福聚講

平成20年6月に発起した福聚講のご案内を掲載します。

五大力菩薩をお祀りして仁王会を修し疫病を払った話。

2022-07-11 | 諸経

五大力菩薩をお祀りして仁王会を修し疫病を払った話。

真言傳(14世紀・真言僧栄海編)「四、仁王経の事」に以下のように書かれています。
(この話は「三寶感應要略録・第三十六彌提國王畫五大力像免鬼病」にもあり。)

佛の滅度の後、三百年に天竺の彌提国に百鬼乱入して疾疫流行して人民病死す。王臣大衆あひ議して云く、「昔無上法王、五大力菩薩に勅して我らが国土を守護せしむ。然るに我等宿運不幸にして、上法王の教勅を廃し、下国王の宝祚を乱る。すすみては先王にはじ、退ては後王をかえりみる。いかんが妖怪をのぞき、まさに災禍をまぬかれん」。時に智臣、王にまうさく「すべからく五大力菩薩の像((東)金剛手・(南)金剛宝・(西)金剛利・(北)金剛薬叉・(中)金剛波羅蜜多)を図して仁王の齋会をまうくべし。然れば国の宝祚をのべ、人民の災をのぞかん」と。初年月八日、国中の人民に勅して五大力菩薩を図せしめて、王臣已上妙なる細畳を以てこれをかかしむ。夜の初更にいたりて綵色まさに満るとき、金剛波羅蜜等の五方の菩薩、光を放って国土の中を照らすことひるのごとし。王臣歓喜す。是の光にあふもの身心安楽なり。諸の悪鬼神、光を見て国を出ぬ。もし死門に入るものはかへりてよみがへる。もし当時やむものはその病消除す。一時のなかに国内みな安穏なることを得たり。身心安楽にして禅定に入るがごとし。三更にいたって像まさに光をおさむ。それより以来、この国に百病をまぬかれたり。毎年法式として初月八日仁王の齋会を設けて五大力菩薩を供養すること三百歳になんなんとするまで相続たへずといへり。



参考。仁王護國般若波羅蜜多經 奉持品第七(十地の菩薩の行相、護国の五大菩薩と陀羅尼を説く。)

「・・佛、波斯匿王につげたまわく「我滅度の後、法滅んと欲する時、一切有情は惡業を造るが故に、諸國土をして種種の災を起らしむ。諸國王等は、自身・太子・王子・后妃・眷屬・百官・百姓・一切國土を護せんがためには、即ち當に此の般若波羅蜜多を受持すべし、皆安樂を得ん。我是の經を以て国王に付囑し、比丘・比丘尼・優婆塞・優婆夷に付せず。所以いかん。王の威力なければ建立不能なるがゆえなり。是の故に汝等、常に當に受持讀誦解説せよ。大王よ、吾今、所化するところの大千世界に百億の須彌、百億の日月あり。一一の須彌に四天下あり。此贍部洲に十六の大國、五百の中國、十萬の小國あり。是の諸國中に若し七難起れば、一切國王は除難のためのゆえに、此般若波羅蜜多を受持解説せよ。七難即滅し國士安樂ならん。
波斯匿王言さく「云何七難」。佛言はく
「一は日月失度。日色改變し白色赤色黄色黒色なると。或は二三四五の日が並照し、月色改變して赤色黄色なると。日月薄蝕、或は重輪ありて一二三四五の重輪現わるとなり。
二は星辰失度。彗星木星火星金星水星土等諸星各各が變を為し、或時は晝出ずるとなり。
三は龍火・鬼火・人火・樹火・大火と四もに起きて
万物を焚燒するとなり。
四は時節改變して寒暑恒ならず。冬雨ふり雷
電し、夏に霜ふり氷雪すと。土石・山及以び砂礫を雨ふらすと。時にあらずして雹を降らすと。赤黒水を雨ふらすと。江河汎漲して石を流し、山を浮すとなり。五は暴風數ば起り、日月を昏蔽す。屋をあばき樹を抜き沙を飛ばし石を走らす。
六は天地亢陽し陂池竭涸すと。草木枯死し百穀成らず。七は四方の賊來りて國の内外を侵し、兵戈競い起って百姓喪亡す。
大王よ、我今如是の諸難を略説す。有のあるひは、日が晝に現ぜず、月の夜に現ぜざることあり。天の種種の災なり。雲なくして雨雪す。地に種種の災あり、崩裂震動す。或は復た血流鬼神出現し、鳥獸怪異。如是の災難無量無邊なり。一一の災起らんに皆な須からく此般若波羅蜜多を受持讀誦解説すべし。」
爾時十六國王は、佛の所説を聞き皆な悉く驚怖す。波斯匿王は佛に白して言さく「世尊。何故に天地に是の災難あるや」。佛言はく「大王よ、贍部洲の大小國邑一切の人民、父母に考ならず、師長・沙門・婆羅門に敬ならず、國王・大臣が正法を行わざるによる。
此の諸惡によりて是の難興る。大王よ、般若波羅蜜多は能く一切諸佛の法・一切菩薩の解脱法・一切國
王の無上法・一切有情の出離法を出生す。摩尼寶の體が衆徳を具して能く毒龍・諸惡鬼神を鎮め、能く人心所求を遂げて滿足せしめ、能く輪王に応ずれば如意珠と名け、能く、難陀・跋難陀等の諸大龍王をして甘雨を降霔し、草木を潤澤せしめ、若し闇夜において
高幢上に置けば天地を光照して明なること日の出るが如くなるが如し。此の般若波羅蜜多も亦復た如是なり。汝等諸王よ、應に寶幢及び幡蓋を以て、燒香散花し廣大供養せよ。寶函に經を盛り、寶案に置き、若し
行かんと欲する時は常に其前に導き、所在住處に、七寶帳を作り、衆寶を座となし上に経を置き、種種供養し父母につかふるが如く、亦た諸天の帝釋に奉事するが如くせよ。大王よ、我れ諸國一切の人王を見るに、皆な過去に五百の佛に侍し、恭敬供養するに由りて帝王たるを得る。一切の聖人、道果を得る者、其國に來生して大利益を作す。若し王の福が盡きて無道の時は、聖人は捨去りて災難競い起る。大王よ若し未來世に諸の國王ありて、正法を建立し三寶を護する者あらば、我五方の菩薩摩訶薩衆をして其國を往護せしめん。
東方の金剛手菩薩摩訶薩は手に金剛杵を持ち青色光を放ち四倶胝の菩薩とともに其國を往護す。
南方の金剛寶菩薩摩訶薩は手に金剛摩尼を持ち、日色光を放ち、四倶胝の菩薩とともに其国を往護す。
西方の金剛利菩薩摩訶薩は手に金剛劍を持ち、金色光を放ち四倶胝の菩薩とともに其國を往護す。
北方の金剛藥叉菩薩摩訶薩は手に金剛鈴を持ち、
瑠璃色光を放ち、四倶胝の藥叉とともに其国を往護す。
中方の金剛波羅蜜多菩薩摩訶薩は手に金剛輪を持ち、五色光を放ち、四倶胝の菩薩とともに其国を往護す。是の五菩薩摩訶薩は各の如是の無量大衆とともに、汝が國中において大利益を作さん。當に形像を立て、之を供養すべし。

爾時、金剛手菩薩摩訶薩等は即ち座より起ち佛足を頂禮し、却って一面に住して佛に白して言さく「世尊よ、我等は本願に佛の神力を承けて十方世界一切國土に若し此經を受持讀誦解説の處あらば、我當におのおの如是の眷屬と興に、一念の頃に於いて即ち其所に至って正法を守護し正法を建立し、其國界をして諸災難無く刀兵疾疫一切皆除かしむべし。世尊よ我に陀羅尼あり、能く加持擁護す。是れ一切佛のもと修行する所の速疾の門なり。若し人、一經を耳に聞くことを得ば、所有の罪障は悉く皆な消滅す。況んや復た誦習して通利せしめんをや。法の威力を以て當に國界をして永く衆難なからしむべし。
即ち佛前において異口同音に陀羅尼を説いて曰く、
のうぼうあらたんのう、たらやあやあ、なおうまくありや、ばいろしゃなうや、たたぎゃたや、あらかていさんみゃくさんぼだや、のうまくありや、さんまんだばらだや、ぼうじさとばや、まかさとばや、まかきゃろにきゃや、たにゃた、じなのうはらじべい、あきしゃや、くせい、はらちばぼうばち、さらばぼだ、ばろきてい、ゆぎゃはり、じしゅちてい、げんびら、どらばぎゃけい、ちりやだははり、じしゃはねい、ぼうじしったさんじゃのうに、さらばびせいきゃ、びしっきてい、だらまさぎゃらさんぼでい、あぼぎゃしらばちねい、まかさんまんだばら、ぼびにりやてい、びやきゃらだ、はりはらはに、さらばしっだ、のうまそきりてい、さらばぼうじさとば、さんじゃのうに、ばぎゃばち、ほだまてい、あらだい、きゃらだい、あらだきゃらだい、まかはらじにやはらみてい、そわか。

爾時、世尊は是の説を聞き已りて、金剛手等諸菩薩を讃じて言く「善哉善哉。若し此の陀羅尼を誦持する者あらば、我及び十方諸佛悉く常に加護し諸惡神鬼は之を敬うこと佛の如く、久しからずして當に阿耨多羅三藐三菩提を得ん。大王よ、吾此經を以て汝等に付囑す。毘舍離國・憍薩羅國・室羅筏國・摩伽陀國・波羅痆斯國・迦毘羅國・拘尸那國・憍睒彌國・般遮羅國・波吒羅國・末土羅國・烏尸尼國・奔吒多國・提婆多國・迦尸國瞻波國、如是の一切の諸國王等は皆應に般若波羅蜜多を受持すべし。」
時に諸大衆阿修羅等は、佛所説の諸災難事を聞きて身
毛皆竪ち、高聲に唱えて言く「願はくは我、未來、彼の國に生ぜじ」と。
時に十六王は即ち王位を捨て出家道を修し、八勝處・十一切處(「八勝処」は、欲界の見る対象である色と形を観察してこれを克服し、貪心を除くための八種類の禅定をいう。「十一切処」は、地・水・火・風・青・黄・赤・白・空・識が、あらゆる場所に遍ねく行き渡って隙間がないと観じる十種類の観想で、八背捨・八勝処を修めて、その次に修める禅定をいう。

を具して、伏忍・言忍・無生法忍(五忍は「伏忍、信忍、順忍、無生忍、寂滅忍」)を得る。
爾時一切の天人・大衆・阿修羅等は曼陀羅花・
曼殊沙花・婆師迦花(ばしかけ・雨季に咲く香気の高い花)・蘇曼那花を散じ、以って仏を供養し、其の種性に随いて三脱門・生空・法空・菩提分法を得、無量
無數の菩薩摩訶薩は拘勿頭花(くもずげ・睡蓮の一種)・波頭摩花(はずまげ・赤蓮華)を散じて仏を
供養す。無量の三昧は悉く皆な現前し順忍・無生法忍に住することを得て、無量無數の菩薩摩訶薩は恒河沙の諸三昧門を得て、眞俗平等にして無礙解を具し、常に大悲を起こし、百萬億阿僧祇佛刹微塵數世界に於いて衆生を廣利し現身に成佛す。」

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