漢検一級 かけだしリピーターの四方山話

漢検のリピート受検はお休みしていますが、日本語を愛し、奥深い言葉の世界をさまよっています。

貫之集 298

2024-02-08 05:36:58 | 貫之集

ふたつこぬ はるとおもへど かげみれば みなそこにさへ はなぞちりける

ふたつこぬ 春と思へど 影見れば 水底にさへ 花ぞ散りける

 

春が二つ来るとは思っていなかったけれど、水に映る影を見ると、水底でもまた花が散って、まるでそこにも春が来ているようであるよ。

 

 本来一つしかないものを、水底に映る影を見て「二つ目」と詠じる歌は 776 にも出てきます。

 

ふたつなき ものとおもふを みなそこに やまのはならて いつるつきかけ

ふたつなき ものと思ふを 水底に 山の端ならで 出づる月影