老齢とはいえ過去の実績などで世界最強の投資家ソロス氏が、❝中国経済の「ハードランディング」について「私は予測を口にしているのではない。いまそれを目撃しているのだ」❞と断言です。ただ、人民元は流動性に難があり一方的に売り込むのが技術的に難しいようです。中国には天安門事件以降、米国資本がかなり流れ込んでおり、今後、経営者に動揺を与えることになります。中国経済と密接な日本経済も甚大な被害は免れないでしょう。ただ「ハードランディング」がすぐ来るとは思えず、チキンレースが市場では続くことになります。日本の株式市場でも消費税引き上げとの絡みで日経平均が最悪1/2になる事態も覚悟しなければなりません。筆者も株式投資はしています。現金比率を増やすことは心がけますが、完全に手を引くことは考えていません。株式が一斉に暴落した時(短期売買を繰り返す外国人投資家や信用買いをしている輩が泣く泣く手放す時)、出遅れず買いたい株を迷わず買い出動するためです。それらの株は日本経済が立ち直った時5倍10倍と跳ね上がっているでしょう。とのように株式投資は常に適宜逆張りで行かなければ儲かりませんし、大化けを目指さなければ株式投資に向いていません。
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スイスのダボスに世界の首脳やビジネスリーダーが集う「世界経済フォーラム」年次総会(ダボス会議、1月開催)で、投資家ジョージ・ソロス氏が中国経済を「ハードランディングは不可避」と述べた。中国政府は反論に躍起だ。騒動はどこまで進むのだろうか。
「世界の工場」から「巨大市場」へと変貌する中で、中国は、ダボス会議をしたたかに宣伝利用してきた。ところが、今年は中国経済の減速に議論が集中するとみて、もともと及び腰で会議に臨んでいた。そこに降ってきたのがこの発言だ。
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ソロス氏は、米ブルームバーグTVに対し、中国経済の「ハードランディング」について「私は予測を口にしているのではない。いまそれを目撃しているのだ」と踏み込んだ。さらに、中国政府の無策を指摘し、「中国売り」を宣言した。
ソロス氏といえば、1992年の「ポンド危機」、97年の「アジア通貨危機」を仕掛けたヘッジファンドの総帥だ。97年10月には、中国への返還後間もない香港市場が危機に巻き込まれる一幕ともなった。
ソロス氏の「中国売り」発言を悪意ある挑戦とみて、中国政府は1月下旬から国営新華社通信や共産党機関紙「人民日報」といった官製メディアを動員し同氏に「筆誅」を加えている。
「ソロスらに警告しておく。人民元の空売りは袋小路に陥るのだ」(新華社の英文論評)
「中国マクロ経済の安定ぶりは他の新興市場国や先進国をしのぐ。単純な経済的衝撃をもって中国を覆すことなど不可能だ」(人民日報海外版)
メディアだけでは飽き足らないらしい。李克強首相も、北京での会議で「国際的に中国経済を空売りするという話が流れている。中国経済の減速が世界経済に影響したというのだが、これは一体どんな道理なのだ」と反論の戦列に加わった。
ソロス氏が人民元を標的に「有言実行」に踏み切るのか、その影響がどこまで広がるのかは、結果をみるほかない。ただ、中国が外国経済人の発言にこれほど激しく反応するのは、異例というほかない。つまり、この発言は痛いところを突いてしまったのだ。
中国金融当局の自信を支える外貨準備高は、昨年約5000億ドル(約60兆円)あまりも減少。目減り分の大半は昨年8月以降に集中している。
しかし、人民元防衛の弾薬がどれほど積み上げられているかは、筆者の関心ではない。中国は想定を超える事態が起きた場合、「市場」「国民」など、抑え付けてきた対象がどう反応するのかに自信が持てないのだ。ここが問題の核心だろう。
共産党体制とは、もともと対話型の政治モデルではない。しかし、中でも現政権は、共感性を呼び起こす丁寧な説明や施策、すなわち「対話」を拒み、ことごとく強権で抑え付けてきた。
真のハードランディングとは、抑圧された不満の爆発であるはずだ。ソロス発言の行方を注目したい。(山本秀也編集委員兼論説委員)