福聚講

平成20年6月に発起した福聚講のご案内を掲載します。

大薩遮尼乾子所説經では軍備増強を説くとともにやむを得ない戦争は肯定しています

2019-02-03 | 法話
大薩遮尼乾子所説經卷第五では、大薩遮尼乾子(元ジャイナ教修行者・ここではお釈迦様の弟子)が嚴熾王の戦争に関す る問に答えたが、お釈迦様がその答えを正しいと証明されています。王の質問は反逆者や外国王が侵略せんとした時の対処を問うものでした。これ に 封 し 大 薩 遮 は 「先 ず 国 王 は 、危 機 の 初 期 、中 期 及、末 期 に分けて考え、危 機 の 初 期 に お い て は、戦 争 を す れ ば 双方 に害 が あ る が 益 は な いとして和 解 の 方 法 を 講 ず る。そ れ に は 反 逆 者 又 は 外國王の 親友 、信 頼 す る 者 又 は 高 徳 者 を 仲 介 と す べ き。 次に、若 し 敵 が和 解 に 應 じ ない 場 合 に は 、彼 の要求物 を 輿 え て 戦 争 を 阻止する。次には、軍 力 を増 強 し敵 に 恐 怖 心 を 起 こ さ し て 戦争 に 至 ら ざ ら し め る。こ れ が 危 機 の 初 期 に おい て採るべき措 置である。中 期 即 ち 以上の三方 法 を使 用 し て も 敵 の 戦 争 意 欲 を 停 止 す る こ と が不可 能 で あ る場 合 は
1、先ず敵は無益な殺生をしようとしているがこちらは人々を擁護するという決意をする。
2、あらゆる手 段を講 じ て敵を 降 伏 せ し め る努力をす る。
3、敵の自由を喪失せしめ戦闘不能にする。
以上の措置を講じても敵が戦争を仕掛けてくる場合はやむを得ない。戦闘に入る(当時の陣立てまで指導している)。
このようにすれば国 王の勝利は確実である。そ の 理 由は 五つあり。1、国王がやむを得ず開戦したことを兵がよく理解している。2は国王の徳に畏れて。3は自己を恥じるため。4は兵は有徳の國王であるため銃後の心配がないため。5には国王の徳に報いようとするため。
以上のようにして戦争し殺生した場合でも微罪/無罪ですむ。国王が諸般の手を盡したのちにやむを得ず国民を守るために慈悲心をおこしてした戦争であるから。」

原典は以下の通り
大薩遮尼乾子所説經卷第五・菩提留支譯 ・王論品第五之三
「・・・若其國内に逆賊主ありて四種兵を具し與法行王國土に鬪諍し、及び外
國王來りて相い侵奪し大鬪を欲し四部兵を集め一切現前す。行法行王云何んが彼と共に鬪戰せんや。」答言。「大王。
行法行王當應に思惟すべし、三時中において三方に出て陣に入り鬪戰すべし。何等をか三時となす。謂く初入時、中入時、後入時なり。大王當知。初欲入時作方便者。行法行王。若し逆王を見れば爾時復三種の思惟をなせ。一は思惟す、此返逆王兵馬を所有し爲與我等爲に當に我勝べし。若し我等と共鬪戰せんには倶に損じ無益なり。若其れ我に勝てば彼活き我れ死す。如是念已。應に逆王所有親友及善知識を覓め、當に此鬪諍を和解滅せしむ。
二は行法行王。彼の逆王己と平等、及び己に勝つ力の者、心に自ら思惟すべし。應與に戰ざるにしかず。當に其もとめる物をあたえて鬪諍を滅す。
三は若し逆王が士衆眷屬朋黨象馬車歩四兵力を多有するを見、行法行王は士衆少なしと雖も、能く方便を以て大勇健難敵之相を現じ、彼逆王をして驚畏心を生ぜしめ以って鬪諍を滅す。如是を名けて初時中思惟三種方便之用となす。大王當知。
若以親友與物驚怖。如此三事。不能滅彼鬪諍事者。行法行王。爾時は復た三種思惟をおこし鬪戰に入陳せよ。
何等三種。
一は思惟すべし、「此返逆王は無慈悲心にして自ら衆生を殺す。餘人は殺者を亦た遮護せず、我今此のごとく相殺せざるべからず。此是の初心は諸衆生を護るなり。」
二は思惟すべし。「當に方便をもって逆王を降伏し、士馬兵衆與に鬪戰せざらん。」
三は思惟すべし。「當に方便を以て活繋縛取し殺害を作させざらん。」
此の三種慈悲心を生じ已って然る後に四種兵衆を莊嚴し、士馬を分布し、號令を唱説し、兵衆を簡選し、三品に分作すべし。上品中に上中下あり、上品を以て中下勇猛者を前に列在す。次に第二中品に健者を列す。次に上品に最健兵馬を列し兩廂に分在し、歩衆を護らしめ畏心を生ぜしめず。行法行王。在軍中に処するは、最上品象馬車と歩猛健衆とともに如是
に鬪に入るべし。何以故。能く大軍をして競進不退ならしむ五種の事あり。何等爲五。一は王に慚愧す。二は王を畏る。三は王意を取る。四は衆をして背後無畏ならしむ。五は國王恩を念報せしむ。如力如分。退轉を生ぜず能く勇戰鬪す。大王當知。行法行王。設ひ是方便で陣に入り鬪戰すとも、爾時復た衆生を殺害すと雖も、而も彼の王は輕微少罪を獲る。決定受に非ずして懺悔を受け能く滅す。何以故。彼法行王。入戰戦と欲するに先に三種慈悲心を生ずる故なり。此惡を作といえども罪輕微を得るのみ。決定受に非ず。大王當知。彼法行王は、衆をして生かさんがため、沙門を護して沙門法を護んがため、妻子族姓知識を護がため、能く自身及資生物を捨つ。如是業を作す。此の事に因るが故に、彼法行王は無量福を得る。・・・」
コメント    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 第二十九 問答決着章(「真... | トップ | 第二十九 問答決着章(「真... »
最新の画像もっと見る

コメントを投稿

ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません。

法話」カテゴリの最新記事