここで、上記のことをさらに深掘りして考察すると、
・歴史は暴力によって変わる……。
どんなに言葉を尽くしても「よし、わかった」にはならない。
言葉が行き詰まった時、採用されるのは暴力だ。
そして僕たちは7・8の事件に思いを馳せて、この命題に向き合い戸惑う。
・あとは断言する人はカッコいいけれど……。
時政の「板東武者は何でもする。名前が傷つくことなど何でもない!」
三浦義村の「三浦と北条は刎頸の交わり。三浦を見くびってもらっては困るな」
はわかりやすくてカッコいいんですね。
でも僕は「これでよかったかどうかはわかりません。しかし、これしか道はありませんでした……」
とつぶやく義時を良しとしたい。
迷いのない勇ましい言葉はスッキリする。
でも、迷ったり、後悔したりする義時の姿勢こそ大切だと思う。
「やれることはやりました。
方々、拒んだのは向こうでござる。これで大義名分が立った。
比企を滅ぼす!」
権力闘争である。
少しでも甘さを見せれば、こちらがやられる。
この判断の決断の背景には生前の頼朝(大泉洋)の姿があった。
「敵に容赦せず常に先を仕掛けていた。これが頼朝様のやり方」
「一幡様を殺せ。頼朝様ならそうされていただろう」
こうやって頼朝を言い訳にするあたり、義時には迷いがあるのだろう。
頼朝様ならこうやったに違いない。だから自分もこうするしかない。
こう自分に言い聞かせていた。
迷いがあるから泰時(坂口健太郎)に「そこまでして北条の世をつくりたいのですか!?」と
問われて、「当たり前だ!」とキレた。
迷っているから、時政(坂東彌十郎)にも覚悟を尋ねた。
時政は自分の三つの大事にしているもの「伊豆の地」「りく」「息子と娘たち」を守るのが天命だ
と語り、覚悟を示した。
もはや進むしかない義時。
そして比企を滅ぼした時は自分に言い聞かせるように
「これでよかったかどうかはわかりません。しかし、これしか道はありませんでした……」
迷える義時である。
冒頭で「闇落である」と書いたが、義時は完全に「鬼」になっていない。
今後も迷い、もがき苦しみながら修羅の道を歩いていくのだろう。
……………………………
迷い、葛藤しない人物もいる。
時政は吹っ切れていて、比企能員(佐藤二朗)殺害の蔡には
「板東武者は何でもする。名前が傷つくことなど何でもない!」
三浦義村(山本耕史)も
「三浦と北条は刎頸の交わり。三浦を見くびってもらっては困るな」
比奈(堀田真由)は比企の娘でありながら、非情な夫・義時を弁護して、
「人は変わるもの。それでいいではありませんか」
ただ、そう言ったものの、比企滅亡の際は複雑な思いだった様子。
………………………………
ここで、上記のことをさらに深掘りして考察すると、
・歴史は暴力によって変わる……。
どんなに言葉を尽くしても「よし、わかった」にはならない。
言葉が行き詰まった時、採用されるのは暴力だ。
そして僕たちは7・8の事件に思いを馳せて、この命題に向き合い戸惑う。
・あとは断言する人はカッコいいけれど……。
時政の「板東武者は何でもする。名前が傷つくことなど何でもない!」
三浦義村の「三浦と北条は刎頸の交わり。三浦を見くびってもらっては困るな」
はわかりやすくてカッコいいんですね。
でも僕は「これでよかったかどうかはわかりません。しかし、これしか道はありませんでした……」
とつぶやく義時を良しとしたい。
迷いのない勇ましい言葉はスッキリする。
でも、迷ったり、後悔したりする義時の姿勢こそ大切だと思う。
>でも、迷ったり、後悔したりする義時の姿勢こそ大切だと思う。
義時の姿勢は、文部科学省がよく言う「多面的・多角的思考」を具現していると言えそうです。
意外に最近の文科省のブレーンにはリベラルな学者たちが多いので、こうした標語がよく使われます。
しかし、そうした方向性が国民全体に浸透するのは難しいでしょうね。
さらには、「迷い、葛藤しない人物」は短期的―と言ってもその人一世代くらい続くこともある―には強かったりします。
ところで、「サバイバル・ゲーム第2幕」でなぜ北条陣営は頼家を排除し、最終的には殺害しなければならなかったのか―特に政子にとっては腹を痛めた実子なのに―が明らかになってきました。
頼家は落馬後の頼朝と同様に「物体」だと思われていたことが前提で事態が進んでいたという「事故」。
「生き返った」頼家にして見れば、自分が意識を失っている間に後ろ盾(比企)と妻子(せつと一幡)を失っていたわけですから許せないのは当然。
ただし、現時点では一幡は殺されていないと思います。
義時は泰時に一幡を殺せと命じており、善児が一幡に近づいた場面は千鶴丸の時とそっくり。
しかし、公式HPの次回人物相関図では一幡に「故人」マークは付いておらず、略年譜でも一幡殺害は少し後のこととなっています。
おそらく、義時は政子に報告したとおり密かに一幡を匿っているのでしょう。
「暗殺娘」トウの初仕事。
父義時以上に良識派で、後の名執権となる泰時に手を汚させませんでした。
直接手にかけることはなくとも、配下の兵たちが寄って集って女性を斬殺する場面を三谷氏は避けたかったことでしょう。
しかもトウは、泰時に斬りかかろうとするせつから泰時を守る形でせつを斬っていました。
いつもありがとうございます。
迷ったり疑ってばかりだと前には進めないのですが、常に自分の言動は正しいのか、と問うていきたいですね。
おっしゃるとおり頼家殺害は作劇としてスムーズな流れになりましたね。
実に不条理な展開ですが、思い込みや性急な判断は道を誤らせるんですね。
一幡はまだ生きているんですね。
鬼に成り切っていない義時としてはそう判断でするでしょうね。
すぐに子供を斬ってしまったら視聴者もついて来られなくなってしまうでしょうし。
それは女性の殺害にも言えて、作劇の際、トワの存在はこういう時に便利なんですよね。
泰時は安定の時代の執権なので、手を汚さずに済んだのでしょうね。
混乱の時代は誰かが手を汚さなくてはならず、それを義時が引き受けた。
最終回は、義時が手を汚してくれたから今の鎌倉があるんだ、と泰時が回想する感じになるのかもしれません。