そらにのみ みれどもあかぬ つきかげの みなそこにさへ またもあるかな
空にのみ 見れどもあかぬ 月影の 水底にさえ またもあるかな
空にだけあっても見ていてあきない月が、水面に映って水底にもあるかのようだ。
水面に映る景物は貫之の得意分野。月を題材とした類歌は 456、776 にも登場します。
つきかげの みゆるにつけて みなそこを あまつそらとや おもひまどはん
月影の 見ゆるにつけて 水底を 天つ空とや 思ひまどはん
(456)
ふたつなき ものとおもふを みなそこに やまのはならで いづるつきかげ
ふたつなき ものと思ふを 水底に 山の端ならで 出づる月影
(776)