第一三課 憂鬱と笑い
憂鬱のときは、兎に角笑ってみましょう。笑えなくとも勇気を出して笑ってみましょう。
形に心はついて来ます。笑って、笑って、笑ううちに、笑いについて憂鬱がとけて来ます。一種の生理的作用でもあります。
私たちの心理と生理作用には、必ずその仕掛けが秘ひそんでいるはずです。
笑ってから、さて、おもむろに手段を考えましょう。(これがなかなかいざというときにできないのです。しかし、小泉八雲は「武士道」の中で「日本人にとっての笑いは、逆境によって乱された心の平衡を取り戻そうとする努力を、うまく隠す役割を果たしているからである。つまり、笑いは悲しみや怒りとのバランスをとるためのものなのだ。」といっています。戦前までの日本人は逆境の時ほどほほえみを絶やさなかったのでしょう。)