ふたつこぬ はるとおもへど かげみれば みなそこにさへ はなぞちりける
ふたつこぬ 春と思へど 影見れば 水底にさへ 花ぞ散りける
春が二つ来るとは思っていなかったけれど、水に映る影を見ると、水底でもまた花が散って、まるでそこにも春が来ているようであるよ。
本来一つしかないものを、水底に映る影を見て「二つ目」と詠じる歌は 776 にも出てきます。
ふたつなき ものとおもふを みなそこに やまのはならて いつるつきかけ
ふたつなき ものと思ふを 水底に 山の端ならで 出づる月影