「・・・密教にては涅槃は単寂の境にあらざることを明かさんとして北方涅槃をば五部(金剛界五仏の五智を表す分類。仏部・金剛部・宝部・蓮華部・羯磨部)の中には羯磨部に配しまたその中尊を不空成就佛と称し、その四親近(主要五佛の四方に配される菩薩)をば、業、護、牙、拳としていずれも活動を表示し、五智(法界体性智・大円鏡智・平等性智・妙観察智・成所作智)の中には成所作智に配す、またこれを胎蔵曼荼羅に依るも北方涅槃をば天鼓雷音佛と称す。これ雷霆の無相にして而も天地に満る音響を発するが如く、涅槃は無相なれども無尽の妙用あることを表せるものである。」(金山穆韶「仏教における個体の概念」)
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