平成エンタメ研究所

最近は政治ブログのようになって来ました。世を憂う日々。悪くなっていく社会にひと言。

下町ロケット ガウディ計画~何だかなぁ、悔しいですよ! くそっ!

2015年12月08日 | 職業ドラマ
「『挫折を経験したことのない者は何も挑戦したことのない者だ』
 アインシュタインの言葉です。
 アインシュタインはこうも言っています。
 『困難の中にこそチャンスがある』と。
 ですから落ち込んでいるヒマなんてないんですよ。今回はダメでしたが、これからが勝負です。自分たちの力を信じて、次はもっといい物を作ってみせますから。
 必ずここに戻って来ます」

 コンペに敗れた佃航平(阿部寛)が財前(吉川晃司)に言った言葉だ。
 ビジネス書などには、よく出て来る内容ですが、なぜか響きますね。
 今年は、松岡修造さんがブームだそうだが、社会はこのような熱さを求めているのだろうか。

 一方、この作品は<技術力>や<いい物を作ろうとする意思>だけでは、勝てないことも教えてくれる。
 佃はコンペに負けたことを社員に報告する時に、こう語る。
「俺に技術力を活かす知恵がなかったんだ。
 バルブを共同開発するというサヤマのスタンスが決め手になった」
 そうなんですよね。
 社会では物事は、技術力だけでなく、それ以外の知恵や戦略、人脈や営業力、政治力なんかで決まっていくんですよね。
 技術力一辺倒の佃と、勝つべくして勝つために外堀を埋めていくサヤマ製作所の椎名(小泉孝太郎)。
 僕は佃派なんですけど、社会ではおおむね椎名のやり方が勝つ。
 日本で、技術力が凄いと言われているのが、中小企業ばかりであるというのが良い例。

 ただ、戦略や政治力ばかりで、根本となる実力がないと、いずれ破綻するのも確か。
 さて、どうなる? サヤマ製作所。
 コアハートの失敗がドラマに新たな展開を生みそうだ。

 まず実力を磨き、次に知恵を使い、さらに営業力と政治力を使って仕事をしていく。
 これが健全な企業や企業人、仕事人のあり方なのでしょうね。

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花燃ゆ 第49回「二人の再婚」~今回の内容を名作コミック「めぞん一刻」と比べてみた!

2015年12月07日 | 大河ドラマ・時代劇
 何も引っかからなかったなぁ。
 主人公の結婚話だったんですけどね。
 フツーはすごく盛り上がるはず。

 原因は、
 よくある恋愛ドラマのパターンに、美和(井上真央)と楫取(大沢たかお)を当てはめただけだからだ。
 お互いに惹かれ合っているが、ふたりは亡き夫や妻や姉への思いがあり、なかなか一歩踏み出せない。
 迷った末の、楫取のプロポーズのせりふがこれ。

「私が寿を忘れられんようにお前も久坂のことが忘れられるわけがない。
 これ(手紙)はずっと持っておればええ。
 いっしょにやって行こう。私の妻になってほしい」

 完全に、どこかにあったせりふをコピペしたようなテンプレせりふだ。

 これを、高橋留美子先生の名作『めぞん一刻』と比較してみよう。
 五代君との結婚が決まって、響子さんが亡き夫・惣一郎さんの遺品を返そうとする時のやりとりだ。
 まず、五代君は墓の前で惣一郎に語りかける。

五代「正直いって、あなたが妬ましいです…。
   遺品を返したところで、響子さん、絶対にあなたのことを忘れないと思う。
   …忘れるとか…そんなんじゃない…あなたはもう響子さんの心の一部なんだ…。
   だけど、俺、なんとかやっていきます。
   初めて会った日から響子さんの中に、あなたがいて、そんな響子さんを俺は好きになった。
   だから…あなたもひっくるめて、響子さんをもらいます」
   
 おおーーーっ、何と泣けるせりふだ!
 大河ドラマの脚本家なら、これくらいのせりふを書いてほしい。
 単なるきれいごとでなく、「あなたが妬ましい」と負の感情を言わせることで、せりふにリアリティが出て来る。
 さらに、ここで上手い所は、五代の話を少し離れた場所で、響子が隠れて聞いているという状況設定にしたことだ。
 響子を前にしていたら、さすがに五代は「妬ましい」と本音を言えないし、「あなたもひっくるめて、響子さんをもらいます」などと恥ずかしいことも言えない。
 一方、響子も隠れて聞いているから、五代の大きな愛を知って、心の中でこうつぶやける。
響子「惣一郎さん…あたしがこの人に会えたこと、喜んでくれるわね?」

 遺品返還をめぐる作劇も上手い。
 響子は惣一郎の墓前に語りかける。

響子「惣一郎さん、あなたの遺品…これからお義父さんにお返ししてきます」
五代「あの…響子さん、遺品ね、無理に返さなくても…」
響子「いいの。これでいいの」

 響子は結局、亡き夫の遺品を返すわけだが、これは五代といっしょに生きていく決意を表している。
 だから、以下のせりふがせつない。

 桜の花びらが舞い散る墓前で、響子、五代と手を繋いで
響子「あたし、あなたに会えて、本当によかった」
 そして、青空をバックに
響子「…さようなら、惣一郎さん…」

 つらいけれど、前に進もうとする響子の気持ちを見事に描き出している。
 なのに美和は、
美和「はい。よろしくお願いします」

 この違いは何かというと、作家が主人公たちに感情移入してるかどうかなのだろう。
 おそらく高橋先生は五代君と響子さんになりきって、彼らが何をしゃべり出すかを耳を澄まして聞いている。
 一方、この大河ドラマの脚本家は、テンプレせりふを楫取ふうにアレンジして、それで終わり。
 プロポーズにふさわしい状況設定をつくりだす工夫もしない。

 テンプレートで、単にストーリーを追いかけるだけの脚本はやめてほしい。

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掟上今日子の備忘録 第9話~お前は今日から掟上今日子。探偵として生きていく

2015年12月06日 | 推理・サスペンスドラマ
 今回は、今日子(新垣結衣)の弱点が明らかになった。
 天井に書いてある文字~『お前は今日から掟上今日子。探偵として生きていく』や、腕や太ももに書いている文字がなくなれば、彼女は真っ白になり、自分が誰だかわからなくなってしまうのだ。

 だから、結納坂仲人(要潤)に眠らされて、目覚めた時に天井に『お前は結納坂仲人の恋人。結納坂仲人と共に生きていく』と書かれていれば、今日子は結納坂の彼女になってしまうし、太ももに『結納坂仲人は信用できる』と書かれていれば、結納坂は信用できる人物になってしまう。

 何だか深くなってきましたよ。
 人間のアイデンティティの問題。実存の問題。
 たとえば、
 『自分は○○株式会社の社員である』と規定するによって、その人は毎朝、○○株式会社に通って働くことが出来る。
 『自分は○○の母親である』と把握することによって、その人は母親として、○○を愛することが出来る。
 だが、それらの認識がなければ……。
 自分が誰だかわからなくなり、何をしたらいいかわからなくなる。

 というわけで、今日子は不安定な存在なんですね。
 天井に書いてある言葉や、太ももや腕のメモがなくなれば、たちまち自分の座標が失われる。
 すべてがゼロになる。
 第1話で、「掟上今日子を眠らせることは殺すのと同じ」と今日子が言っていたが、眠らせることはまさに死に価する行為。
 あの時は、たまたま目覚めた時に厄介(岡田将生)がいて、腕や太もものメモがあったから自分を取り戻せたが、それらがなければ、自分が誰で、なぜそこにいて、何をしているのか、わからなくなっていただろう。

 さて、結納坂によって別の人格にされてしまった今日子。
 彼女はふたたび自分を取り戻せるのか?
 そのポイントは厄介。
 でも、きっと大丈夫、厄介のことはきっと今日子の記憶の奥底にしっかり刻まれていると思うから。

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相棒14 「キモノ綺譚」~人間の心とは弱いもの。何かのきっかけで簡単に壊れてしまう

2015年12月03日 | 推理・サスペンスドラマ
 今回は、西原亜希さんが大変だっただろうな~。
 何しろ3つの人格を演じ分けなければならないのだから。
 特に3人目の人格は……。
 ラストでゲームに興じる姿は、おおっ! 西原さん、よくやる! と思ってしまった。

 それにしても、多重人格かぁ。
 多重人格と言えば、ヒッチコックの『サイコ』やデパルマの『殺しのドレス』なんだけど、今回のエピソードは、『サイコ』を換骨奪胎した感じ。
 『サイコ』は、母親を殺してしまったことを認めたくない息子が、母親の人格を持ってしまう話。
 で、今回の『相棒』は、双子の姉を殺してしまったことを認めたくない妹が……という話。
 『相棒』もそろそろネタ切れ?

 まあ、それなりの〝ひねり〟はあるんですけどね。
 愛と幸子の部屋は、和と現代風が入り交じって無気味でしたし、3人目の人格というオチもあった。
 母親が多重人格を生みだし、育むことに重要な役割を果たしていたというのも、ひとひねり。
 筆跡でだませても、指紋ではだませない、というのもなかなか。

 それにしても、人間の心って不思議ですね。
 愛の心は、幸子を殺したことで<破壊>されてしまったんですけど、同時に幸子の人格をつくり出すことで<修復>しようとした。
 その修復方法は、おそらく歪んだものなのでしょうが、これ以上の心の破壊をもたらさないために、辻褄合わせを必死におこなった。
 しかし、幸子を殺してしまったという心のトゲは抜けない。
 本来なら、自分の罪を認めることで浄化されるのでしょうが、それをしなかったために不自然に歪んでしまった。

 人間の心とは弱いもの。
 何かのきっかけで簡単に壊れてしまう。
 だが、同時に修復しようともする。
 人間の心は、多重人格者でなくても、多かれ少なかれ歪んでいるものだと思いますが、自分の心がどんなふうに歪んでいるかは常に検証して生きていきたいですね。

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水木しげる先生の「幸福になるための七ヶ条」~好きの力を信じる。怠け者になりなさいetc

2015年12月02日 | 名セリフ・名言集
 水木しげる先生が亡くなられた。
 現実世界と妖怪世界のふたつを生きられた水木先生。
 豊かな人生であったことでしょう。
 確かに、現実以外に、もうひとつくらい別の世界を持っていたいですよね。
 空想や想像の力があれば、それをできる。

 さて、そんな水木サン(←先生はご自分のことをこう呼んでいたらしい)が、『幸福になるための七ヶ条』というのを書いている。

 ①成功や栄誉や勝ち負けを目的に、ことをおこなわない。
 ②しないではいられないことを続けなさい。
 ③他人との比較ではない、あくまでも自分の楽しさを追求すべし。
 ④好きの力を信じる。
 ⑤才能と収入は別。努力は人を裏切ると心得よ。
 ⑥怠け者になりなさい。
 ⑦目に見えない世界を信じる。

 確かに、これを実践したら、楽に楽しく生きられるでしょうね。
 人間にはさまざまな欲があり、不安があり、虚栄心があるから俗人には結構むずかしいことなんですが、こうした境地になれるように日々を見つめていきたい。
 こうした境地になれるようにがんばるのではなく、ゆったりと考えていく

 ⑤才能と収入は別。努力は人を裏切ると心得よ。
 というのはシビアですね。
 でも、これが現実を生きるということ。
 現実では、努力以外に、運や生まれ育った環境や才能など、さまざまなものが左右する。
 けれど、これは決して〝努力するな〟と言っているのではない。
 「努力は必ず報われる」と考えるのと、「努力をしても報われないことの方が多い」と割り切って考えた方が、失敗しても楽だということだろう。

 成功や栄誉や勝ち負けを考えずに好きなことをひたすらやる。
 時々は、現実世界を忘れて、目に見えない世界に思いを馳せてみる。

 ドラマ『ゲゲゲの女房』で、水木サンが懸命に漫画を描いていた姿が頭に浮かんだ。

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下町ロケット~「スマートにやろうと思うなよ。大切なのは手と心だ」 ラストは怒りの「どっちなんだよ!」

2015年12月01日 | 職業ドラマ
「思いのない所に技術の進歩はないと、私はそう信じております。
 そもそも、このPMEAは医療開発を目指す企業の志を諦めさせるための組織ですか?
 それとも日本の医療と安全と発展のために、手助けする組織なんですか?
 どっちなんだよ!?」

 佃航平(阿部寛)のせりふである。
 そうなんですよね、官(=今回は官僚の天下り先である独立行政法人)は民間を規制するんですよね。
 だから規制緩和が必要。
 もちろん、規制は安全や不正をチェックするためにおこなわれるのですが、この物語のPMEAのように、大企業との癒着や中小企業を見下す差別意識からおこなわれることがある。
 それは純粋な思いから物づくりをおこなっている者にとっては理不尽なもの。
 佃が言うように、官は、企業の新規事業を手助けする存在であるべきなのに、それを忘れている。
 これでは日本から画期的なイノベーションが生まれないわけだ。

 そう言えば、このドラマのスポンサーである東芝は、〝リーディング・イノベーション〟ってCMで言ってたな~。
 東芝さん、損失隠しの不正会計でなく、物づくりで輝く企業になって下さい。

 結果と過程の問題もテーマになっていた。
・過程を大切にして、じっくりやれと励ます佃製作所
・結果のみを求め、早くやれとプレッシャーをかけるサヤマ製作所
 どちらが研究者や物づくりの人間にとって、いい環境であるかは明白であろう。

 佃のせりふもカッコいい。
「スマートにやろうと思うなよ」
「大切なのは手と心だ」
「結果なんか、そう簡単に出るものじゃない。何度も挫折して生まれるものだ」
 こういう経営者・上司って、いいですよね。
 エジソンも1万回以上の失敗と試行錯誤を繰り返して、白熱電球をつくりだした。

 しかし、こんな佃も娘・利菜(土屋太鳳)の関しては、からきしダメで、〝まさひこ君〟のことは、まったく知らない(笑)
 〝まさひこ君〟は性格が良くてイケメンらしいが、最後の最後まで出てきて欲しくないな~。

 ところで、ガウディ計画の開発責任者の立花洋介って、竹内涼真さんじゃないですか!
 『仮面ライダードライブ』の泊進ノ介!
 内田理央さんは『掟上今日子の備忘録』に出てるし、福士蒼汰さんも、ふみカスこと清水富美加さんも仮面ライダー出身。
 仮面ライダー俳優は活躍してますね。

 今や新人俳優の登竜門は、仮面ライダーと朝ドラ。
 『下町ロケット』では立川談春さんが注目されているが、他のドラマ製作者は、これらを見習って、どんどん新しいタレントさんを起用すべきです。

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