かすがのに わかなつみつつ よろづよを いはふこころは かみぞしるらむ
春日野に 若菜つみつつ よろづ代を いはふ心は 神ぞ知るらむ
素性法師
春日野に出て若菜を摘みながらご長寿を祝う私の心は、春日野の神様がご照覧になることでしょう。
詞書には「尚侍(ないしのかみ)の、右大将藤原朝臣の四十の賀しける時に、四季の絵かけるうしろの屏風にかきたりける歌」とあり、この詞書はここから 0363 まで七首に掛かります。その七首の作者は、素性法師に始まって凡河内躬恒(二首)、紀友則、壬生忠岑、坂上是則、紀貫之と錚々たる顔ぶれ。長寿の祝宴に名だたる宮廷歌人たちが招かれ、次々を歌を書き連ねていったのでしょうか。何とも華やかな光景ですね。