「わたくしが、それでよかった(我流の行でよかった)とほんとうに得心するようになったのは、それからずいぶん年月を経てからでした。それはわたくしが自らの還暦を祝う思いを込めてかきおろした評伝「空海」よりは後だったかと思います。わたくしは一九二一年生まれなので還暦は一九八一年ということになります。自己流の求聞持の行が海軍への入隊で中断されたのが一九四三年ですから、それでよかった、と心の底から思えるいうになるまでに少なくとも四十年以上の歳月が必要だったということになります。
そのきっかけは、求聞持の儀軌「虚空蔵菩薩能満諸願最勝心陀羅尼求聞持法」を精読することによってあたえられました。それが「空海」をかいたあとだったことはたしかなのですがいつだったのかは思い出せません。(続)
そのきっかけは、求聞持の儀軌「虚空蔵菩薩能満諸願最勝心陀羅尼求聞持法」を精読することによってあたえられました。それが「空海」をかいたあとだったことはたしかなのですがいつだったのかは思い出せません。(続)