4月29日(休日)14時於護国寺。ダライ・ラマ法王による東日本大震災犠牲者四十九日特別法要の模様。
たいへん多くの僧尼・参列者が集まりました。チベットもたいへんな時期に東日本大震災犠牲者のために法要を催していただき、ダライ・ラマ法王および関係者に感謝するとともに、ありがたいご法話を拝聴できて感激しました。
本堂正面にご本尊如意輪観世音様が御開扉されておりその前に「東日本大震災物故者諸霊」の大きな白木の位牌が置かれています。大韓民国とかいた僧尼の一団、など多彩な出席者が広い境内一面を埋め尽くしていました。
日・西蔵の僧侶や白鳳などのお相撲さんの一団を先導にダライラマ法王は参道両側のひとびととに親しく祝福を与えながらいらっしゃいました。そして護国寺岡本貫主に手を貸されながら本堂に入られました。
式次第です。
1. 開会のお言葉 (ラクパ・ツォコ氏 ダライ・ラマ法王日本代表部事務所代表)(主催者)
2. 四十九日特別慰霊法要
帰依発心 四無量心 仏母般若波羅蜜心髄経 道場退魔法 普賢菩薩行願讃 入菩薩行論回向品
千手千眼観自在菩薩御真言 地神と四大天女に対する供養文
七句祈願文 蓮華生菩薩御真言 厄障消除祈願略文 回向文 (以上 チベット語にて)
仏説摩訶般若波羅蜜多心経 光明真言 如意輪観世音菩薩御真言 寶號 回向文 (以上 日本語にて)
3. お言葉 (岡本永司猊下 護国寺貫首)
4. お言葉 (江川辰三猊下 總持寺貫首)
5. ご法話 (ダライ・ラマ14世猊下 チベット仏教法王、チベット亡命政府の長)
<ダライ・ラマ法王のご法話の要約>
このたびは東日本大地震が起こり、多くの被災者が出たことにお悔やみを申し上げます。
ダライサラ(インドにあるチベット亡命政府の拠点)にいたときに大地震のことを聞きました。
自然の構成要素である五大のバランスを崩したことにより大地震が起こり、人災により原発事故が起こりました。
知人・友人が日本には多くいます。
私は祈願をし、追悼をさせていただきます。
日本は仏教国ですので、般若心経を読み、法要をして、追悼をさせていただくのがよいと思います。
日本もチベットも大乗仏教の国です。そこでダライサムで般若心経を10万回唱える法会を行ないました。(脚註1)
また、大災害が起こった日本に行き「大丈夫、安心していいですよ」というとみなさんも心が休まると思い、訪日して四十九日の法要をすることとしました。4月23日からロサンゼルスを皮切りにアメリカを旅行することをちょうど予定しておりました。(それで、日程を調整しトランジットの時間を利用して、今回の法要を行なうことができました。)(脚註2)
日本の修行者は、修行中に逆境にたったときはこれも修行の道中だと思うとよいと思います。
シャ-ンティデーヴァ(寂天)の『入菩薩行論』(註)に逆境に遭ったときの2つの対処法が説かれています。
① それがまだどうにかなるものならば対策を講じ、手段を考える。
② それが元に戻すことができないものであるならば、過去を悔やんで落胆し勇気を失くしてしまうのではなく、今後に向けた努力をする
(註:『入菩薩行論』は、インドの大聖者シャーンティデーヴァが、菩提心と六波羅蜜を絶妙な韻律で説き示した珠玉の教えです。チベット仏教の世界では、大乗仏教の思想と実践を学ぶために欠かせない重要典籍の筆頭に掲げられています。・・・引用:ポタラカレッジhttp://www.potala.jp/lib/sousho/sousho.html)
今回はこの②であろうと思います。地震があったことは元に戻すことはできないのですから過去を悔やむのではなく今後にむけた努力をすべきときです。
私たちはチベットの土地を失い困難にみまわれていますが、精神性・内なる力を高め、より強くなることができました。
日本人は第二次大戦というたいへんな被害があり、広島・長崎の原爆を落とされても落胆せず自信を失わず、再建してきました。日本人にはそういう実績があります。ドイツ人も、ポーランド人も、同じような目に遭いましたが、希望を失わず、自信を失わないませんでした。
前向きに前進をしてほしいと思います。
勇気を失わず、自らの可能性を信じていただきたいと思います。
ハイチでもアメリカ西海岸でも地震がありました。
最近では地球温暖化もありますし、災害というものはありえます。大国といわれる国々でも何が起こるかわかりません。世の中は変化します。ギャランティー(保証)はありません。常に新しい状況に直面する可能性があります。この世に絶対大丈夫ということはありません。常日頃から対処を考え心構えをしておくことです。
同じ国の中でも、貧しさに戦わなければならないこともあります。日本以外の国に対しても、若い人の可能性への支援として科学や教育という支援が必要だと思います。」
6、林秀頴氏(宗派を超えてチベットの平和を祈念し行動する僧侶・在家の会代表)
「今回の被災者の方々に対し我々は祈ることしかできませんでした。祈ってなにができるのかという疑問はあります。しかし祈りからすべてが始まるのです。祈りというのは人の真摯な営みです。祈りはヴィジョンでもあり、祈る熱い想いはエネルギーでもあります。違いをお互いに認め合って、安心して暮らせる日を取り戻しましょう。」
青空なのに途中で少し雨が降りダライラマ法王説法の場を清めてくれました。これも不思議なことでした。
(終わり)
(脚註1) http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20110315-00000082-scn-int
「現地時間の3月12日、チベット亡命政府が置かれているインド北部のダラムサラで約1500人の僧侶・尼僧・一般人らが、合計10万回の般若心経を唱えたそうです。
ツクラカン(ダライ・ラマ法王直属のナムゲル僧院の中にあるお堂)に集まった彼らの読誦は、朝6時過ぎから午後4時頃までかかったんだそう。」
「ダライ・ラマ14世は東北関東大震災を受け、ダラムサラで13日から約1日をかけて般若心経を10万回唱える法会を開催。同地の多数の寺院の僧侶や尼僧、一般のチベット人が参加した。ダライ・ラマ14世は、自らも般若心経を日ごろから唱えている僧侶だとして、 『日本の仏教徒がこの苦難に際し般若心経を唱えることはとてもよいことだ。 被災して犠牲となった尊い方々の助けとなるのみならず、一層の災害を防ぐ助けにもなる』と述べた。」
(脚註2) http://www.tibethouse.jp/japanquake2011/
3月11日、世界にかつてない東日本大震災によって多くの尊い命が犠牲になりましたこと、ご冥福を祈りますと共に、被災されました方々に心よりお見舞い申し上げます。
日本において、ダライ・ラマ法王による東日本大震災犠牲者四十九日(七七日忌)特別慰霊法要が開催の運びとなりましたこと連絡させていただきます。
4月28日が被災発生後49日目にあたり、仏教ではこの四十九日法要を行うことを重視しており、震災以前より予定されておりましたダライ・ラマ法王のアメリカ訪問のため成田空港でのトランジットが丁度同時期であること、そしてダライ・ラマ法王がこの日本において四十九日慰霊法要を行うことが被災された方々の慰めとなり、復興に向けての励みになればと、ダライ・ラマ法王日本代表部事務所より滞在の延長を申し出、法王にご検討いただいた次第です。
不安な状態が続いている昨今、様々な方に影響があり負荷をもおかけもいたしますが、護国寺(東京都文京区)岡本永司貫首のご協力の下、護国寺において皆さまとともに、犠牲になった方々のご冥福を祈りますとともに、被災された方々が一日でも早く、安心した暮らしが取り戻せますようお祈りしたいと思っております。
大変な折とは存じますが、ご参集いただけましたら幸いです。
ダライ・ラマ法王日本代表部事務所
代表:ラクパ・ツォコ
たいへん多くの僧尼・参列者が集まりました。チベットもたいへんな時期に東日本大震災犠牲者のために法要を催していただき、ダライ・ラマ法王および関係者に感謝するとともに、ありがたいご法話を拝聴できて感激しました。
本堂正面にご本尊如意輪観世音様が御開扉されておりその前に「東日本大震災物故者諸霊」の大きな白木の位牌が置かれています。大韓民国とかいた僧尼の一団、など多彩な出席者が広い境内一面を埋め尽くしていました。
日・西蔵の僧侶や白鳳などのお相撲さんの一団を先導にダライラマ法王は参道両側のひとびととに親しく祝福を与えながらいらっしゃいました。そして護国寺岡本貫主に手を貸されながら本堂に入られました。
式次第です。
1. 開会のお言葉 (ラクパ・ツォコ氏 ダライ・ラマ法王日本代表部事務所代表)(主催者)
2. 四十九日特別慰霊法要
帰依発心 四無量心 仏母般若波羅蜜心髄経 道場退魔法 普賢菩薩行願讃 入菩薩行論回向品
千手千眼観自在菩薩御真言 地神と四大天女に対する供養文
七句祈願文 蓮華生菩薩御真言 厄障消除祈願略文 回向文 (以上 チベット語にて)
仏説摩訶般若波羅蜜多心経 光明真言 如意輪観世音菩薩御真言 寶號 回向文 (以上 日本語にて)
3. お言葉 (岡本永司猊下 護国寺貫首)
4. お言葉 (江川辰三猊下 總持寺貫首)
5. ご法話 (ダライ・ラマ14世猊下 チベット仏教法王、チベット亡命政府の長)
<ダライ・ラマ法王のご法話の要約>
このたびは東日本大地震が起こり、多くの被災者が出たことにお悔やみを申し上げます。
ダライサラ(インドにあるチベット亡命政府の拠点)にいたときに大地震のことを聞きました。
自然の構成要素である五大のバランスを崩したことにより大地震が起こり、人災により原発事故が起こりました。
知人・友人が日本には多くいます。
私は祈願をし、追悼をさせていただきます。
日本は仏教国ですので、般若心経を読み、法要をして、追悼をさせていただくのがよいと思います。
日本もチベットも大乗仏教の国です。そこでダライサムで般若心経を10万回唱える法会を行ないました。(脚註1)
また、大災害が起こった日本に行き「大丈夫、安心していいですよ」というとみなさんも心が休まると思い、訪日して四十九日の法要をすることとしました。4月23日からロサンゼルスを皮切りにアメリカを旅行することをちょうど予定しておりました。(それで、日程を調整しトランジットの時間を利用して、今回の法要を行なうことができました。)(脚註2)
日本の修行者は、修行中に逆境にたったときはこれも修行の道中だと思うとよいと思います。
シャ-ンティデーヴァ(寂天)の『入菩薩行論』(註)に逆境に遭ったときの2つの対処法が説かれています。
① それがまだどうにかなるものならば対策を講じ、手段を考える。
② それが元に戻すことができないものであるならば、過去を悔やんで落胆し勇気を失くしてしまうのではなく、今後に向けた努力をする
(註:『入菩薩行論』は、インドの大聖者シャーンティデーヴァが、菩提心と六波羅蜜を絶妙な韻律で説き示した珠玉の教えです。チベット仏教の世界では、大乗仏教の思想と実践を学ぶために欠かせない重要典籍の筆頭に掲げられています。・・・引用:ポタラカレッジhttp://www.potala.jp/lib/sousho/sousho.html)
今回はこの②であろうと思います。地震があったことは元に戻すことはできないのですから過去を悔やむのではなく今後にむけた努力をすべきときです。
私たちはチベットの土地を失い困難にみまわれていますが、精神性・内なる力を高め、より強くなることができました。
日本人は第二次大戦というたいへんな被害があり、広島・長崎の原爆を落とされても落胆せず自信を失わず、再建してきました。日本人にはそういう実績があります。ドイツ人も、ポーランド人も、同じような目に遭いましたが、希望を失わず、自信を失わないませんでした。
前向きに前進をしてほしいと思います。
勇気を失わず、自らの可能性を信じていただきたいと思います。
ハイチでもアメリカ西海岸でも地震がありました。
最近では地球温暖化もありますし、災害というものはありえます。大国といわれる国々でも何が起こるかわかりません。世の中は変化します。ギャランティー(保証)はありません。常に新しい状況に直面する可能性があります。この世に絶対大丈夫ということはありません。常日頃から対処を考え心構えをしておくことです。
同じ国の中でも、貧しさに戦わなければならないこともあります。日本以外の国に対しても、若い人の可能性への支援として科学や教育という支援が必要だと思います。」
6、林秀頴氏(宗派を超えてチベットの平和を祈念し行動する僧侶・在家の会代表)
「今回の被災者の方々に対し我々は祈ることしかできませんでした。祈ってなにができるのかという疑問はあります。しかし祈りからすべてが始まるのです。祈りというのは人の真摯な営みです。祈りはヴィジョンでもあり、祈る熱い想いはエネルギーでもあります。違いをお互いに認め合って、安心して暮らせる日を取り戻しましょう。」
青空なのに途中で少し雨が降りダライラマ法王説法の場を清めてくれました。これも不思議なことでした。
(終わり)
(脚註1) http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20110315-00000082-scn-int
「現地時間の3月12日、チベット亡命政府が置かれているインド北部のダラムサラで約1500人の僧侶・尼僧・一般人らが、合計10万回の般若心経を唱えたそうです。
ツクラカン(ダライ・ラマ法王直属のナムゲル僧院の中にあるお堂)に集まった彼らの読誦は、朝6時過ぎから午後4時頃までかかったんだそう。」
「ダライ・ラマ14世は東北関東大震災を受け、ダラムサラで13日から約1日をかけて般若心経を10万回唱える法会を開催。同地の多数の寺院の僧侶や尼僧、一般のチベット人が参加した。ダライ・ラマ14世は、自らも般若心経を日ごろから唱えている僧侶だとして、 『日本の仏教徒がこの苦難に際し般若心経を唱えることはとてもよいことだ。 被災して犠牲となった尊い方々の助けとなるのみならず、一層の災害を防ぐ助けにもなる』と述べた。」
(脚註2) http://www.tibethouse.jp/japanquake2011/
3月11日、世界にかつてない東日本大震災によって多くの尊い命が犠牲になりましたこと、ご冥福を祈りますと共に、被災されました方々に心よりお見舞い申し上げます。
日本において、ダライ・ラマ法王による東日本大震災犠牲者四十九日(七七日忌)特別慰霊法要が開催の運びとなりましたこと連絡させていただきます。
4月28日が被災発生後49日目にあたり、仏教ではこの四十九日法要を行うことを重視しており、震災以前より予定されておりましたダライ・ラマ法王のアメリカ訪問のため成田空港でのトランジットが丁度同時期であること、そしてダライ・ラマ法王がこの日本において四十九日慰霊法要を行うことが被災された方々の慰めとなり、復興に向けての励みになればと、ダライ・ラマ法王日本代表部事務所より滞在の延長を申し出、法王にご検討いただいた次第です。
不安な状態が続いている昨今、様々な方に影響があり負荷をもおかけもいたしますが、護国寺(東京都文京区)岡本永司貫首のご協力の下、護国寺において皆さまとともに、犠牲になった方々のご冥福を祈りますとともに、被災された方々が一日でも早く、安心した暮らしが取り戻せますようお祈りしたいと思っております。
大変な折とは存じますが、ご参集いただけましたら幸いです。
ダライ・ラマ法王日本代表部事務所
代表:ラクパ・ツォコ