50歳を過ぎれば、「悠々自適」の生活を送れる稀有な会社もある一方、競争にさらされ過酷な生活を強いられる会社もあります。悠々自適な会社は縁故入社が多く、日本も陰では階級社会です。自営といっても稼業だったりスキルや縁故などがなければ難しく、途中で多くが脱落してしまうでしょう。今、ふるいにかけられ落とされているのは、中流階級であり、特権階級には影響が少ない。今後、世界規模でのふるい落としがおこなわれ、中流階級はますます廃るでしょう。
50代でも降格があるユニクロ
50歳を過ぎれば、「悠々自適」の生活を送れる稀有な会社もある。広告代理店の二大巨頭、電通と博報堂だ。
「電通は20~30代の非常に辛い時期を乗り切れば、あとは天国のようなものです。40代のうちに部長になれて、定年までそのまま居座れる。昼前に出勤して何をするわけでもなく、夕方には映画を見に出かける。会議には参加しますが、部下の作った資料を見て一言話すだけ。それで2000万円弱の給料をもらい続けることができるんです」(30代・電通社員)
「営業部門は熾烈な競争を強いられますが、出世レースから下りて非営業部門にいけば、こんなにラクな会社はありません。営業部門と待遇がさほど変わるわけでもなく、仕事にやりがいを求めていない人にとっては最高の環境でしょう」(40代・博報堂社員)
「朝、会社に行ったら、いきなり上司から『あなたの部署は部門ごと出向になったから』と言われるんです。その後、出向先に転籍するか、会社を辞めるか、どちらかを選ばなくてはいけない。転籍したら給料は半分になる。バカバカしくて辞める人がほとんどです」
創業者がまだオーナーとして君臨する、歴史の浅い企業の50代はどう働いているだろうか。
ファーストリテイリングの子会社、ユニクロの40代社員が言う。
「50代の店長がいたのは、もう何年も前の話。その方は初代のスーパースター(SS)店長になった社員でした。SS店長には店舗の価格決定権が与えられ、裁量が大きいことで知られます。ところが、店舗をうまく回すことができず、精神を病み、どんどん降格されていきました。
年功序列ではない会社の恐ろしさが身にしみましたね。そういう意味では50代を過ぎたら『損をする』でしょう」
携帯キャリア大手のソフトバンクもまた、年功序列を採用していない。
「仕事の結果がすべてなので、年齢はまったく関係ありません。一応65歳までの再雇用制度はあるようですが、50代、60代の処遇がどうなるか、明確な指針は出ていません。その分、チャンスはあると思っています。僕は転職する気はありません。トップダウンで新しい試みがポンポン決まって、仕事に飽きませんから」(40代半ば・ソフトバンク社員)
今の大学生が50歳を迎えるのが、約30年後。その時、日本経済はどう変わっているのか。子供が就職して得する企業はどこになっているのか。本文で紹介できなかった企業は表に掲載した。じっくり検討してほしい。