福聚講

平成20年6月に発起した福聚講のご案内を掲載します。

東洋文化史における仏教の地位(高楠順次郎)・・その16

2020-09-21 | 法話
 イギリスはインドの南方仏教小乗の一切経を出版しております。ロシアでは大乗一切経の梵語の原本を出版しております。これは帝政時代から出版しておりましたが赤化ロシアになっても今も続いて出版しております。赤化ロシアの方が他の国よりもよほど理解があるといって梵語学者の仲間では賞讃しております。シャムの皇帝は曽て小乗の一切経を出版され世界の学界に提供した。後にまた註釈全部を出版して世に弘めた。ビルマでは有志が出版し、セイロンでも有志が出版して普及を計っている。
 古代の出版から近時の出版まで合せますと三十の一切経があります。でこれは古い写本、版本みな大切でありますが、近時学者の手に成った校本も研究には欠くべからざるものであります。それをみな集めようというのがわれわれの野心であったのであります。その中で図書館に入っていたのは焼けましたのが多いのであるが、他に本願寺にもあるし、東北大学にもある。とにかく日本には三十の一切経がことごとく存在しております。これはわれわれの誇りとすべき事柄であると私は考えます。インドで出来た一切経もインドの本国にはありませぬ。シナで翻訳され刊行された一切経もシナには残っていない。日本まで文化が押し寄せてきて、それからは決口はけぐちがないから日本には全く留ったという訳であります。それから日本の古寺院に、非常に面白い図書が残っておりますが、その残っているものの中に近頃中央アジアの発掘によって知られたものは日本に存在していることが分った。日本はこれがために重きを為すことになったのである。(高楠順次郎・渡辺海旭監修の『 大正新脩大蔵経』100巻は高麗海印寺本を底本として諸本と校合、1924年から34年にいたる歳月を費やし、正蔵(55巻)、続蔵(30巻)、昭和法宝目録(3巻)、図像部(12巻)を収め世界の仏教研究の基礎となっている
現在は大蔵経データベースをインターネットで検索できます。)
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