福聚講

平成20年6月に発起した福聚講のご案内を掲載します。

七月十二日は忍性菩薩の入滅された日です

2021-07-12 | 講員の活動等ご紹介

忍性は、鎌倉時代の真言律宗の僧で叡尊の弟子です。叡尊の蒙古退散の祈願を研究して以来、弟子忍性のことも調べたく思っていたのですが、たまたま大学図書館で数冊の興味をひく本を書架からだして何の気なしにみていると、本朝高僧傳に忍性菩薩のことが書いてあるのが目につきました。そして読み進めていくとなんと今日7月12日(嘉元元年七月十二日)は忍性菩薩の入滅された日だったのです。他の本は読まずすぐにブログに載せようと急遽家に帰って記事内容を纏めました。それにしても自分にとっては不思議で有難い事でした。

本朝高僧傳の忍性に関する記述の主要部分を要約しておくと、「・・・(忍性は)乞食を背負って毎日朝夕市場を往復し、さらに常に手足を揉んでやった。・癩病者一万八千人に給食した。・蒙古襲来で時宗に請われて祈願し験があった。・馬をも救って首に呪札を付けた。・二十年間に五万七千二百五十人を養い、時の人は呼んで医王如来と称した。・日蓮が忍性を謗って、律国賊といったが、逆に日蓮が鎌倉幕府に捉えられたとき忍性は時宗に日蓮の宥しを乞うた。旱に24回雨祈願して悉く験があった。・・」等等です。本朝高僧伝(元禄十五年1702臨済宗の卍元師蛮(まんげんしばん)著、75巻。) の忍性菩薩の記事原文です。「-・・・二十四、叡尊を趨拝して十重戒(真言僧の戒)を納め、仁治初年沙弥戒を受け、ついで具足戒にすすむ。犯を持し、遮を開き、日に練り月に鍛ゆ。大悲に親付して益々戒秘を究む。大衆の衣を濯ぎ僧坊を掃除す、常施院を建てて諸病僧を養ひ、悲田院を修して多くの乞丐(きっかい)を救ふ。奈良坂に一癩人あり、手足彎屈して起行すること能はず。性これを憐み、暁にこれを負ひ市に置く。暮に亦負ひて帰る。手にて自ら洗摩し汗穢を嫌はず。祁寒酷暑にも必ずこれを欠くことなし。癩人亡ずるに臨み誓ひて曰く、『我必ず再生してこの恩に報ひん』と。後果たして面に瘡ある者有、善く使役を為す。寛元元年丈六の文殊像を造りて般若寺(奈良・真言律宗)に置き、又母の劬労(苦労のこと)に薦めて十八処を点じて癩丐一万八千人に給食す。昼夜以て八関斎戒(俗人に一日守らせる戒、八斎戒のこと)を授く。
弘安四年辛巳、蒙古寇犯す。副元帥平時宗(北条時宗)、護国の法を稲村山に修し,仁王会を開く。未だ幾ならずして捷報あり。平師(時宗)おおいに悦ぶ。乃ち永福寺(鎌倉市)主務に補す。又極楽寺を以て御願場となさんと奏す。
・・永仁元年夏、詔を奉じて北京八幡宮に蒙古の軍を呪す。・・・檀施を所得すれば則ち囹圄(れいぎょ、牢屋のこと)に散じ、寒素の者に遭へば、衣服を脱ぎて与へ、銭資を頒布す。盲者には杖を授け、乞丐(きっかい)をみれば布袋を施す。孺子(幼児)を棄つるに逢へば銭を出して乳育す。又厩を構へ、病馬を集む。時に仏名を唱へ、小簡に呪を書してその首に繋げしむ。自ら文殊・地蔵を画きて男女に分け与ふ。倹歳にあえば即ち糜粥を煮て飢殍(がひょう)を救ふ。時疫あれば則ち病者を招集して薬を剤へて撫活す。・・・日に往いて看病し二十年間に五万七千二百五十人を養ふ。時の人呼んで医王如来と称す。履行皎潔にして利名を塵視す。慈心独り切なり。蚕衣を着することを禁ず。弊衣蔬食、これに処して安如たり。池上の日蓮しばしば悪言を出だす。而して性(忍性)を謗りて、以て律国賊となす。性、意に介せず。その罪に陥るにおよび、却って平師(時宗)に宥しを乞う。・・嘉元初年夏、旱日に積もる。清滝宮に就き、呪を持ちて祈りを精にす。即日甘雨あり。・・およそ旱澇を祈ること二十四回、戒行して感ずるところ饗応すること神のごとし。・・臨終に僧伽梨をきて椅に坐して誡を遺す。印を結び呪を誦してねむるが如くにして化す。實に嘉元元年七月十二日なり。法の如く耶旬し、霊骨の舎利を極楽・竹林・額安の三寺の塔に納む。法齢八十有七なり。僧臘は六十有三。所度の弟子二千七百四十余人、白衣の弟子はその算を知らず。寺院を結界すること七十九所、伽藍を修営すること八十三所、仏塔を建立すること二十区、大蔵経を十四蔵に納む。諸州の架橋百八十九所、水田二十二所、百八十町を寄す。道路を修すること七十一所、義井を穿つこと三十三所、殺生を禁止すること六十三所、浴室療病の宅・乞かいの屋、各々五処におき、広く戒本を荘んにして僧尼に三百四十巻を与ふ。乞かいに施すところの布衣三万三千領、その余はこれを記するに遑非ず。嘉暦三年後醍醐帝行徳を追崇して菩薩の号を賜ふ(忍性菩薩)。・・」

なお、忍性の十大願というものがあります。
「1 三宝(さんぽう:仏・法・僧)を紹隆すること。
2 勤行・談義など仏事を怠らないこと。
3 常に三衣一鉢(さんねいっぱつ:三種の衣と一つの鉢(食器))を持ち遊行すること。
4 輿や馬に乗らないこと。
5 特定の檀那の庇護を受けないこと。
6 孤独・貧窮・乞食人・病者・盲人等や牛馬の路頭に捨てられたものを救うこと。
7 道を造り橋をわたし井を掘り薬草・樹木などを植えること。
8 自分を謗る者へも善友の思いをなすこと。
9 調理に手間をかけた食物を断つこと。
10 功徳は一身にとどめず十方界の衆生に施与すること。」

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