有名進学塾に煽られ、夏期講習、特別授業、模擬試験等々と筆者の家庭でも中学受験を目指す子供の為にせっせと課金をしていますが、背伸び教育費は老後の人生計画を破たんさせます。正直せっせとお金をつぎ込んで6年後にMARCHクラスの大学進学ではコスパは悪いでしょう。公立高校からの頑張りも十分アリです。親にしても50歳代で貯金がなければ老後破綻予備軍で、子供にとっては将来のお荷物。子供の為にしたことがお荷物では・・何事もほどほどが一番。そうはいっても偏差値表と睨めっこし、希望に胸を膨らませて、分かっていてもやめられないのが❝親ばか❞進学塾に煽られるだけではなく、偏差値表と前年度源泉徴収書を並べ冷静になることも必要です。
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「日常生活を節約してでも、子供には良い教育を」。親御さんなら誰しもそう思われるのではないでしょうか。子供のステージはさまざまですが、この秋から子供の進学に備え、いろいろと準備をされるご家庭も多いと思われます。
では、子供の進路によって、家計の状態はどのくらい貧しくなるのでしょうか。まずは年収と大学の授業料の関係から見ていきましょう。
増えない年収、上がり続ける大学の授業料
国税庁民間給与実体統計調査によると、サラリーマンの平均年収は、1997(平成9)年の467万円をピークに、2008年までほぼ右肩下がりです。同年秋のリーマンショックの影響で、翌2009年は406万円にまで落ち込み、その後は横ばい。2014年は415万円となっています。
一方、増えない年収に対し、大学の授業料は上昇し続けています。東京都の大学の授業料は、1977(昭和52)年から右肩上がりを続け、2004(平成16)年以降、国公立大学は横ばいになりましたが、私立大学ではなおも上がり続けています。
ちなみに、日本学生支援機構「平成26年度学生生活調査」によると、「国公立私立大学昼間部に通う学生の家庭の年間収入の平均」は824万円。この額だけみると、なんとか出せるかもしれませんが、これは子供が大学に入る年齢の年収です。親御さんが生涯で最も高い年収をもらっているときなので、この額が続くわけではないことに注意しなくてはいけません。
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国公立・私立大学昼間部の初年度納付金(入学金+授業料)の平均額は、国立大が81万7800円、公立大が93万5578円、私立大文系が98万8702円、私立大理系が131万1199円、私立大医歯系が377万5165円です。
これらは、あくまで平均ですので、学校、学部によってさらに高いところもありますし、その他、施設設備費や実習費用、教材費などがかかる場合もありますので、実際は、この金額より高額になると考えておいた方がよいでしょう。
さて、今回は、ここからが本番です。教育熱心なのはわかりますが、それなりに高い年収があってもあまり教育費をかけると、貧しい老後が待っています。ここでは、大学生の子供を持つ、「50歳の2人の女性(田嶋優子さんと大内美香さん)」の家計を比較しながら、「教育費をかけすぎるとどれほど家計にヤバイのか」を見て行きましょう(注:2人は架空の人物。教育費などは、実際にある塾や大学の費用などを参考に計算しています)。
田嶋優子さんと大内美香さんは、ともに50歳。大学の同級生です。学生時代は、互いに顔を知る程度だったのですが、23年前の27歳の時に、偶然、妊婦検診に行った病院で再会しました。住まいも比較的近くです。
優子さんの夫は、キャリアの国家公務員。美香さんの夫は、中堅の商社マン。20代後半、寿退社をして時間を持て余していた2人は、急速に仲良くなり、マタニティライフを共に過ごし、2週間違いで、両方とも男の子を出産しました。ちなみに田嶋家の年収は約700万円ちょっと。大内家は800万円くらいです。
オール国公立VSオール私立
優子さんと美香さんの「愛する息子の教育戦争」は、プレ幼稚園をうたう早期教育教室で口火が切られます。誘ったのは、商社マンの夫を持つ美香さんでした。半ばしぶしぶという感じだった優子さんでしたが、体操、英語、水泳、図工、音楽などをこなす2歳のわが子の姿を見れば、2万3000円の月謝も決して高いとは思わなくなりました。
プレスクールのお陰か、共に、希望の私立幼稚園に入園することができました。優子さんは官舎住まいですが、美香さんは、もともと、評判のよい区立小学校に通わせたくて選んだ学区です。息子の未来を思うと胸が高鳴ります。
「中学受験のための塾通いが始まる4年生くらいまでは、水泳と英語を習わせましょう」。再び優子さんは、美香さんに誘われます。やや派手好きな美香さんとのお付き合いに疲れ気味でしたが、一人っ子同士、兄弟のように育ってきた息子です。同じスクールに通わせ、水泳と英語を習わせることにしました。
さて、時は経ち、共に受験戦争に参入するかに見えた田嶋家と大内家ですが、教育方針の違いで進路を分かつことになります。
優子さんの夫が、中学受験に反対したのです。
地元区立の中学は非常に優秀で、上位の都立高校への進学率も高い。なぜわざわざ私立中学に行かなければならないのか。しかも「自分は国家公務員である」と。
優子さんは、「官舎に住む半分以上が私立中学に進んでいるのに」と、釈然としない思いでしたが、夫は、入塾案内に目を通そうともしません。それどころか、前々からサッカーをやりたがっていた息子を連れて、少年サッカーチームに見学に行き、さっさと入会をしてしまいました。
そんな夫を腹立たしく思った優子さんでしたが、いきいきと楽しそうな息子の姿や、熱心にサポートする夫をみているうちに、気持も和らいでくるのでした。
サッカーチームの年代の違うママたちとの交流も、優子さんの考え方に変化をもたらしました。2人3人と子供を育てている先輩ママは、「高い費用の塾に行って中学受験なんかしなくても、区立◎中、都立●高ヘ行って、ちゃんと志望大学に合格した」と、誇らしげに偏差値最上位の大学名を挙げるのです。
月日は経ち、2016年春。ともに50歳を迎えた優子さんと美香さんの息子たちも22歳です。
優子さんの息子は、地元の中学校、都立の上位高校と進み、現役で国立大学に合格して、この春、金融機関に内定が決まりました。中学、高校時代、進学塾には通っていましたが、教育費としては、一番おカネがかからない「オール国公立コース」を歩んだのです。
偏差値上位の大学でも就活がうまくいかなかったら?
一方、美香さんの息子は、小学校4年生から塾に通い始め、無事第1志望の私立中学に合格し、そのままエスカレーター式に高校に進学しました。一浪した後、偏差値上位の私立大学に進みましたが、思うように「就活」が進まず、1年間留年して、現在、海外に語学留学をしています。
「小学校は公立、中高大は私立コース」、さらに予備校代と留学費用までかかった非常におカネがかかったケースといえますが、決して極端とは言えません。ここで両家の教育費を比較してみました。
■田嶋家と大内家の教育費の比較(幼稚園から大学まで)
冒頭で述べたサラリーマンの平均年収415万円に対する教育費の割合でみると、ピーク時には25%に上がります。収入の4分の1が教育費となるのです。さらに、理系、芸術系、医歯系なら、あるいは、2浪3浪で予備校に通ったなら、子供が2人いたなら……。家計はますます逼迫することでしょう。
教育費をかけすぎると「50歳で貯蓄ゼロ」も
さて、おカネのかかった大内家と、抑えられた田嶋家の家計状況はというと、「貯蓄額の差」に現れました。50歳時点で田嶋家の貯蓄額は、1400万円です。年収の約1割を目安に、コツコツと貯蓄してきた結果貯めることができたのです。
一方、大内家はなんとゼロ!教育費負担が大きすぎて、貯蓄にお金を回すことはできませんでした。
大内家が、自分たちの老後に不安を持っているのは言うまでもありません。50歳の時点で「貯蓄ゼロ」は相当大変な事態です。
ここから大内家はどうすべきでしょうか。やや派手である美香さんは覚悟して支出を減らし、自身もパートに出るなど家計の収入アップを図ることです。また、この事態を息子にも伝え、これまでの「投資」をムダにしないように、自覚を促すべきでしょう。
教育費をどこかまでかけるべきでしょうか。人によってそれぞれかもしれませんが、筆者は「年間の目標貯蓄額を決めて、それを達成できる範囲内に抑えること」が賢明だと考えます。
家計の年収に対する貯蓄額は、最低でも10%とすることです。子供が小さい時であれば、それ以上の貯蓄ができます。半ば親の自己満足に近い高額な習い事にお金をかけたりしないで、貯め時を意識し貯蓄を増やしていきましょう。
子供1人の教育費は、通常の家庭なら、少なくとも年収の2倍にはなるのだという現実をしっかりと見据え、「教育費貧乏」にならないように、教育への投資は計画的にしましょう。「教育費貧乏」から「老後貧乏」への道は、直結しています。