ストロベリーナイト～ビジュアルイメージにこだわった刑事ドラマ

　SPを見ていないのだが、「ストロベリーナイト」の＜ストロベリー＞とは、姫川玲子（竹内結子）が襲われた時に見た赤い月、＜ナイト＞とは襲われた夜のことを示しているのだろう。

　この作品は、このように＜ビジュアルイメージ＞を重視している。
　今回の犯人もシンメトリー。
　シンメトリー（左右対称）のビジュアルにこだわって犯行を行っていく。
　線路の轢死体もあじの開きのようにシンメトリー。
　トイレで殺された小川睦男（村上かず）もシンメトリー。
　左胸を刺して殺した後、右胸も刺してシンメトリーな遺体を作った。
　しかも遺体を置くトイレもシンメトリーにするため、トイレットペーパーのホルダーを外すという念の入れよう。
　犯人のシンメトリーへのこだわりは、犯行だけではない。
　潜伏していたインターネットカフェの店のマークは＜左右対称なパンダのイラスト＞、選んだ部屋は＜１１＞。
　これらのことから、同じようにひとつのビジュアルに囚われのある玲子（彼女の場合はストロベリーナイト）は、犯人のシンメトリーにこだわる心の中を読み取ったのだろう。
　それは犯人が行くであろう場所の特定にも。
　玲子は、犯人が線路の上に満月が昇るシンメトリーな犯行現場にもう一度やって来ると推理したのだ。

　犯人がシンメトリーに囚われるようになった理由も明らかにされた。
　それは列車事故で死んだ女子高生・実春（藤本泉）の遺体。
　犯人は実春を愛しており、実春は列車に切断されてシンメトリーな姿で死んだのだ。
　そして、その姿が犯人のトラウマになった。

　人は多かれ少なかれ、何かに囚われて生きている。
　＜あの人の愛がほしい＞＜仕事で成功したい＞＜子供をこの学校に入れたい＞、こうした囚われは今回の犯人が＜シンメトリー＞にこだわるのと同質のものだ。
　こうした囚われを捨てられれば、楽しく自由に生きられるんですけどね。
　人はなかなかそれが出来ない。

　玲子は＜ストロベリーナイト＞を克服できるか？