以下コピー
対決姿勢を強める自民党都連だが、小池知事による都政を全体としてどう評価しているのか。
「小池劇場」と表現されるように、小池知事は「劇場型政治」を貫いている。「都政はブラックボックス」や「食の安全・安心」「都民ファーストで」などと都民にわかりやすいキャッチフレーズを掲げ、石原慎太郎・元知事や先述の内田都議らを槍玉にあげる。そして、マスコミを活用しながら都民の興味を惹き、関心を高めた。
そんな政治スタイルに「生産性があるとは思えない」と下村氏は苦言を呈した。都議選の争点を問うと「脱・小池劇場」だと述べた。
「小池知事の発信力はすごくあると思います。でも、敵を作るような劇場型の完全掌握的なやり方は正しいとは思わない」
「我々は小池知事を敵だと思っておらず、協力すると言っているわけだから。実際、自民党は小池知事が就任してから予算案や条例案に全て賛成してきた。つまり、小池知事がやろうとしたことを都議会で実現できない構図ではないのだから」
対決し、批判しつつも協力姿勢もちらつかせる。その背景には小池知事と都民ファーストの勢いがあるだろう。報道各社の世論調査を見てみる。
・【読売5/22】自民25%、都民ファースト22%
・【産経5/28】自民17%、都民ファースト11%
・【毎日5/29】自民17%、都民ファースト11%
・【朝日6/5】自民27%、都民ファースト27%で同率
・【東京6/13】都民ファースト22・6%、自民17・1%
6月に入り、都民ファーストが自民党を上回る結果も出ている。下村氏も「小池知事が都民ファーストの代表になってから、向こうの支持率は上がってきているでしょうね」と話す。
都民ファースト側が過半数を獲得し、自民党が最大会派の座を譲るとどうなるのか。下村氏は、知事と議員を有権者が別々に選挙で選ぶ「二元代表制の意味がなくなる」として、こう指摘した。
「都議会は知事と適度な緊張関係を持ちながら、チェック機能を果たし、よりよい都政を目指すもの。都民ファースト等を含めた勢力は、小池知事のやることにすべて賛成する『イエスマン』の集まりだから、過半数をとれば都議会の機能が発揮できなくなってしまう」
「都民ファースト等を含めた勢力」には、本来であれば自民党の仲間であるはずの公明党がいる。議員報酬削減をめぐる対立をきっかけに都議会では自民党と決裂し、都議選で小池知事側につく。公明党が決めたことですから、やむをえないでしょう」と下村氏は言葉少なだ。
自民党は現在57ある議席をどれほど維持できるのかが注目される。下村氏は「都民ファーストが勝ってしまうとは思っていませんけどね」と淡々と語るも、危機感が垣間見える。
「地方選挙とはいえ、都議会議員選挙の結果が、その後の国政選挙に必ず影響するので、国政にプラスになるような戦い方をしていきたい」
2009年の都議選では当時の民主党が勝利し、初の第一党に。自民・公明は過半数割れした。その後、当時の麻生太郎首相は衆院の解散に追い込まれ、総選挙で民主党に歴史的な敗北を喫し、政権を譲る結果となった。
森友学園、加計学園、首相に近いジャーナリストのレイプ疑惑、共謀罪。安倍政権に対し、「説明が不十分だ」との批判が高まり、安定していた支持率は下落傾向にある。
自民党がもっとも懸念するのは、都議選で大敗し、その流れが国政にまで波及することだ。自民党の下村博文都連会長