続日本紀・宝亀五年(774)四月十一日
「夏四月己卯。勅(光仁天皇)曰。如聞。天下諸国疾疫の衆は医療を加ると雖ども猶ほ未だ平復せず。朕は宇宙に君臨し黎元(れいげん・庶民)を子育す。興言念此。寤寐為労。其れ摩訶般若波羅蜜は諸仏の母也。天子之を念ずれば、則ち兵革災害国中に入らず。庶人之を念ぜば則ち疾疫癘鬼家内に入らず。
思欲此の慈悲を憑み、彼の短折(短命)を救む。宜しく天下諸国に告げよ。男女老少・起坐行歩を論ぜず、咸く摩訶般若波羅蜜を念誦せしめよ。其文武百官向
朝赴曹、道次の上及び公務の余には常に必ず念誦せよ。庶こひねがわくは陰陽叶序・寒温調気・国に疾疫之災無く・人は天年之寿を遂ぐことならしめむ。普く遐邇(かじ・遠近)に告ぐ、朕(光仁天皇)の意を知れ焉。」
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