三代実録 / 貞観十三年(871)十二月十四日乙卯条
「十四日乙卯 陰陽寮言く、 『明年当に天行之災有るべし』と。 又古老言く、『今年、衆くの木冬に華さく 昔此の異あり天下大疫す』と。五畿七道諸国に勅して幣を境内諸神に頒ち、 国分二寺に於いて転経し冥助を仏神に祷り凶札を未萠に銷さしむ。
(十四日、陰陽寮が言うには、明年はまさに天行(流行病)の災いがあるだろうと。又古老が言うには、今年多くの木が冬に華を付けた。昔この異変があり、天下に大疫があったと。勅して五畿七道諸国に、幣を境内の諸神にわかち、国分二寺で経を転じさせ、冥助(目に見えない神仏の加護)を仏神に祷り、凶札(飢饉と疫病)を未萠に消させた。)
貞観十一年(869年)には貞観地震・貞観津波が発生しそれに加えて貞観の入寇が起こっていますから朝廷も緊張していたと思われます。しかしこの年も翌年も特段何も起こってはいません。神仏への祈願の効験があったのでしょう。