おほぞらし あだにみえねば つきかげの かはるときなく てらすべらなり
大空し あだに見えねば 月影の かはるときなく 照らすべらなり
大空に不実な心があるとは見えないので、月の光もそれに応えて変わることなくいつも照らしているようであるよ。
「月影」も貫之が好んでつかった言葉のように思えます。貫之集には採録されていませんが、貫之の辞世の歌にも使われていますね。
てにむすぶ みづにやどれる つきかげの あるかなきかの よにこそありけれ
手に結ぶ 水に宿れる 月影の あるかなきかの 世にこそありけれ
(拾遺和歌集 巻第二十「哀傷」 第1322番)