平成エンタメ研究所

最近は政治ブログのようになって来ました。世を憂う日々。悪くなっていく社会にひと言。

森義朗発言を国語の問題として考える~「大きな主語」で語るのはやめよう!

2021年02月05日 | 事件・出来事
「面白おかしくしたいから聞いてるんだろ?」
 問題発言をした森喜朗オリパラ大会組織委員長が謝罪記者会見で逆ギレ。
 他にも記者に高圧的な態度。

 見てて思った。
 ああ、この人、組織委員会でも同じことをやってるな……。

 おそらく委員の誰かが森喜朗に意見をしたら、
「もう聞きたくない」
「もっと場をわきまえろ」
 と言って怒り出す。
 かくして委員は何も言えなくなる。
 森喜朗の顔色をうかがい、気に入るような発言しかしなくなる。
 これで「裸の王様」の誕生だ。

 結果、組織委員会は萎縮し、オリパラもつまらない大会になる。
 ………………

 IOC(国際オリンピック委員会)のコメントには、がっかりした。
「森会長は謝罪した。この問題は解決したと考えている」
 おそらく謝罪会見を全部見ていないからなんだろうけど、昨日のは謝罪会見などではない。
 森喜朗は形式上謝っただけ。
 そう言えば、IOC会長のバッハ氏も、オリンピック開催に否定的な日本国民に、
「日本国民の皆さん、もう少し我慢してください」って言ってたな。
 何だ、これ?
 コロナでいろいろ我慢している時に、さらに「我慢して下さい」って言われてもなあ。
 それに、こちらとしては世界中から様々な株のウイルスを持ち込まれたり、
 オリンピックで世界中にウイルスが拡散するのが嫌なんだけど。

 何かもうオリンピックがだんだん嫌いになっていくよ。
 オリンピックの理想がどんどん汚されている気がする。
 要は利権、カネなのか?
 オリンピックに関わる者は「オリンピック憲章」に書かれた理想を語れ。
 利権やカネではなく、「オリンピック憲章」に書かれた理想をもとに、すべての判断をしろ。
 ………………

 森喜朗の発言に話を戻すと、僕は「主語」に注目したい。

「女性っていうのは競争意識が強い。誰か1人が手をあげていうと、自分もいわなきゃいけないと思うんでしょうね。それでみんな発言されるんです」

 森喜朗は「女性っていうのは競争意識が強い」とひと括りに語っている。
 女性の中には、競争意識の強い人もいれば弱い人もいる。話の長い人もいれば無口な人もいる。
 それなのに森義朗は女性=競争意識が強く、話が長いと決めつけている。
 まあ、JOCの女性役員は「わきまえた女性」で、そんなことはないらしいが。

 大きい主語を使って何かを語る時は十分に注意した方がいい。
「女性は」「男性は」
「日本人は」「中国人は」「朝鮮人は」「ユダヤ人は」
「老人は」「若者は」
 こうやって、一括りに決めつけることは愚かだ。
 なぜなら「女性」も「男性」も「日本人」も「中国人」も「朝鮮人」も「老人」も「若者」も一律ではないのだから。

 そして、大きな主語は要らぬ方向に発展する。
「日本人は優秀だ」→「日本スゴイ!」→「神国日本」「八紘一宇」
「ユダヤ人はずるい。金儲けのことばかり考えている」→「俺たちが貧しいのはユダヤ人のせいだ」→「ユダヤ人を排斥しろ」

 歴史は繰り返す。
 社会や政治家が「大きな主語」で語り始めた時は注意した方がいい。

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相棒19 「薔薇と髭の不運」~ヒロコママ、黄色い薔薇の花を届ける

2021年02月04日 | 推理・サスペンスドラマ
 ウーバーイーツなどの『オンライン・フーズデリバリーサービス』。
 これを使ったトリックでしたね。
 作家は、ふたつのトリックを用意した。

 ひとつは、デリバリーサービスのシステム利用したアリバイ工作。

 もうひとつは、透明人間化。
 フードデリバリーサービスの配達員であれば普通にマンションに入れる。
 犯行現場の街を自転車で走っていても特に注目されない。
 チェスタトンの『ブラウン神父の童心』に同様のトリックを使った『見えない男』というエピソードがあるが、『見えない男』の犯人の職業は××××だった。
 ××××が何であるかを知りたい方はぜひ原作を御一読を。

 しかし、アリバイ工作にデジタルシステム活用か。
 こういう時代になると、ますます青木年男(浅利陽介)の能力が必要になってくる。
 今回も事件解決に大きく貢献したのが青木だった。
 この意味では、米沢さんから青木へのチェンジは正解だったのかも。

 今回の事件を複雑にしたのは、事件現場にもうひとり別の動機を持った人間がいたこと。
 右京さん(水谷豊)の仕事は、この絡み合ったふたつの糸を解くことだが、これはAIや青木には出来ないことなんですよね。
 なぜなら、ここには、月の写真を撮っているヒロコママ(深沢敦)が遭遇するとか、右京さんとヒロコママの会話の「ビーカン」を聞いてしまういった「偶然」が存在するから。

 デジタル捜査とアナログ捜査──これからのミステリーはこのふたつの両輪で作られていく。
『太陽にほえろ』のような、ひたすら走る時代は終わったんですね。

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ウチの娘は、彼氏が出来ない!~恋愛ドラマを書けなくなった北川悦吏子さんの心の叫び!

2021年02月03日 | 恋愛ドラマ
 水無瀬碧(菅野美穂)は恋愛小説家。
 しかし恋愛小説を書けなくなっている。

 碧って、脚本・北川悦吏子さんの分身ですよね。
 かつてトレンディドラマで名を馳せた北川悦吏子さんだが、
 もはやキュンキュンするような恋愛ドラマを書けずに足掻いている。

 現在の恋愛ドラマの定番と言えば、火曜10時のTBS。
 現在、放映中の『オー!マイ・ボス!恋は別冊で』
 僕も見ているが、面白い。
 仕事や恋愛に翻弄され、悩みつつも、最終的には仕事も成功し、恋愛も成就する。
 ハラハラドキドキ! ときどきキュン♪
 高級犬の菜々緒さんの下で雑種の子犬のようにがんばってる上白石萌音さん!
 結末はわかっているのだが、過程がなかなか波瀾万丈で、つい見てしまう。

 一方、『うちの娘は、彼氏が出来ない!!』は、この過程がない。
 碧や娘の空(浜辺美波)は男性を好きになるが、すぐに幻滅したり、フラれたりして、最後は「母と娘の世界」に帰っていく。
 恋愛成就までのスッタモンダがほとんどない。
 すぐに結論が出てしまう。
 北川先生、このスッタモンダが書けなくなってしまったのかな?
 起承転結で言えば、「承」の部分があっさりしている感じ。
 物語では、この承の部分をいかにふくらまして面白く描くかが重要なのに。
 そして、承がなくて尺が埋まらないから、俊一郎(中村雅俊)や沙織(福原遥)のエピソードを入れたりしている?

 それと、碧たちは「恋愛をするために恋愛をしようとしている」感じだ。
 自分の心の中でぽっかり空いた穴を埋めるために誰かを探している。
 碧は小説を書くために恋愛しようとし、空は自分を変えたくて恋愛しようとしている。
 で、最終的に彼女らの心を埋めるのは、母娘関係。

 この作品は「恋愛ドラマ」というよりは「母娘ドラマ」として見た方がいいのかもしれない。
 とは言え、リアリズムという点では、『オー! マイ・ボス!』よりは、『ウチカノ』なんだよな。
 僕たちの日常は『ウチカノ』のように平坦で淡々と進んでいき、
『オー! マイ・ボス!』のような波瀾万丈なキュンキュンなどほとんどない。
 でも、現役の若い人たちは日々キュンキュンしているのかもしれない。

 僕も北川悦吏子さんも歳をとったということか。

コメント (2)
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麒麟がくる 第43回「闇に光る樹」~毒を盛る、信長様に

2021年02月01日 | 大河ドラマ・時代劇
「道三様ならこれをどうお収めになるのか?」
「毒を盛る、信長様に」
「信長様あっての私でございます。
 信長様に毒を盛るのはおのれに毒を盛るのと同じでございます」
「今の信長様をつくったのは父上と私とそなた。
 つくった者がその始末をなすしかあるまい」

 帰蝶様(川口春奈)、何というゾクゾクとする美しさ。
 本能寺で帰蝶は信長(染谷将太)といっしょに死ぬが、信長をつくってしまった責任を取ろうとしたのだろう。
 それと、『信長をひとりで孤独に死なせない』という想い。
 死に際して、帰蝶は信長に何を語るのか?
 他人に褒めて貰いたい信長だから、
「あなたはよくやりました。ご立派でした」と褒めるのか?
 これで信長も満足して安らかに眠れる。

 森蘭丸(板垣瑞生)が登場した。
 膳をこぼした光秀(長谷川博己)を叱りつけ、打擲しようとする。
 功績で言えば、光秀の方がはるかに上なのに。
 ただの小姓、近習なのに。
 こういう思い上がりの存在が組織を滅ぼすんだよな……。
 一方、本願寺攻めで苦労した佐久間信盛(金子ノブアキ)は追放。
 苦労した者は評価されず、実績はないのにおべっかを言う者が重宝される。
 これでは部下の心は離れていく。
 家康(風間俊介)と光秀の仲を邪推して、告げ口したのも蘭丸だった。

 秀吉(佐々木蔵之介)は細川藤孝(眞島秀和)に言う。
「帝の御譲位は行き過ぎにございます」
 しかし、これは本心から言っているのか?
 藤孝は返事をしない。
 もし「そのとおりだ」と答えれば、信長に告げ口されるかもしれないと思っているからだ。
 不信が渦巻き、誰を信じていいかわからない。
 これもまた組織の崩壊の前兆だ。

 秀吉は「武士が嫌い」な男のようだ。
 このモチーフが最終回でどう描かれるのか?

 家康は光秀に領国統治の方法を尋ねた。
 どうやら家康は安寧をもたらす存在として描かれているようだ。
「私には信長様はまだまだ怖ろしいお方です」と語ったように距離感もある様子。
 安土城での宴で毒を盛られるかもしれなというエピソードは『おんな城主直虎』でも描かれていた。

 そして光秀。
『本能寺』への気持ちを今回は『闇に光る樹』として描かれた。
 月に行こうとして樹にのぼる信長。
 その樹を切り倒す光秀。
 いろいろ象徴的なイメージをつくって来るなあ。
 これが池端俊策流なのか。
 あと、光秀役の長谷川博己さん、ここ数回、目も剥いたりして狂気の表情を入れてるな。
「本能寺の変」が必ずしも理性な動機でおこなわれたものでないことを表現しているのだろうか?

 いずれにしても、さまざまな登場人物の想いが交錯して描かれる次回の『本能寺の変』は見事なドラマになりそうだ。
『本能寺』をここまで深く描き切った作品は他にはない。

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