福聚講

平成20年6月に発起した福聚講のご案内を掲載します。

善財童子の訪問者と教え(華厳経入法界品)27

2019-09-27 | 諸経
善財童子の訪問者と教え(華厳経入法界品)27
廿六番目、南方険難国宝荘厳城 婆須密多女人
ここは華厳経の中でも有名な箇所で、善財が遊女に会うという箇所です。
師子奮迅比丘尼は宝荘厳城の婆須密多女人に会えと勧める。道行く人に聞くと「あなたのような穢れを知らぬ人がたずねるような相手に非ず(婆須密多女人は遊女であるから)」と心配する。しかし別の人はこの婆須密多女人は知恵ある人として認め、城中の深宮にいます、と教える。婆須密多女人は宮殿の獅子座に坐していて肌は金色・瞳は碧緑、光輝く容貌で薫香を放ち多くの侍女にかしずかれていた。婆須密多女人は善財に自分は【離欲實際清淨法門】を成就していて自分と共に宿る者は解脱光明三昧を得、阿梨宜(ありぎ・抱擁)する者は攝一切衆生三昧を得、阿衆鞞(あしゅび・接吻)する者は諸功徳密藏三昧を得るという。

「爾時、善財、彼の女人を見奉るに寶師子座に所して顏貌端嚴妙相成就。身は眞金の如く目髮は紺色にして不長不短不白不黒。身分具足し一切欲界に與に等しき者なし。何況んや勝る者あらんをや。言音婉妙にして世にたぐひ無く、善く字輪技藝諸論を知り、幻智菩薩の方便を成就し、阿僧祇の寶を以て其身を莊嚴し、寶網を羅覆し、首に天冠を冠り、大衆に圍遶せらる。皆悉く修善、其の願行を同じくし善根を成就して沮壞すべからず。無盡の功徳寶藏を具足して身より光明を出し一切を普照す。斯の光に觸る者は歡喜悦樂して身心柔軟に惱熱を滅煩す。
『善男子よ、我已に【離欲實際清淨法門】を成就せり。・・・
形體姝妙に光明色像も殊勝無比なり。若し衆生ありて欲に纒るる者は來りて我所に詣でば其が為に説法して皆な悉く離欲して無著境界三昧を得るせしめん。
若し我を見ること有ば歡喜三昧を得ん。
若し衆生ありて我と語る者は無礙妙音三昧を得ん。
若し衆生ありて我が手を執らん者は一切佛刹に詣る三昧を得ん。
若し衆生有りて我と共に宿る者あらば解脱光明三昧を得ん。
若し衆生有りて、目に我を視ん者は寂靜諸行三昧を得ん。
若し衆生有りて、我が頻申を見ん者は壞散外道三昧を得ん。
若し衆生有りて我を觀察せん者は一切
佛境界光明三昧を得ん。若し衆生有りて我と阿梨宜(ありぎ・抱擁)せん者は攝一切衆生三昧を得ん。
若し衆生有りて我と阿衆鞞(あしゅび・接吻)せん者は
諸功徳密藏三昧を得ん。
如是等の類の一切衆生、來りて我に詣でん者は皆な【離欲實際法門】を得ん』」。

これは菩薩五十二位の下から廿五番目、十廻向の下から五番目ということで華厳五十五所絵巻でも「第五無尽功徳蔵廻向」としています。

ここでは親鸞聖人の六角堂の夢告「行者宿報設女犯。我成玉女身被犯。一生之間能荘厳。臨終引導生極楽」を思い出します。我々のような凡夫の解説すべからざる箇所です。

慈雲尊者も「理趣釈」の「二根交会して五塵(色声香味触が)大佛事を成ずる」が分からねば国生み神話は分からぬ、とおしゃっています。




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